番外編 釣行記 十勝のアメマスで村上風塩引き雨鱒をつくってみた。の巻 | 箆仁の釣魚あるばむ ~陸っぱりで210種類~

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自分が今までに釣った魚210種類を、釣った順番に紹介してゆく釣魚ブログです。
釣ったときのエピソードや魚に対する思いを、”釣ったことがある人目線”で書いています。
写真は自分が撮った、釣りたての生きている魚。 自分で調理した釣魚料理も紹介しています。

先日、十勝の港でアメマスを釣りました。


当初の目的は十勝海岸湖沼群の汽水湖で、ヘビキャロでヌマガレイの試し釣りをする予定でしたが、風が強すぎて湖でのワームの釣りは無理。ということで漁港に移動しました。


漁港ではニシンねらいの釣り人が数人いたけど、あまり釣れていない様子。


岸壁をヘビキャロで釣りながら歩いていると、アメマスが釣れた形跡が。(形跡といっても心無い釣り人に釣られて放置されたアメマスが転がっていただけだが)


漁港にアメマスが入っているとわかったので、ルアーでアメマスをねらってみます。


この漁港は砂浜を巾着型に掘って作られた漁港で、漁港内の海側が岸壁、陸側がサーフになっています。


まずは岸壁からミノーを投げてみると、


塩引き雨鱒1

アメマス 42cm 2016.4.21 北海道十勝 ルアー:タイドミノー125SLD-S


釣れました、海アメマス。 42センチです。


この漁港、自宅から一番近い海の漁港なのですが、ここでアメマスを釣るのは初めてです。


というか、この漁港でプラグを引くのも初めてでした。


続いて奥側のサーフに移動してみると、


塩引き雨鱒2

アメマス 40cm 2016.4.21 北海道十勝 ルアー:タイドミノースリム120


サーフでも釣れました。 こちらは40センチ。


この数投後、同じポイントで海アメマス38センチもゲット。 こちらは40センチを切っていたのでリリース。


この漁港で13:00まで釣って終了。


塩引き雨鱒3

今回の釣果は海アメマスが42、40、38センチの3尾。 42と40の2尾をキープです。


この2尾で一度やってみたかった「村上風塩引き雨鱒」をつくってみます。 


「村上」とは「ドゥーン」ではなくて新潟県村上市のことで、村上でつくられる「塩引き鮭」の作り方で、アメマスバージョンでやってみよう、と、このような企画でございます。


塩引き雨鱒4

帰宅後、材料と道具を集めてみるの図。


材料のアメマスと荒塩、アメマスに塩をすり込むための大きめのまな板、それと塩蔵用の発砲スチロールのトロ箱。 荒塩は漬物用の粉砕塩。 家にあるもので材料と道具が揃いました。


村上の塩引き鮭は、村上で捕れた鮭に塩をして、寒風で干してゆくもの。


それでは、つくって行きましょう。


塩引き雨鱒5


まずはアメマスの表面のヌメリを取って、エラと内臓を抜きます。


このとき、お腹を全て割かずに腹ビレの上あたりをつなげておくのが村上龍。 じゃなくて村上流。


村上は昔、城下町で、「切腹」を嫌って一ヶ所つなげておいたんだとか。


村上の塩引き鮭は基本的には雄鮭でつくるそうな。 このアメマス、腹を割いたら2尾ともメスだったんですけど(゜-゜) ま、いっか。


塩引き雨鱒6


塩をすり込みます。 資料では「尾の方から頭に向かって塩を擦り込む」と書いてあります。


鮭の場合、ウロコがある程度大きいから尾から頭に向かって逆引きするとウロコが塩をグリップして「擦り込む」というふうな表現になるようだけど、アメマスの場合、ウロコが細かいから逆引きしてもほとんど塩をグリップせず、力を入れてすり込んでもツルツル滑ってなかなかうまく塩が付きません。

「擦り込む」というよりも、すりすりと「なすり付ける」といった感じです。


お腹の中とエラの中にも塩をすり込みます。


塩引き雨鱒7


塩をすり込んだアメマスを、発砲スチロールのトロ箱に入れて寒い所に置きます。


この時点で日没を迎えてしまい、屋内での撮影に。


写真の状態で丸二日、裏表を返してさらに一日半、計三日半塩蔵します。


塩引き雨鱒8

塩をしてから一日半経過の朝。


前日の朝(塩をしてから一晩経過)はこれよりももっと多くの水分が出ていて一度捨てたのですが、

それから丸一日でもこれだけ水分が抜けました。


塩引き雨鱒9

塩をして三日半経過の朝。


この時点で塩蔵は終わりです。 村上の鮭の場合、塩蔵は6日から7日行うそうですが、鮭より小さいアメマスだとこのくらいかな、と。


水分が抜けて、かなりスリムなっています。 そして硬い。 これだと仮にゾンビになっても泳ぐことは不可能な硬さです。


塩引き雨鱒10


塩蔵の後は「塩抜き」です。


塩を洗い流して、たっぷりの水に入れて6時間半塩抜きをします。


村上の鮭の場合は10時間から15時間くらい塩抜きするそうなので、塩蔵時間との割合からすると6時間半くらいかな、と。 なんとなく、せっかく塩蔵したのに塩が抜けちゃったらもったいないな、という思いもありますが、6時間半で。


塩引き雨鱒11

塩抜きが終わった雨鱒。


塩抜きが終わった後、もう一度ヌメリや余分な汚れを洗い落としてきれいにします。

塩抜きが終わると、今度は乾燥して行きます。


塩引き雨鱒12

干す。

頭を下にして尾ビレの付け根に縄を通して、寒風下で乾かします。

寒風下といっても、北海道とはいえ4月下旬ともなると、ちょっと微妙な温度ですね。

陰干ししたいけど日陰に物干し竿がないので、よしずで日陰をつくります。 これ、カラスに見つかりにくい対策にも。

7日間乾かします。


塩引き雨鱒13

上の写真は撮影用に外していますが、じつは気の早いハエが出てきていたので、普段は写真のように玉ねぎネットを掛けていました。


塩引き雨鱒14

塩引き雨鱒の完成!


塩引き雨鱒15

塩引き雨鱒16



塩引き雨鱒17


さて、それでは切って行きましょう。


今回、このために100均の100円包丁を購入。 雨鱒はけっこう硬く仕上がったから、家の包丁の刃がこぼれたらヤだな、と思って。


写真の雨鱒は42センチの大きいほう。 ちなみに釣った直後は500グラムほどあったものが完成すると230グラムに。


塩引き雨鱒18

頭を落としみる。

包丁の切れ味が良いからか、割合すんなりと切れました。

切断面の色は、透明感のある橙色でイイ感じ。

切り口をぺろりと舐めてみる。 ちょいとしょっぱい。



焼き塩引き雨鱒


塩引き雨鱒19

村上の塩引き鮭の一番おいしい食べ方は、「シンプルに焼いていただく!」ことらしい。

なのでまずは、塩引き雨鱒も、そのまま焼いてみます。


頭の後ろから背ビレ前までを切り出して、二枚に割って魚焼きグリルで焼きます。


塩引き雨鱒20

焼き塩引き雨鱒

焼いてみました。 塩が浸み出していて見るからにしょっぱそう。


塩引き雨鱒21

食べてみる。

しょっぱい。 しょっぱいよ! これ、しょっぱい。

写真のところまで食べたところでギブアップ。

まじかぁ 塩抜きが短すぎたのか、塩蔵が長すぎたのか・・・。

でもまぁ、素人のやることだからこんなもん。



塩引き雨鱒の酒びたし


次は、コレが一番やりたかった「酒びたし」です。

薄く切った塩引き雨鱒を、日本酒に浸していただきます。


塩引き雨鱒22

背ビレの幅分を切り出して二枚に割ります。 べりべりっと皮をはがして2ミリくらいの薄さにスライス。

ハラスの部分が硬くなっていたけど100均包丁、難なく切りこなします。 さすがギャラクシー!


塩引き雨鱒23

器に、タテヨコに並べて三段重ねます。


塩引き雨鱒24

日本酒を注ぎます。

お酒は地元のお酒。


塩引き雨鱒25

塩引き雨鱒の酒びたし

お酒を注いで5分ほど待ってからいただきます。

これ、なかなかおいしい。

塩分が程よく抜けて、お酒の風味が楽しめます。 身も少し軟らかくなりました。



塩引き雨鱒のお茶漬け


思いのほかしょっぱく仕上がってしまったので、これを逆手にとってお茶漬けに。


塩引き雨鱒26

残りの、背ビレの後ろから尾柄前までの身を焼きます。 脂ビレがちょっち炭化気味。


塩引き雨鱒27

焼いたものを細かくほぐしてご飯に乗せます。 具はほかに板のりとミントの葉っぱ。

ここにお湯を注ぎます。 本当はお茶が正解なんだけど、なんだか余裕がなくてお湯を入れてしまった。


塩引き雨鱒28

塩引き雨鱒のお茶漬け

程よい塩味のお茶漬け(お湯漬け?)のできあがり。

これだと食べやすくて、雨鱒の風味も味わえました。 ただ、鮭と比較してしまうと、普段食べている鮭のほうが味にコクというか深みがあって、雨鱒よりも鮭のほうがやっぱりおいしい。


というわけで、塩引き雨鱒、こんな感じでつくって食べてみましたよ。


今回は型が小さめで、なにせ初めてつくったから、しょっぱい出来上がりになってしまいました。

今度大きなアメマスが寒い時期に釣れたら、懲りずにまたつくってみるかもです。


そのときは、「焼いた塩引き雨鱒がうまい!」 と、書きたいですね。