~フル・フロンタルにすべてを捧げた大尉と、紫色のモビルスーツ~

おはこんにちは。どうも僕です。

今回の渋いキャラクターシリーズは、『機動戦士ガンダムUC』から。

アンジェロ・ザウパー大尉です。

……。

いや、渋いというより、少々面倒くさい男かもしれません(笑)。

ネオ・ジオン残党軍「袖付き」に所属し、フル・フロンタルの親衛隊を率いる人物。

紫色のギラ・ズールを駆り、後にはローゼン・ズールでユニコーンガンダムに立ちはだかります。

操縦技術は高い。

軍人としての実力もある。

しかし、どうしても目立ってしまうのが、フル・フロンタルへの異常ともいえる忠誠心です。

フロンタルを崇拝する。

彼の言葉を絶対視する。

そして、彼に近づく者を激しく警戒する。

特にバナージ・リンクスへの敵意は、見ていて少々怖いほどです。

なぜ、そこまで一人の人間に執着するのか。

今回は、アンジェロの過去や心理を考えながら、彼が搭乗したモビルスーツ、そしてガンプラとしての魅力まで掘り下げてみたいと思います。


■アンジェロは、本当に嫌な奴なのか?

アンジェロの第一印象は、決して良いものではありません。

高圧的。

攻撃的。

皮肉屋。

そして、他人を見下すような言動。

フロンタルの前では従順なのに、それ以外の相手には容赦がない。

そんな姿を見ると、どうしても小物っぽく感じてしまいます。

しかし、僕はアンジェロを単純な嫌な奴だとは思えません。

なぜなら、彼の言動には一貫性があるからです。

彼にとって重要なのは、ネオ・ジオンの勝利だけではない。

スペースノイドの独立だけでもない。

もっと個人的なものです。

フル・フロンタルという存在を守ること。

それが、アンジェロの行動原理になっているように見えます。

組織への忠誠より、個人への忠誠。

軍人としては危うい。

しかし、一人の人間として考えると、その危うさには理由があるような気がするんですね。


■フル・フロンタルは、アンジェロにとって何者だったのか

フル・フロンタル。

シャア・アズナブルを思わせる仮面の男。

「赤い彗星の再来」と呼ばれ、袖付きの象徴となった人物です。

多くの人間にとって、フロンタルは政治的・軍事的な指導者でしょう。

しかし、アンジェロにとっては、それだけではなかった。

彼は、過酷な過去を背負っています。

特に小説版『ガンダムUC』では、アンジェロの生い立ちや、戦後の混乱の中で受けた深い傷が描かれています。

幼い頃から尊厳を踏みにじられ、人間を信用できなくなっても不思議ではない経験を重ねてきた人物です。

そんな彼の前に現れたのが、フル・フロンタルでした。

自分の存在を認めてくれる。

居場所を与えてくれる。

生きる目的を与えてくれる。

アンジェロにとって、それは単なる上官との出会いではなかったのでしょう。

初めて、自分の人生を預けてもいいと思えた相手だったのかもしれません。

そう考えると、あの極端な忠誠心にも、少し違う意味が見えてきます。


■忠誠と依存は、どこで分かれるのか

忠誠心とは何でしょうか。

上官を信頼する。

命令に従う。

組織の目的のために戦う。

軍人であれば、当然求められる資質です。

しかし、アンジェロの場合は少し違う。

フロンタルの存在そのものが、自分の価値を支えているように見えます。

フロンタルに認められること。

フロンタルの役に立つこと。

フロンタルの傍らにいること。

それらが失われれば、自分自身の存在意義まで揺らいでしまう。

ここまで来ると、忠誠という言葉だけでは説明しきれません。

依存。

崇拝。

救済への執着。

そんな言葉が浮かんできます。

ただし、僕はアンジェロを弱い人間だとは思いません。

むしろ、過酷な人生を生き延びてきた人間です。

ただ、その過程で、誰かを信じることと、誰かに自分のすべてを預けることの境界が曖昧になってしまった。

そんな人物なのではないでしょうか。


■なぜバナージを、あれほど嫌うのか

アンジェロを語るうえで、バナージ・リンクスとの関係は欠かせません。

アンジェロは、バナージに対して激しい敵意を向けます。

もちろん、敵対する勢力のパイロットですから、戦闘上の理由はあります。

しかし、それだけでは説明できない感情があるように見えます。

バナージは、フロンタルと直接向き合う人物です。

しかも、フロンタルの言葉にただ従うわけではありません。

疑問を投げかける。

反論する。

自分の考えをぶつける。

アンジェロからすれば、理解しがたい存在でしょう。

自分が絶対視する人物に対して、真正面から異議を唱える。

それも、まだ若い少年が。

しかし、僕はここに、もう一つの理由があると思っています。

バナージは、アンジェロができなかったことをしているのではないでしょうか。

それは、誰かを信じながらも、自分自身の判断を手放さないこと。

バナージも迷います。

傷つきます。

他人の言葉に揺さぶられます。

それでも、最後には自分で選ぼうとする。

アンジェロにとって、その姿は腹立たしくもあり、どこか眩しくもあったのかもしれません。

もちろん、これは僕なりの解釈です。

でも、二人の対立を単なる敵同士の関係として見るより、ずっと面白いと思うんですね。


■アンジェロの愛機、ギラ・ズール

ここからは、アンジェロが搭乗したモビルスーツについて考えてみます。

まずは、ギラ・ズール(アンジェロ・ザウパー専用機)。

ギラ・ズールは、袖付きの主力モビルスーツです。

ザクの系譜を感じさせる外観。

モノアイ。

動力パイプ。

そして、袖付き特有の装飾。

宇宙世紀のジオン系モビルスーツらしさが、しっかり残っています。

しかし、アンジェロ専用機は一般機とは異なります。

最大の特徴は、紫色の機体色。

さらに、大型バックパックとランゲ・ブルーノ砲を装備しています。

一般的なギラ・ズールとは違い、長距離からの火力支援を意識した装備構成です。

ここで面白いのが、アンジェロの立場との関係です。

彼はフロンタルの親衛隊長。

つまり、フロンタルを支える役割を担っています。

自分が最前線で目立つことより、フロンタルが戦いやすい状況を作る。

そう考えると、長距離火力を持つ専用ギラ・ズールは、彼の役割によく似合っています。

そして、紫色。

赤い彗星を思わせるフロンタルの赤とは異なる色です。

フロンタルの傍らにいながら、決して同じ存在にはならない。

そんな距離感まで表現しているように感じます。


■ローゼン・ズールは、アンジェロの忠誠心を形にした機体

アンジェロの代表的な機体といえば、やはりローゼン・ズールでしょう。

ギラ・ズールをベースとしながら、ハンマ・ハンマ系の技術を取り入れた特殊なモビルスーツです。

最大の特徴は、両腕のインコム。

腕部を射出し、有線誘導によって遠隔攻撃を行います。

さらに、サイコ・ジャマーを搭載。

サイコミュ兵器の働きを妨害する能力を持っています。

つまり、敵の能力を封じることを重視した機体です。

ここが、実にアンジェロらしい。

正面から力任せに戦うだけではない。

相手の自由を奪う。

行動を制限する。

そして、フロンタルの脅威となる存在を排除する。

ローゼン・ズールの設計思想は、アンジェロの行動原理と重なって見えます。

ローゼン・ズールは、アンジェロの忠誠心を兵器として形にしたような機体です。

もちろん、機体の開発目的とアンジェロの心理が直接結びついていると公式に説明されているわけではありません。

ただ、人物と機体の相性という意味では、非常によくできた組み合わせだと思います。


■アンジェロの搭乗機は、ガンプラでも楽しめる

さて、ここからはガンプラの話です。

アンジェロの搭乗機は、HGUCシリーズで立体化されています。

今回紹介するのは、3種類。

ギラ・ズール(アンジェロ・ザウパー専用機)。

ローゼン・ズール。

そして、ローゼン・ズール(episode 7 Ver.)です。

いずれも1/144スケール。

それぞれに違った魅力があります。

HGUC 1/144 ギラ・ズール(アンジェロ・ザウパー専用機)

2010年7月31日発売。

メーカー掲載価格は税込2,420円。

一般機とは異なる紫色の機体に、大型バックパックとランゲ・ブルーノ砲を装備しています。

このキットの魅力は、やはりギラ・ズール本来の軍用機らしさと、アンジェロ専用機としての特別感を両立しているところです。

袖付き特有のエングレイブも再現されています。

一般機と並べれば、同じギラ・ズールでも役割が違うことがよく分かるでしょう。

個人的には、ランゲ・ブルーノ砲を構えた姿が格好いい。

前線で暴れ回るというより、後方から戦況を支配するような雰囲気があります。

フロンタルのシナンジュと並べるのも面白そうです。

赤と紫。

まさに、フロンタルとアンジェロの関係を象徴する組み合わせですね。

HGUC 1/144 ローゼン・ズール

2012年12月29日発売。

メーカー掲載価格は税込3,080円。

こちらは、アンジェロの代表機を立体化したキットです。

何といっても特徴的なのは、その外観。

バラを思わせるシルエット。

複雑な腕部。

独特の背部装備。

ジオン系モビルスーツの流れをくみながら、ほかの機体にはない個性があります。

インコムの射出状態やサイコ・ジャマーの展開状態を再現できる点も魅力です。

通常のモビルスーツとは違う、特殊兵装を使った戦闘シーンを表現できます。

ただ、装飾の多い機体なので、エングレイブの仕上げ方によって印象が大きく変わりそうです。

素組みでも楽しめますが、部分塗装やスミ入れで細部を引き締めるのも面白いでしょう。

ガンプラとしては、かなり作りがいのある機体だと思います。

HGUC 1/144 ローゼン・ズール(episode 7 Ver.)

2014年8月9日発売。

メーカー掲載価格は税込3,300円。

こちらは、OVA最終章に登場する仕様を再現したキットです。

通常版との大きな違いは、成形色と右腕の形状。

劇中の姿に合わせたカラーリングに加え、補修された右腕が新規造形で再現されています。

ローゼン・ズールという機体の戦闘の歴史を感じさせる仕様ですね。

個人的には、こうした補修状態を再現したキットが好きです。

新品の機体とは違う。

戦ってきた時間が、機体の姿に残っている。

それが、モビルスーツの魅力の一つだと思います。

通常版とepisode 7版を並べて、違いを比較してみるのも楽しそうです。

※価格はいずれもメーカー掲載価格で、現在の店頭価格や在庫状況とは異なる場合があります。


■ガンプラで見ると、アンジェロの変化が分かる

ギラ・ズールとローゼン・ズール。

この2機を並べてみると、アンジェロという人物の変化も感じられます。

ギラ・ズールは、軍人としてのアンジェロを表しているように見えます。

袖付きの一員。

親衛隊長。

フロンタルを支える兵士。

一方、ローゼン・ズールは、より個人的な感情を背負った機体に見えます。

フロンタルを守る。

敵を排除する。

自分の存在意義を証明する。

その執着が、複雑で攻撃的な機体の姿と重なります。

もちろん、これは僕なりの見方です。

しかし、ガンプラを並べることで、キャラクターの物語を視覚的に楽しめる。

これも、ガンダムという作品の面白さではないでしょうか。


■アンジェロは、優秀な軍人だったのか

感情的な印象が強いアンジェロですが、軍人としての能力は決して低くありません。

フロンタルの親衛隊を率いる立場にあり、専用機を与えられています。

モビルスーツの操縦技術も高い。

ローゼン・ズールの特殊な装備を使いこなし、ユニコーンガンダムを相手に戦闘を行います。

単なる取り巻きでは務まらない役割です。

ただし、ここで問題になるのが判断力です。

軍人にとって重要なのは、命令に従うことだけではありません。

状況を分析する。

目的を理解する。

必要に応じて判断する。

こうした能力も求められます。

しかし、アンジェロの場合、フロンタルへの個人的な感情が判断に影響しているように見えます。

フロンタルを守ることが最優先になる。

その結果、敵に対する感情が過剰になる。

これは、軍人としての強さと弱さが同居している状態ではないでしょうか。

操縦技術は優秀。しかし、心の自由度は決して高くない。

アンジェロという人物の難しさは、そこにあるような気がします。


■シャアとフロンタル、そしてアンジェロ

ここで、少し視点を広げてみます。

シャア・アズナブルという人物には、さまざまな人間が惹きつけられてきました。

ララァ・スン。

ハマーン・カーン。

クェス・パラヤ。

そして、フロンタルを通して描かれるアンジェロ。

もちろん、それぞれの関係は異なります。

しかし、共通しているものがあります。

それは、強い存在感を持つ人物に、自分の人生を重ねてしまうということです。

シャアは、他人の期待を背負う人物でした。

ジオン・ダイクンの息子。

赤い彗星。

反地球連邦運動の象徴。

そして、ネオ・ジオンの総帥。

彼自身の意思とは別に、多くの人間がシャアという存在に意味を求めます。

フル・フロンタルもまた、そうした期待を背負う存在です。

ただし、フロンタルはシャア本人と同一ではありません。

それでも、人々は彼に「赤い彗星」を見ようとする。

アンジェロも、その一人だったのでしょう。

ここで少し怖いのは、アンジェロが見ているのは、フロンタルという一人の人間なのか、それとも自分を救ってくれる理想の存在なのか、ということです。

もし後者だとすれば、アンジェロはフロンタル本人の弱さや矛盾を、受け入れられたのでしょうか。

僕には、少し難しかったように思えます。


■アンジェロに必要だったのは、忠誠を誓う相手ではなかったのかもしれない

アンジェロは、フロンタルと出会うことで居場所を得ました。

それは、彼にとって大きな救いだったのでしょう。

しかし、救われたことと、自由になれたことは同じではありません。

誰かに認められる。

必要とされる。

生きる意味を与えられる。

それは、人間にとって大切なことです。

でも、その相手を失った瞬間、自分の価値まで失われてしまうとしたら。

それは、とても危うい関係です。

アンジェロは、フロンタルに救われた。

しかし、フロンタルから離れても自分自身を肯定できるところまでは、たどり着けなかったのではないでしょうか。

僕は、そこにアンジェロという人物の悲しさを感じます。

彼に本当に必要だったのは、絶対的な存在に忠誠を誓うことではなく、自分の人生を自分のものとして取り戻すことだったのかもしれません。

ただ、それを簡単に言えるほど、彼の過去は軽いものではないのでしょう。


■しめ

アンジェロ・ザウパー。

フル・フロンタルの側近。

袖付きの大尉。

ギラ・ズール、そしてローゼン・ズールのパイロット。

誰よりもフロンタルに忠誠を尽くした男です。

最初は、嫌味で感情的なキャラクターに見えるかもしれません。

しかし、その過去や行動を考えていくと、単純な悪役では片付けられない人物だと思います。

彼は、フロンタルを信じていた。

その存在に救われた。

そして、救われたからこそ、失うことを恐れていた。

だから、フロンタルに近づく者を警戒し、敵意を向けた。

そんなふうに考えると、アンジェロの激しい言動も、少し違って見えてきます。

そして、彼の搭乗機にも、その生き方が重なって見えます。

ギラ・ズールは、軍人としてのアンジェロ。

ローゼン・ズールは、フロンタルを守ることにすべてを懸けたアンジェロ。

ガンプラとして並べてみれば、その違いも楽しめるでしょう。

今回、僕がたどり着いた結論はこれです。

アンジェロ・ザウパーは、誰かに忠誠を尽くすことで、ようやく自分の居場所を保てた男だったのではないか。

そして、その忠誠心は彼を強くすると同時に、彼自身を縛りつけてもいた。

……。

ちなみに、もし僕が袖付きの一般兵だったら。

フロンタル大佐にちょっと褒められただけで、アンジェロ大尉から睨まれそうな気がします。

「大佐に気安く近づくな」

……。

いや、僕は整備報告をしただけなんですけど。

アンジェロ大尉。

もう少し肩の力を抜いてもらえませんかね(笑)。

今日はここまで。それでは、また別のお話で。