【第二部】ルナ・チタニウムは、どうやって加工したのか?
~切れない、削れない、溶接が難しい。ガンダムを造った工場を考える~
おはこんにちは。どうも僕です。
前回。
ルナ・チタニウムは軽くて強い。
だからガンダムは強かった。
そんな話をしました。
でも材料屋さんからすると、
そこで終わりではありません。
むしろここからです。
その材料、どうやって加工するの?
強い材料を発明しました。
おめでとうございます。
でも削れません。
曲げられません。
溶接できません。
これではガンダムになりません。
今回はRX-78-2ではなく、
RX-78-2を作った工場
を想像してみます。
■チタンは加工屋泣かせ
現実のチタン合金も、加工には注意が必要な材料です。
例えば切削。
チタンは熱伝導率が比較的低いため、切削時に発生した熱が材料全体へ逃げにくく、刃先付近に集中しやすい。
工具が熱くなる。
摩耗する。
条件が悪ければ加工精度にも影響する。
高温では反応性も高くなります。
つまり、
軽くて強い代わりに、作る側は大変。
未来のルナ・チタニウムがさらに高性能なら、加工技術も同時に進歩していなければ成立しません。
■18mの装甲を削り出すのか?
ガンダムの胸。
肩。
脚。
巨大な装甲があります。
これを巨大なルナ・チタニウムの塊から全部削り出す。
できなくはない未来なのかもしれません。
でも材料の無駄が大きい。
加工時間も長い。
そこで現実の製造技術から考えると、
鍛造。
圧延。
プレス。
切削。
接合。
場合によっては粉末冶金。
様々な工程を組み合わせたはずです。
つまりルナ・チタニウムとは、
合金のレシピだけでは完成しない技術
だった可能性があります。
■「月で作る」ことに意味はあったのか
ルナ・チタニウム。
名前からして月です。
では月で精製・製造することには、どんな意味が考えられるでしょう。
ここからは設定そのものではなく、工学的な想像です。
月面なら低重力。
そして真空環境を利用できる。
もちろん「真空だから自動的に高品質な金属ができる」ほど簡単ではありません。
温度管理。
不純物管理。
凝固制御。
設備そのもの。
むしろ難しいことも大量にあるでしょう。
ただ宇宙世紀ほど宇宙工業が発達しているなら、
地球とは違う製造環境そのものを材料性能へ利用する
という発想は十分あり得ます。
ルナ・チタニウムは材料科学だけでなく、
宇宙工業そのものの象徴だったのかもしれません。
■もっと難しいのは「接合」
巨大なMSを一枚の金属から作ることはできません。
部品をつなぐ必要があります。
そこで問題になるのが、
溶接や接合です。
金属は、溶かしてくっつければ終わりではありません。
溶接部周辺では熱によって組織が変化します。
母材と同じ性能を維持できない場合もある。
残留応力も生まれる。
歪みも出る。
18mのMSで、
右脚と左脚の寸法が微妙に違います。
なんてことになれば困ります。
だからガンダムを作るには、
高性能な材料だけでなく、
高性能な加工設備と品質管理
まで必要になります。
■V作戦は「工場」まで含めた技術だった?
ここから考えると面白い。
V作戦で連邦軍が手に入れたもの。
ガンダム。
ガンキャノン。
ガンタンク。
ホワイトベース。
もちろん重要です。
でも本当に大きかったのは、
その裏側にある、
材料技術。
工作機械。
加工条件。
測定技術。
品質管理。
生産ノウハウ。
だったのではないでしょうか。
試作機を一機作れることと、
同じ品質の部品を千個作れることは別の技術です。
戦争を変えるのは、
設計図だけではない。
同じものを何度でも作れる工場です。
■だからGMは重要だった
ここでまたGMへ戻ります。
ガンダムをそのまま量産する。
これは簡単ではない。
高性能材料。
複雑な加工。
高精度部品。
それらを大量生産へ持ち込めば、生産速度が落ちる。
だったら材料や構造を見直す。
工程を減らす。
部品を共通化する。
整備しやすくする。
一機当たりの生産時間を短くする。
そうして出来上がったものが量産機。
だからGMは、
「安いガンダム」
ではない。
工場で作れるガンダム。
そう考えると、急に格好良く見えてきます。
■第二部の結論
最高の材料があっても、
加工できなければ兵器にはならない。
ルナ・チタニウムの本当の凄さは、
合金を発明したことだけではなく、
それを切り。
曲げ。
削り。
接合し。
18mの人型兵器として組み上げられるところまで、
製造技術を成立させたこと
だったのではないでしょうか。
でも工場で作れたから終わりではありません。
兵器は壊れます。
撃たれる。
斬られる。
転ぶ。
そして翌日も出撃する。
では、
壊れたルナ・チタニウム装甲を、ホワイトベースの中でどう直したのでしょう。
次は工場から戦場へ行きます。
今日はここまで。それでは、また別のお話で。