~宇宙に漂うザク、地上に転がるジム。戦争が終わっても残る巨大なゴミ問題~
おはこんにちは。どうも僕です。
ガンダムを観ていると、モビルスーツが次々と撃破されていきます。
ビームライフルで撃ち抜かれるザク。
ビームサーベルで斬られるジム。
宇宙空間で爆発するリック・ドム。
そして、戦闘が終われば物語は次の場面へ進んでいく。
でも、ちょっと待ってください。
あの残骸、誰が片付けているんでしょうか?
全高18メートル前後。
重量数十トン。
そんな巨大な機械が、戦場のあちこちに転がっているわけです。
自動車の事故ならレッカー車が来ます。
飛行機が墜落すれば、事故調査や残骸の回収が行われます。
では、モビルスーツは?
今日は、戦闘シーンではあまり注目されない、モビルスーツの後片付けについて考えてみます。
■撃破されたモビルスーツは、消えてなくなるわけではない
アニメでは、モビルスーツが撃破されると大爆発することがあります。
爆炎が広がり、機体はバラバラになる。
見事な演出です。
ただ、現実の物理として考えると、爆発したからといって機体の質量が消えるわけではありません。
装甲。
フレーム。
関節。
推進装置。
武装。
さまざまな部品が破片となって残ります。
もちろん、爆発や高熱によって一部が蒸発・気化する可能性はあります。
しかし、機体のすべてが跡形もなく消えるとは考えにくい。
つまり、戦場には大量の残骸が残るはずです。
しかも、モビルスーツは巨大です。
腕一本でも、相当な重量があるでしょう。
ザクの脚が道路に転がっていたら、通行止めどころの騒ぎではありません。
モビルスーツの戦闘は、終わった後も大変そうなんです。
■地上では、巨大な産業廃棄物になる
まず、地上戦を考えてみましょう。
市街地でモビルスーツが撃破された場合。
巨大な機体が建物に倒れ込む。
道路を塞ぐ。
送電線や水道管を破壊する。
燃料や冷却材などが漏れ出す可能性もあります。
戦闘が終わっても、住民がすぐに元の生活へ戻れるとは限りません。
むしろ、そこから復旧作業が始まるわけです。
では、どうやって回収するのでしょうか。
現実の重機を使うなら、大型クレーンや特殊車両が必要になります。
ただし、モビルスーツの残骸は普通の鉄くずとは違います。
内部には、危険な装置や未使用の弾薬が残っている可能性があります。
損傷した機体を不用意に動かせば、二次事故につながるかもしれません。
まず安全を確認する。
危険物を取り除く。
機体を分解する。
運搬する。
その後、ようやく道路や建物の復旧に取りかかる。
モビルスーツを一機倒すのは数秒でも、片付けるには何日もかかるかもしれない。
そんなことを考えてしまいます。
■宇宙では、もっと厄介なことになる
では、宇宙空間ではどうでしょうか。
こちらは、さらに厄介です。
地上なら、破片は基本的に地面へ落ちます。
しかし、宇宙空間ではそうはいきません。
撃破されたモビルスーツの残骸は、それぞれ異なる速度や方向で移動していきます。
地球周回軌道に残れば、スペースデブリになる可能性があります。
スペースデブリとは、宇宙空間を漂う人工物の破片などのことです。
現実でも、人工衛星の破片や使用済みロケットの部品が問題になっています。
宇宙では、小さな破片でも高速で移動しているため、衝突すると大きな被害をもたらす可能性があります。
では、モビルスーツの腕や脚が軌道上を移動していたら?
……。
かなり怖い話です。
宇宙船にとっては、巨大な障害物になるでしょう。
しかも、戦闘が起きるたびに残骸が増えていく。
一年戦争のような大規模な戦争が起これば、宇宙空間の安全性にも大きな影響が出そうです。
ただし、すべての残骸が地球周回軌道に残るわけではありません。
戦闘が行われた場所や破片の速度によって、その後の動きは変わります。
それでも、宇宙空間で大量の兵器が破壊されることには、相応の問題があるはずです。
■サイド周辺で戦闘するのは、危険すぎないか?
宇宙世紀には、スペースコロニーがあります。
巨大な人工居住施設です。
その周辺でモビルスーツ同士が戦闘する。
ビーム兵器を撃つ。
ミサイルを発射する。
機体が爆発する。
そして、破片が飛び散る。
……。
これ、コロニーの住民からすれば、たまったものではありません。
もちろん、コロニーの構造や防護設備によって被害の程度は変わるでしょう。
しかし、巨大な人工居住施設の近くで戦闘を行えば、流れ弾や破片が危険になることは十分に考えられます。
しかも、戦闘が終わった後も、周辺に残骸が残る可能性があります。
コロニーへ出入りする輸送船。
補給船。
民間の宇宙船。
こうした船舶にとって、残骸は重大な障害になるかもしれません。
戦闘が終わったからといって、その宙域が安全になるわけではない。
これは、宇宙世紀ならではの問題だと思います。
■実は、残骸には価値がある
ここで、少し違う視点から考えてみます。
撃破されたモビルスーツは、単なるゴミなのでしょうか。
必ずしもそうではありません。
例えば、機体の装甲材。
金属部品。
電子機器。
推進装置。
武装。
損傷の程度によっては、再利用できる部品が残っているかもしれません。
特に、資源が限られた状況では、こうした部品の回収には意味があります。
実際、ガンダム作品には、機体の残骸や中古部品を利用してモビルスーツを修理・再生する描写があります。
『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場するジャンク屋の存在なども、宇宙世紀の社会を考えるうえで面白い要素です。
戦場で破壊された機体。
それを回収する人々。
使える部品を取り外す。
別の機体へ組み込む。
こうした循環が成立するなら、モビルスーツの残骸は資源にもなります。
誰かにとっては戦争のゴミでも、別の誰かにとっては貴重な商品になる。
なかなか皮肉な話です。
■敵の残骸は、技術情報の宝庫でもある
もう一つ重要なのが、技術情報です。
敵のモビルスーツを回収できれば、さまざまな情報が得られる可能性があります。
装甲材の構造。
関節の仕組み。
推進装置。
センサー。
武装。
制御システム。
実際に戦っているだけでは分からなかった技術を、直接調べられるかもしれません。
特に新型機の残骸は、価値が高いでしょう。
例えば、ゲルググのビーム・ライフル。
あるいは、連邦軍の新型モビルスーツに採用された装備。
敵の技術を分析することは、自軍の兵器開発にもつながります。
つまり、戦場に残されたモビルスーツは、単なる廃棄物ではありません。
情報の塊でもあるわけです。
そう考えると、戦闘後の残骸回収は、軍事的にも重要な任務になりそうです。
■モビルスーツを片付けるモビルスーツが必要なのでは?
さて、ここまで考えてきて、一つ思いました。
モビルスーツの残骸を回収するなら、モビルスーツを使えばいいのではないでしょうか。
巨大な腕。
高い出力。
複雑な作業ができるマニピュレーター。
もともと、モビルスーツは人間の作業能力を拡張したような機械です。
ならば、戦闘だけでなく、回収作業にも向いている可能性があります。
破損した機体を持ち上げる。
大型部品を運搬する。
残骸を切断する。
宇宙空間で漂う機体を確保する。
こうした作業に利用できるでしょう。
もちろん、専用の作業機械の方が効率的な場合もあります。
しかし、戦場にモビルスーツが配備されているなら、その機能を回収作業に活用するという発想は自然です。
そう考えると、戦闘用ではない作業用モビルスーツの存在にも、十分な意味があると思います。
個人的には、こういう機体の設定も好きなんですよね。
派手な武器はない。
装甲も薄い。
でも、戦場の後片付けには欠かせない。
そんな縁の下の力持ちです。
■戦争が終わっても、仕事は終わらない
ガンダムでは、戦争の勝敗が物語の大きな節目になります。
敵の要塞が陥落する。
艦隊が撤退する。
停戦が成立する。
そして、新しい時代が始まる。
でも、現実の戦争では、戦闘が終わっても問題は残ります。
破壊された建物。
使えなくなった道路。
放置された兵器。
危険な弾薬。
そして、生活の場を失った人々。
復旧には長い時間が必要です。
宇宙世紀でも、同じことが起こるはずです。
モビルスーツの残骸を片付ける。
宇宙船が安全に航行できるようにする。
コロニーを修理する。
地上の街を復旧する。
こうした仕事を担う人々がいなければ、戦争が終わっても平和な生活は戻りません。
戦争を終わらせる人と、戦争の後始末をする人は、必ずしも同じではない。
これは、ガンダムの世界を考えるうえで、なかなか重要な視点だと思います。
■しめ
モビルスーツの残骸は、いったい誰が片付けているのか。
軍の回収部隊。
整備部隊。
民間の作業業者。
ジャンク屋。
さまざまな人々が関わっている可能性があります。
もちろん、作品ごとに描写や設定は異なります。
すべての残骸が回収されるわけでもないでしょう。
しかし、戦闘が終わった後にも、巨大な兵器の残骸が残ることは確かです。
そして、その残骸には危険性だけでなく、資源や技術情報としての価値もあります。
そう考えると、モビルスーツの戦闘は、撃破した瞬間に終わるものではないんですね。
戦争の後片付けまで含めて、初めて戦場の仕事が終わる。
そんな気がします。
……。
ところで、もし僕が宇宙世紀で仕事を選ぶなら。
モビルスーツのパイロットより、ジャンク屋の方がいいかもしれません。
戦場で命を懸けるより、残骸を回収して部品を売る。
うまくいけば、貴重なパーツが手に入るかもしれない。
ただ、一つだけ問題があります。
拾ったザクの腕を、どこに保管するのか。
……。
自宅のガンプラですら置き場所に困っているのに、実物大のザクの腕なんて絶対に無理ですね(笑)。
今日はここまで。それでは、また別のお話で。