~コクピットの後ろにある「小さな太陽」から人間をどう守るのか~
おはこんにちは。どうも僕です。
ここ2回、
モビルスーツの核融合炉について書いてきました。
メッサーの心臓。
ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉。
そして、
核融合炉が壊れたら、
核爆発するのか。
そこまで考えて、
また一つ、
気になってしまいました。
MSの中には、
核融合炉がある。
そして、
MSの中には、
もう一つ大事なものがある。
人間です。
……近くない?
今回は、
MSのパイロットと核融合炉の距離について、
ちょっと考えてみます。
■まず、MSの胴体は思ったより混んでいる
ガンダムを外から見ると、
巨大です。
18m。
20m。
Ξガンダムなんて、
さらに大きい。
だから、
内部にも余裕がありそうに感じます。
でも、
実際に必要なものを並べてみると、
そうでもない。
コクピット。
ジェネレーター。
冷却装置。
電子機器。
配線。
構造材。
駆動系。
武器へのエネルギー供給系統。
推進系。
さらに、
それらを守る装甲。
MSの胴体、結構パンパンです。
■そして、その中に人間が一人いる
ここが、
改めて考えると怖い。
パイロットは、
MSの中心付近に座ることが多い。
なぜか。
単純に考えれば、
そこが守りやすい。
手足の先端より、
胴体中央の方が、
装甲で囲める。
機体が動いた時の影響も、
末端より小さくしやすい。
兵器として考えれば、
人間を中心へ置くのは、
理にかなっています。
でも、
そこには、
ジェネレーターも置きたい。
重いものは、
機体の中心に近い方がいい。
エネルギーを全身へ送るにも、
中央付近が都合いい。
すると、
どうなるか。
パイロットと核融合炉が、同じ一等地を取り合う。
■核融合炉って、放射線は出ないの?
ここで、
当然の疑問です。
核融合。
放射線。
大丈夫なのか。
前回触れたように、
宇宙世紀の熱核反応炉では、
重水素とヘリウム3を利用する方式が設定されています。
この反応は、
核融合反応の中でも、
中性子の発生を抑えやすい方向です。
でも、
だからといって、
「放射線ゼロ」
という話ではありません。
副反応。
高エネルギー粒子。
炉そのものから発生するさまざまな放射線。
当然、
人間のすぐ横へ裸の炉心を置いていい、
なんてことにはならない。
■普通なら、重い遮蔽材を置きたい
現実なら、
放射線を防ぐために、
遮蔽が必要です。
問題は、
遮蔽材。
重い。
原子力施設を見れば分かります。
分厚い構造物。
大量の材料。
人間を放射線から守るには、
それなりの物量が必要になる。
ところが、
MS。
兵器です。
重くしたくない。
速く動きたい。
宇宙なら、
加速したい。
地上なら、
歩きたい。
ジャンプしたい。
場合によっては、
飛びたい。
そんな兵器へ、
何十トンもの遮蔽材を追加する。
困る。
■ここで、またIフィールドが出てくる
そして、
また、
この技術です。
Iフィールド。
前々回の記事でも出てきました。
ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉では、
ミノフスキー物理学を利用して、
炉心内部の状態を制御する。
さらに、
炉から生じる危険な粒子や放射線を、
可能な限り炉内へ封じ込める。
つまり、
宇宙世紀の核融合炉が小型化できた理由は、
単純に、
「核融合技術が進歩したから」
だけではない。
炉心の周囲に巨大な物理的遮蔽を置かなくても済む技術がある。
ここが、
MS搭載型ジェネレーターの重要なポイントなのだと思います。
■ミノフスキー粒子、働きすぎ問題
ここまで来ると、
思います。
ミノフスキー粒子。
仕事しすぎ。
レーダーを邪魔する。
核融合炉を成立させる。
Iフィールドを作る。
ビーム兵器へ関係する。
ミノフスキー・クラフト。
ミノフスキー・フライト。
そして、
パイロットを炉から守る技術にも関係する。
もう、
宇宙世紀の技術者が困ったら、
だいたい、
「ミノフスキー粒子で何とかします」
と言っている気がしてきます。
でも、
逆に言えば、
これがガンダムの設定の面白いところです。
一つの架空物理から、
複数の技術が枝分かれしている。
■それでも、コクピットの位置は怖い
さて。
放射線については、
ある程度、
何とかなりそうです。
でも、
僕がパイロットなら、
まだ怖い。
核融合炉は、
すぐ近く。
敵は、
ビーム・ライフルを撃ってくる。
実体弾も飛んでくる。
サーベルで斬られる。
もし、
装甲を貫通したら。
コクピットへ当たるかもしれない。
ジェネレーターへ当たるかもしれない。
冷却系へ当たるかもしれない。
どれも、
嫌です。
■だったら核融合炉を脚に入れればいい?
じゃあ、
ジェネレーターを、
人間から離せばいい。
脚。
どうでしょう。
でも、
MSは脚を失うことがある。
嫌だ。
腕。
もっと嫌だ。
バックパック。
敵から狙われやすい。
しかも、
重いジェネレーターを機体の端へ置くと、
重量バランスにも影響する。
結局、
胴体付近が一番マシ。
人間も、
胴体。
ジェネレーターも、
胴体。
こうして、
仲良く同居することになる。
■ガンダムは、さらに厄介
RX-78-2ガンダム。
コア・ブロック・システム。
コア・ファイターが、
胴体へ収まる。
つまり、
機体中央部には、
脱出機構まで入っている。
パイロット。
コア・ファイター。
ジェネレーター関連。
駆動系。
各種機器。
それを、
18m級の機体へ入れる。
設計者。
大変だったと思います。
ガンプラで、
コア・ファイターを胴体へ入れて、
「おお、入った」
なんて喜んでいましたが、
よく考えると、
よく全部入れたな。
■全天周囲モニターになっても、人間は真ん中
時代が進むと、
コクピットも変わります。
全天周囲モニター。
リニアシート。
操縦環境は、
どんどん進化する。
パイロットは、
球状に近いコクピットの中で、
周囲の映像を見る。
でも、
基本的な問題は同じです。
外では、
MS同士が撃ち合う。
内側には、
巨大なエネルギーを扱う機械がある。
そして、
その真ん中に、
人間が座っている。
MSがどれだけ進化しても、
最後に操縦しているのは、
生身の人間です。
■だから「コクピット周辺の装甲」は重要になる
ここから考えると、
MSの装甲って、
全部同じ重要度ではないはずです。
腕。
脚。
頭。
もちろん大事。
でも、
胴体。
特に、
コクピット周辺。
ここは、
絶対に守りたい。
パイロットが死ねば、
機体が無事でも戦えない。
ジェネレーターを破壊されても、
戦えない。
つまり、
MSの胴体には、
人間と動力源という、二つの最重要部品が集中している。
敵からすれば、
狙いたい。
味方からすれば、
守りたい。
そりゃ、
胸部装甲も厚くなる。
■「胸を狙え」は、実はかなり怖い
ガンダムを見ていると、
ビームが胴体を貫く。
その瞬間、
MSが爆発する。
映像としては、
一瞬です。
でも、
中身を想像すると、
かなり怖い。
装甲を貫通。
↓
内部機器を破壊。
↓
配線。
冷却系。
ジェネレーター周辺。
コクピット。
どこへ当たっても、
致命傷になり得る。
MSの胴体って、
言ってみれば、
急所の詰め合わせ
なんですよね。
■なら、なぜ無人化しない?
そして、
最後はここへ行き着きます。
そんなに危ないなら、
人間を乗せなければいい。
無人MS。
遠隔操作。
AI。
宇宙世紀の技術なら、
できそうです。
でも、
そこで、
最初のミノフスキー粒子へ戻る。
通信が妨害される。
遠距離から、
安定して操縦するのが難しい。
だから、
人間を現場へ持っていく。
つまり、
また、
ミノフスキー粒子です。
MSを生んだ技術が、
核融合炉を小型化する。
そして、
通信を妨害することで、
人間をMSへ乗せる理由まで作っている。
よくできています。
■しかもニュータイプまで乗せる
そして、
宇宙世紀は、
さらにおかしくなる。
ニュータイプ。
サイコミュ。
サイコフレーム。
機械と人間の距離が、
どんどん近づいていく。
最初は、
核融合炉の横に人間を座らせただけだった。
それが、
最終的には、
人間の意思そのものを、
機体へ接続していく。
そう考えると、
宇宙世紀のMS進化って、
単純に機械が高性能になった話ではない。
人間を、どこまで機械の中へ入れるのか。
そんな歴史にも見えてきます。
■そしてΞガンダム
前々回から登場している、
Ξガンダム。
大型。
高出力。
ミノフスキー・フライト。
大量の機器。
武装。
その中心に、
ハサウェイがいる。
外から見れば、
第五世代MS。
最新鋭。
すごい兵器です。
でも、
内部を想像すると、
人間一人の周囲に、
宇宙世紀最高峰の技術を、
これでもかと詰め込んでいる。
それで、
マッハ級の世界を飛ぶ。
僕なら、
発進前に言います。
「すみません、今日は体調悪いので休みます。」
■しめ
MSのパイロットは、
核融合炉のすぐ近くにいて、
大丈夫なのか。
宇宙世紀では、
ミノフスキー物理学を使った熱核反応炉によって、
核融合炉そのものが、
現実とは違う進化をしています。
Iフィールド。
炉心制御。
放射線の封じ込め。
小型化。
そうした技術があるからこそ、
人間が乗る18m級の機械へ、
高出力の核融合炉を搭載できる。
でも、
安全だからといって、
怖くないわけではない。
コクピット。
ジェネレーター。
冷却装置。
推進系。
弾薬。
それらが、
巨大な人型兵器の中に、
ぎゅっと詰め込まれている。
外からは、
ビームが飛んでくる。
中には、
小さな太陽。
そして、
その間に、
人間が座っている。
そう考えると、
MSパイロットって、
ニュータイプかどうか以前に、
乗り込める時点ですごい。
僕なら、
整備兵に聞きます。
「今日、ジェネレーター大丈夫?」
整備兵。
「たぶん。」
僕。
「降ります。」
今日はここまで。それでは、また別のお話で。