おはこんにちは。どうも僕です。
ザクを作っていて、
ふと思いました。
この肩のトゲ、いる?
いや。
何を今さら。
ザクといえば、
モノアイ。
動力パイプ。
丸いシールド。
そして、
肩のトゲ。
これがなくなったら、
たぶんザクじゃない。
でも、
ガンダムを40年以上見てきた僕らは、
あまりにも見慣れてしまった。
だから一度、
ザクを知らない人になったつもりで見てみます。
右肩には、
シールド。
左肩には、
トゲ。
左右で全然違う。
なぜ?
今回は、
ザクの左肩に付いている「スパイクアーマー」は、本当に必要なのか。
ちょっと真面目に考えてみます。
■まず、あれは飾りではない
ザクIIの左肩。
丸みを帯びた肩装甲から、
三本のスパイクが突き出ています。
名前もそのまま、
スパイクアーマー。
デザインとしては、
ものすごく優秀です。
一目見ただけで、
「こいつはガンダムとは違う側だ」
と分かる。
丸い。
無骨。
そして、
攻撃的。
ザクという兵器の性格が、
肩だけで伝わってきます。
でも、
宇宙世紀の中では、
単なるデザインではない。
格闘戦で、
相手へショルダータックルを仕掛ける。
その際、
スパイクそのものを攻撃に使える。
理屈としては、
分かります。
ただ、
ここからです。
■巨大ロボットでタックルする必要ある?
そもそも、
ザクには武器があります。
ザク・マシンガン。
ザク・バズーカ。
ヒート・ホーク。
だったら、
撃てばいい。
近づいたなら、
ヒート・ホークを使えばいい。
わざわざ、
十数メートルあるMS同士で、
肩から突っ込む必要があるのか。
普通に考えれば、
かなり危ない。
相手にダメージを与えられたとしても、
自分も衝撃を受けるからです。
■体当たりは「相手だけ」が痛いわけじゃない
人間同士でも同じです。
壁に肩から突っ込めば、
壁だけではなく、
こちらの肩も痛い。
MSなら、
もっと大変です。
ザクIIの重量は、
何十トンという世界。
それが速度を持ったまま、
敵MSへ衝突する。
衝突した瞬間、
スパイク。
肩装甲。
肩関節。
フレーム。
胴体。
そこへ、
ものすごい荷重が入る。
つまり、
スパイクを硬く作れば終わりではありません。
その衝撃を機体全体で受け止めなければならない。
ここが、
兵器として考えた時の面白いところです。
■スパイクより肩関節の方が心配
僕が整備兵なら、
たぶん言います。
「やめてくれ。」
せっかく整備したザクで、
敵に肩から突っ込んで帰ってくる。
スパイクが曲がった。
装甲がへこんだ。
肩関節がズレた。
内部の配線に異常。
動力パイプにも損傷。
そして、
パイロット。
「倒しました!」
いや、
こっちの仕事増えとるがな。
実際の兵器として考えると、
再使用する機械で体当たり攻撃をするのは、
かなり乱暴です。
■でも「最後の一手」なら話は変わる
ただし、
戦場では、
いつも理想的な状況になるとは限りません。
弾切れ。
武器を落とした。
ヒート・ホークがない。
敵が目の前にいる。
逃げられない。
そういう時、
ザクそのものが武器になる。
腕で殴る。
蹴る。
そして、
肩からぶつかる。
そう考えると、
スパイクアーマーは、
主武装というより、機体そのものを使った格闘戦の補助装備
と考えた方がしっくりきます。
最初から、
「今日は肩で三機倒すぞ」
ではない。
最後の最後。
武器がなくても、
まだ戦える。
そんな装備だったのかもしれません。
■しかもザクは「最初の本格的なMS」
ここも重要だと思います。
僕らは、
ザクの後に登場したMSを知っています。
グフ。
ドム。
ゲルググ。
ガンダム。
ジム。
そして、
その後何十年分ものMS。
でも、
ザクが作られた時点では、
MS同士の戦闘そのものが、
まだ新しい。
つまり、
「MS同士はどう戦うのが正解なのか」
誰も完成形を知らない。
射撃なのか。
格闘なのか。
体当たりなのか。
だから、
いろいろな可能性を機体に持たせる。
その一つが、
スパイクアーマーだったと考えると、
妙にリアルです。
■昔の兵器にも「とりあえず付けてみた」はある
兵器の歴史を見ても、
新しい兵器が登場した直後って、
結構面白い。
何が正解か分からないから、
いろいろ試す。
戦車が登場した頃も、
今の戦車とはずいぶん形が違う。
航空機も同じ。
最初から、
現在の戦闘機の形が完成していたわけではありません。
実戦。
失敗。
改良。
また実戦。
その繰り返しで、
「必要なもの」と、
「いらないもの」が整理されていく。
ザクも、
そうだったんじゃないか。
そう考えると、
あの肩のトゲが、
急に試行錯誤の跡に見えてきます。
■そしてグフを見る
ここで、
グフです。
グフにも、
肩のスパイクがある。
しかも、
ザクより、
明らかに攻撃的。
グフは、
近接戦闘を強く意識したMS。
つまり、
ザクにあった、
「肩も武器として使える」
という発想が、
より格闘寄りの機体へ受け継がれたようにも見える。
ただ、
その後のジオン系MSを見ていくと、
肩のスパイクが、
すべてのMSの標準装備になったわけではありません。
ここが面白い。
■結局、MSの格闘戦は「手持ち武器」へ行く
MSが進化すると、
格闘戦の主役は、
より明確になっていきます。
ヒート・ホーク。
ヒート・サーベル。
ビーム・サーベル。
ビーム・ナギナタ。
つまり、
機体そのものをぶつけるより、武器を持たせた方がいい。
まあ、
そりゃそうです。
武器なら、
壊れても交換できる。
機体本体を壊すより安い。
リーチも取れる。
そして何より、
肩関節を犠牲にしなくていい。
整備兵も、
少し安心です。
■それでもスパイクが消えない理由
じゃあ、
なぜザクには、
あのスパイクが必要だったのか。
実用性だけでは、
説明しきれない気がします。
僕は、
もう一つあると思っています。
威圧感。
兵器って、
性能だけではありません。
相手に、
「怖い」
と思わせることも、
意味を持つ。
ザクのモノアイ。
低く見える頭。
むき出しの動力パイプ。
そして、
肩から突き出した三本のスパイク。
人間に置き換えれば、
鎧を着た兵士が、
肩に棘まで付けているようなものです。
近づきたくない。
■ザクは「兵器」なのに、どこか甲冑っぽい
ガンダムと並べると、
よく分かります。
ガンダムは、
白。
直線的。
顔がある。
どこかヒーロー的。
一方、
ザク。
緑。
丸い。
一つ目。
肩にトゲ。
どこか、
甲冑を着た兵士
みたいです。
だから、
スパイクアーマーには、
兵器としての機能と、
ジオンMSらしい威圧感の両方が入っているように感じます。
そして、
ガンプラでザクを作ると、
ここが本当に重要。
■トゲを取ったザクを想像してみる
一度、
頭の中でやってみてください。
ザクII。
左肩のスパイクを、
全部外す。
つるん。
……。
なんか弱そう。
不思議です。
性能は、
ほぼ変わらないはずなのに。
でも、
ザクらしさが一気に減る。
逆に、
肩のトゲを大きくすると、
一気に強そうになる。
シャア専用ザクなんか、
赤い機体に、
あの肩。
もう、
「近づいたらヤバい奴」
にしか見えない。
つまり、
スパイクアーマーは、
機能部品であると同時に、
ザクという兵器のキャラクターを完成させている部品
なんです。
■ガンプラだと、もっと面白い
RGやMGのザクを作っていると、
肩のスパイクアーマーって、
結構存在感があります。
正面。
斜め前。
横。
見る角度によって、
シルエットが変わる。
右肩には、
大きなシールド。
左肩には、
スパイク。
左右非対称。
これが、
めちゃくちゃ格好いい。
合理性だけ考えれば、
左右同じ装甲にした方が、
生産も整備も楽そうです。
でも、
そうしなかった。
だから、
ザクになった。
■右肩のシールドも気になってくる
そして、
左肩のスパイクを考え始めると、
当然、
次が気になる。
右肩のシールド。
なぜ、
手に持たない?
なぜ、
肩?
なぜ、
右だけ?
しかも、
あの位置で、
本当に弾を防げる?
……。
また、
余計なところが気になってしまいました。
これは、
別の記事でやります。
■しめ
ザクの肩のトゲ。
子供の頃は、
ただ、
格好いい。
それだけでした。
今見ても、
格好いい。
でも、
兵器として考えると、
ちょっと不思議です。
巨大なMSで、
敵に肩から突っ込む。
当然、
自分にも衝撃が来る。
肩関節にも負担がかかる。
整備も大変。
それでも、
スパイクを付けた。
MSという新しい兵器の戦い方が、
まだ確立していなかった時代。
射撃だけではなく、
機体そのものを武器として使う。
そんな発想が、
ザクの肩には残っているのかもしれません。
そして、
実用性とは別に、
あの三本のトゲがなければ、
ザクはザクにならなかった。
そう考えると、
あれは単なる飾りでも、
単なる格闘武器でもない。
「MSという新兵器をどう戦わせるか」という試行錯誤と、ザクというデザインを決定づけた部品。
そんな気がします。
でも、
僕がジオンの整備兵だったら、
パイロットには一言だけ言います。
「頼むから、できればヒート・ホーク使ってくれ。」
今日はここまで。それでは、また別のお話で。