~たった一年で地球圏はどう変わったのか。ガンダム初心者のための一年戦争入門~

おはこんにちは。どうも僕です。

『機動戦士ガンダム』を観ていると、

アムロがガンダムに乗る。

シャアが追いかけてくる。

ホワイトベースが地球へ降りる。

ランバ・ラルが来る。

黒い三連星が来る。

ジャブローへ行く。

そして、

また宇宙へ上がる。

子供の頃の僕は、

これで十分でした。

ガンダムとジオンが戦っている。

でも大人になって宇宙世紀を見直すと、ふと思います。

そもそも、

一年戦争って、何をやっている戦争なんだ?

アムロたちが戦っている裏側で、

地球では何が起きていたのか。

宇宙では何が起きていたのか。

なぜ最初は圧倒的だったジオンが、

たった一年で負けたのか。

今回は『機動戦士ガンダム』をまだ全部観ていない人でも分かるように、

一年戦争全体を、大きな流れで見てみます。


■一年戦争とは何なのか

一年戦争とは、

宇宙世紀0079年に、

ジオン公国と地球連邦の間で起きた戦争

です。

前回の記事で、

ジオン公国について書きました。

地球から離れたスペースコロニー。

スペースノイド。

ジオン・ズム・ダイクン。

ザビ家。

そして、

ジオン公国。

宇宙に暮らす人々と、

地球を中心に巨大な政治体制を築く地球連邦。

その対立が、

ついに全面戦争になる。

それが、

一年戦争です。


■最初に強かったのは、ジオンだった

ここが初心者には意外かもしれません。

ガンダムが主人公だから、

最初から連邦軍が強そうに見える。

でも、

戦争序盤の主導権を握ったのは、

ジオン公国軍。

大きな理由の一つが、

モビルスーツ。

ザクです。

以前ミノフスキー粒子の記事でも書きました。

レーダーや長距離通信が大きく制限される環境で、

接近して戦える機動兵器。

MS。

ジオンは、

その新しい戦争のやり方を先に実戦投入した。

一方の地球連邦軍は、

巨大な艦隊を持っている。

人口も多い。

資源もある。

工業力もある。

でも、

MSを中心にした戦争への対応が遅れていた。

最新兵器を持つ小さな国。

巨大な国力を持つ大国。

一年戦争の序盤は、

そんな構図にも見えます。


■開戦。そして戦争はいきなり最悪の方向へ行く

一年戦争は、

最初からMS同士が格好良く戦う戦争だったわけではありません。

コロニー。

艦隊。

核兵器。

大量破壊。

そして、

コロニー落とし。

戦争序盤から、

地球圏全体を巻き込む巨大な被害が発生します。

ここは、

一年戦争を理解するうえで忘れちゃいけないところです。

僕らはガンプラを作る。

ザク格好いい。

グフ格好いい。

ドム格好いい。

もちろん、それでいい。

僕も大好きです。

でも作品世界の中では、

一年戦争は、

人類規模の大惨事。

だからこそ、

その後の宇宙世紀にもずっと傷跡が残る。


■ルウム戦役――「MSって、とんでもない兵器じゃないか」

戦争序盤の大きな戦いが、

ルウム戦役。

ジオン軍のMSが、

連邦軍の宇宙艦隊を相手に大きな戦果を挙げる。

そして、

ここで名を上げる男がいる。

シャア・アズナブル。

赤いザク。

通常とは違う赤い機体。

高い機動力。

そして、

「赤い彗星」。

シャアという伝説が、

ここから始まります。

同時に連邦側は、

思い知らされる。

「MSを何とかしないと、この戦争はまずい。」


■ジオン、地球へ降りる

そしてジオンは、

宇宙だけでなく、

地球へ進出します。

地球降下作戦です。

公式解説でも、U.C.0079年3月の第1次降下作戦以降、ジオン軍は複数回にわたり地球へ降下し、一時は地上の広範囲へ勢力を拡大したとされています。

ところが、

ここで問題が起きる。

補給です。

地球は、

広い。

ものすごく広い。

宇宙から地球へ兵士を送る。

MSを送る。

弾薬を送る。

燃料を送る。

交換部品を送る。

食料を送る。

そして壊れたMSを直す。

前線が広がれば広がるほど、

補給線も伸びる。

公式解説でも、ジオン軍の急速な地上展開によって補給線が伸び、戦線が膠着したことが、連邦軍に反撃準備の時間を与えたとされています。

これ。

僕らが今までブログで何度も考えてきた、

兵站の話

そのものなんですよね。

強いMSを持っているだけでは、

戦争には勝てない。


■その頃、連邦は何をしていたのか

連邦軍も、

ただやられていたわけではありません。

ジオンのMSに対抗するため、

新しい兵器を開発する。

V作戦。

ガンタンク。

ガンキャノン。

そして、

RX-78-2。

ガンダム。

さらに、

ペガサス級強襲揚陸艦、

ホワイトベース。

ここでようやく、

僕らが知っている『機動戦士ガンダム』の物語へつながります。


■そしてU.C.0079年9月。アムロがガンダムに乗る

サイド7。

ジオン軍の偵察。

ザク。

攻撃。

そして、

少年がガンダムへ乗る。

アムロ・レイ。

ここで大事なのは、

一年戦争は、

この瞬間に始まったわけではないということです。

すでに戦争は、

約8か月続いている。

地球ではジオン軍が戦っている。

宇宙でも艦隊が戦っている。

大勢の兵士が死んでいる。

その巨大な戦争の途中へ、

アムロとホワイトベースが入ってきた。

こう考えると、

初代ガンダムの見え方が変わります。


■ホワイトベースは「戦争そのもの」ではない

これ、

初心者向けの記事では一番伝えたいところかもしれません。

『機動戦士ガンダム』を観ていると、

ホワイトベースが世界の中心に見えます。

当然です。

主人公たちだから。

でも、

一年戦争全体から見れば、

ホワイトベース隊は、

巨大な戦争の一部。

その頃、

別の場所でも、

戦争は続いている。

例えば、

『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』。

地球の東南アジア戦線で、

陸戦型ガンダムなどを運用する部隊の戦いが描かれる。

つまり、

アムロが戦っている頃、

別の場所ではシロー・アマダたちも戦っている。

一年戦争の「別の窓」です。

公式でも『第08MS小隊』は一年戦争の裏面を描く作品として紹介されています。


■そして『MS IGLOO』

さらに、

『機動戦士ガンダム MS IGLOO』。

こちらは、

一年戦争を別の角度から見る作品です。

試作兵器。

技術者。

兵士。

そして、

戦争に翻弄される人間。

ガンダムとシャアだけを追っていると見えにくい、

軍隊という巨大な組織の戦争

が見えてくる。

一年戦争を立体的に見るなら、

こうした外伝作品がものすごく面白い。


■11月。オデッサ

そして、

戦争が大きく動きます。

オデッサ作戦。

地球連邦軍による、

大規模反攻作戦。

公式解説では、

U.C.0079年11月7日に作戦開始。

11月9日にはジオン軍の最終防衛線が突破され、

連邦軍が勝利しています。

ここが、

一年戦争の大きな転換点になります。

なぜ重要なのか。

ジオンは、

地球上の重要な資源拠点を失う。

そして、

地上での主導権も失っていく。

一方の連邦は、

ここから反撃を加速する。

戦争の流れが、

ジオンから連邦へ傾き始める。


■ジャブロー

そして、

地球連邦軍の巨大地下基地、

ジャブロー。

ジオン軍は、

ここを攻撃します。

しかし、

攻略できない。

連邦軍は、

その間にもMSの量産を進めています。

そう。

GM。

ガンダム一機ではありません。

ガンダムで得た技術を、

量産する。

ここで、

一年戦争の性格が変わります。


■ガンダムではなく、GMが怖い

ジオンから見れば、

本当に怖いのは、

RX-78-2だけではなかったのかもしれません。

もちろん、

アムロのガンダムは強い。

シャアも苦戦する。

エースたちも倒される。

でも、

戦争という規模で見るなら、

もっと怖いものがある。

連邦軍がMSを大量生産できるようになったこと。

GM。

ボール。

艦艇。

兵士。

弾薬。

補給。

そして、

巨大な工業力。

ザクという革新的兵器で先行したジオンに、

連邦が追いついた。

すると、

もともとの国力差が効いてくる。

ここが、

ジオンにとって非常に苦しい。


■再び宇宙へ

地上で優位を取り戻した連邦軍は、

宇宙へ反攻します。

そして、

戦争終盤。

舞台は、

再び宇宙へ。

ここから、

ガンダム好きならたまらない機体が、

どんどん出てくる。

ゲルググ。

ジオング。

ビグ・ザム。

そして、

連邦側にも大量のGM。

ただ、

新型MSを作れば、

すぐ戦力になるわけではない。

パイロットが必要。

整備兵が必要。

補給が必要。

部品が必要。

訓練が必要。

戦争末期のジオンは、

技術があっても、それを十分な戦力へ変える時間がなくなっていく。

ここにも、

兵器と戦争の違いがあります。


■ソロモン

ジオンの宇宙要塞、

ソロモン。

ドズル・ザビ。

そして、

ビグ・ザム。

ここで大規模な戦闘が行われ、

ジオンは重要拠点を失います。

子供の頃は、

ビグ・ザムでかい。

ドズル怖い。

「やらせはせん!」

そんなところばかり見ていました。

でも大人になると、

違って見える。

ソロモンを失うということは、

単に一つの基地を失うわけではない。

防衛拠点。

補給。

艦隊運用。

宇宙での戦略。

それら全部へ影響する。

戦争は、

さらに終わりへ近づきます。


■その頃、別のコロニーでは

そして、

一年戦争の終盤を、

まったく違う視点で描いた作品があります。

『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』。

舞台は、

サイド6。

アル。

バーニィ。

クリス。

こちらは、

アムロでも、

シャアでもない。

戦争を、

一人の少年の目から見る。

公式でも『0080』は一年戦争を背景にした作品として位置づけられ、U.C.0079を舞台としています。

これを見ると、

一年戦争という言葉の意味が変わります。

歴史の教科書なら、

「連邦軍勝利」。

それで一行です。

でも、

その一行の中に、

無数の人間の人生がある。

僕は、

そこがガンダムのすごいところだと思います。


■そしてア・バオア・クー

U.C.0079年12月31日。

一年戦争最後の大規模決戦。

ア・バオア・クー。

地球連邦軍。

ジオン公国軍。

そして、

アムロとシャア。

RX-78-2。

ジオング。

二人の戦いも、

ここで一つの頂点を迎える。

でも、

同時に、

ジオンという国家そのものも崩れていく。

ザビ家。

指揮系統。

政治。

軍。

いろいろなものが、

一気に崩壊する。

そして、

一年戦争は終結へ向かいます。


■なぜジオンは負けたのか

ここまで見ると、

かなり分かりやすくなります。

ジオンには、

革新的な技術があった。

ザクがあった。

優秀なパイロットもいた。

新型MSも次々に作った。

でも、

戦争は、

MSの性能比較大会ではない。

国力。

人口。

工業力。

資源。

輸送。

補給。

整備。

パイロット育成。

そして、

時間。

これら全部で戦う。

ジオンは戦争序盤、

MSという新しい兵器によって大きな優位を得た。

しかし、

地球へ戦線を広げすぎる。

補給線が伸びる。

戦争が長引く。

その間に、

連邦がMSを開発する。

そして、

量産する。

ここから、

もともとの国力差が効き始める。


■「ガンダムが戦争に勝った」は、少し違う

ここも、

僕は大事だと思います。

アムロは、

間違いなく大きな戦果を挙げた。

ガンダムも、

一年戦争を象徴するMSになった。

ホワイトベース隊も、

重要な戦いへ参加した。

でも、

ガンダム一機が一年戦争に勝ったわけではありません。

GMを作った工場。

輸送艦。

整備兵。

補給部隊。

艦隊。

歩兵。

パイロット。

通信。

医療。

食料。

そして、

名前も出てこない大量の人間。

以前、

「ガンダムを戦わせているのは、パイロットだけなのか?」

という記事を書きました。

一年戦争全体を見ると、

その答えがよく分かります。

戦争をしているのは、モビルスーツだけではない。


■一年戦争を一本の線にすると

初心者向けに、

思い切ってまとめます。

U.C.0079年1月

ジオン公国、地球連邦へ宣戦布告。

↓

戦争序盤

コロニー落とし。

ルウム戦役。

ジオン軍がMSによって優位を得る。

↓

3月以降

ジオン軍、地球降下。

地上へ勢力拡大。

しかし補給線が伸び、戦線が膠着。

↓

9月

サイド7。

アムロ・レイ、

RX-78-2ガンダムに乗る。

↓

11月

オデッサ作戦。

連邦軍が大規模反攻。

戦局が連邦側へ傾く。

↓

ジャブロー

連邦軍のMS量産体制が本格化。

GMが戦場へ。

↓

12月

連邦軍、

宇宙へ反攻。

↓

ソロモン

ジオン重要拠点陥落。

↓

12月31日

ア・バオア・クー。

ジオン軍崩壊。

↓

U.C.0080年1月1日

終戦へ。

こうして見ると、

本当に、

一年しかない。

ものすごく濃い一年です。


■でも、戦争は本当に終わったのか

そして、

ここから前回の記事につながります。

ジオン公国は負けた。

一年戦争は終わった。

でも、

兵士は残った。

MSも残った。

思想も残った。

恨みも残った。

地球と宇宙の問題も、

全部解決したわけではない。

だから、

デラーズ・フリートが生まれる。

アクシズが残る。

ネオ・ジオンが生まれる。

シャアが再び立つ。

そして、

「袖付き」へ。

つまり、

一年戦争は終わった。

でも、

一年戦争が生んだものは、終わらなかった。

ここから宇宙世紀の長い物語が始まります。


■しめ

子供の頃の僕にとって、

一年戦争は、

ガンダムとザクが戦っている戦争でした。

アムロとシャア。

ホワイトベースとジオン。

でも、

大人になって見直すと、

もっと巨大なものだった。

宇宙。

地球。

コロニー。

何億という人間。

国家。

産業。

工場。

補給。

技術。

そして、

そこに生きる普通の人たち。

アムロの物語は、

その巨大な戦争の中を走った、

一本の線だったんです。

その隣では、

シローが戦っている。

別の場所では、

アルが戦争を見ている。

そして、

名前すら出てこない兵士たちが、

ザクに乗り、

GMに乗り、

戦艦に乗り、

戦っている。

そう考えてから初代ガンダムを見ると、

背景に見えるGM一機にも、

ザク一機にも、

少し違ったものを感じます。

一年戦争とは、

ガンダムが勝った戦争ではない。

新しい兵器で先行したジオンと、巨大な国力で追いついた連邦が、地球圏全体を巻き込んで戦った戦争。

そして、

その傷跡が、

その後の宇宙世紀を作っていく。

だから、

『Ζガンダム』も、

『逆襲のシャア』も、

『ガンダムUC』も、

結局ここへ戻ってくる。

U.C.0079。

すべては、

この一年から始まった。

今日はここまで。それでは、また別のお話で。