おはこんにちは。どうも僕です。

ガンダムを初めて観たとき。

僕の中のジオンは、かなり単純でした。

ザクに乗っている敵。

緑色のザク。

赤いシャア専用ザク。

グフ。

ドム。

そして、ちょっと怖いジオンのマーク。

子供からすれば、連邦軍にはガンダムがいて、ジオン軍にはザクがいる。

それで十分だったんです。

ところが宇宙世紀を追いかけていくと、だんだんおかしなことに気づきます。

一年戦争でジオン公国は敗れた。

なのに、

デラーズ・フリート。

アクシズ。

ネオ・ジオン。

シャアのネオ・ジオン。

そして「袖付き」。

ジオンが、いつまで経っても消えない。

なぜなのか。

そもそもジオンとは国なのか。

軍隊なのか。

思想なのか。

今回は初心者向けに、ここを整理してみたいと思います。


■そもそも、スペースノイドとは何なのか

ジオンを理解するには、まず宇宙世紀の人類が置かれた状況を知らないといけません。

人口増加や環境問題を背景に、人類は宇宙へ進出しました。

巨大なスペースコロニーを建設し、そこで暮らすようになる。

宇宙で生活する人々が、

スペースノイド。

一方、地球に住み続ける人々は、

アースノイド。

問題は、宇宙へ移住したからといって、政治の中心まで宇宙へ移ったわけではなかったことです。

地球連邦政府の中心は地球にある。

宇宙に暮らす人々も、その統治を受ける。

ここに、

「自分たちは宇宙で暮らしているのに、なぜ地球から支配されなければならないのか」

という不満が生まれていきます。

これがジオン誕生の土壌になります。


■ジオン・ズム・ダイクン

そこで登場する重要人物が、

ジオン・ズム・ダイクン。

初心者にはややこしいですが、

最初の「ジオン」は国名ではありません。

人の名前です。

ダイクンは、宇宙へ進出した人類の可能性を説き、サイド3で地球連邦からの独立を目指していきます。

『THE ORIGIN』では、U.C.0068のサイド3・ムンゾ自治共和国で、ダイクンが地球連邦政府からの完全独立を宣言しようとする時代が描かれています。

つまり最初にあったのは、

「宇宙に住む人間は、自分たちのことを自分たちで決めたい」

という政治的な要求だったわけです。

この段階では、

ザクもありません。

シャア専用ゲルググもありません。

もちろんジオングもありません。

出発点は、

政治と思想だった。

ここが大事です。


■ところがダイクンが死ぬ

そして歴史が動きます。

ジオン・ズム・ダイクンが急死する。

その後、サイド3で実権を握っていくのが、

デギン・ソド・ザビを中心とするザビ家。

『THE ORIGIN』では、ダイクンの死後、デギン率いるザビ家がサイド3で実権を掌握していく過程が描かれています。

そしてデギンは、

ダイクンの名前を国名として残します。

ジオン公国。

公式紹介でも、デギンはサイド3のジオン自治共和国議会議長から、U.C.0078年に建国されたジオン公国の初代公王となり、国名にはジオン・ズム・ダイクンの名が使われたとされています。

ここで非常に面白いことが起きる。

ダイクンが残した、

「ジオン」という名前。

しかし、その名前を掲げて国家を動かしているのは、

ザビ家。

ここから「ジオン」という言葉が、少し複雑になっていきます。


■ザビ家とは何者なのか

ガンダム初心者が最初に覚えるザビ家。

デギン・ソド・ザビ。

ギレン・ザビ。

キシリア・ザビ。

ドズル・ザビ。

ガルマ・ザビ。

この一家がジオン公国の政治・軍事の中心になります。

特に大きな力を持つのが、

ギレン・ザビ。

そしてU.C.0079年1月3日。

ジオン公国は地球連邦へ宣戦を布告します。公式の『THE ORIGIN』キャラクター紹介でも、ギレンがこの日に宣戦布告したことが示されています。

これが、

一年戦争。

つまり、

ジオン・ズム・ダイクンの時代に始まったスペースノイドの自治・独立という問題が、

ザビ家の時代には、

巨大な国家間戦争へ変わっていった。

ここは分けて考えた方が、宇宙世紀は分かりやすくなります。


■だから「ジオン=スペースノイド」ではない

これも初心者が混乱しやすいところ。

宇宙に住んでいる人が、

全員ジオンだったわけではありません。

スペースノイドの中にも、

ジオンを支持する人。

支持しない人。

連邦側につく人。

戦争なんてどうでもいいから普通に暮らしたい人。

いろいろいる。

だから、

スペースノイド=ジオン

ではありません。

同じように、

ジオン・ズム・ダイクンの思想=ザビ家の政策

とも単純には言えない。

ここを一緒にしてしまうと、ガンダムの政治が一気に分かりにくくなります。


■そしてジオンはモビルスーツを作った

政治の話が続きましたが、ここで僕らの大好きな話です。

モビルスーツ。

ジオン公国は、ミノフスキー粒子によって従来のレーダーや長距離誘導兵器が使いにくくなる戦場を見据え、MSを実戦兵器として発展させていきます。

ザク。

グフ。

ドム。

ゲルググ。

そして、

ジオング。

つまりジオンは、

思想や政治だけで連邦へ挑んだわけではない。

戦争のルールそのものを変える兵器を持ち込んだ。

これが一年戦争初期における大きな強みになります。

国力では巨大な地球連邦。

そこへ、

新しい戦争のやり方を持ったジオン。

この構図は非常に面白い。

そして前回の「モビルスーツの系譜」の話とも、ここでつながります。


■でも、一年戦争でジオン公国は負ける

そしてU.C.0079年12月31日。

ア・バオア・クー。

一年戦争は終結へ向かいます。

ザビ家は崩壊。

ジオン公国も終わる。

普通なら、

ここで「ジオンの物語」は終わりそうです。

ところが、

終わらない。

むしろ宇宙世紀は、

ここからが長い。


■負けた兵士たちは、どこへ行ったのか

戦争が終わった瞬間、

兵士全員が、

「はい、今日から普通の生活に戻ります」

とはなりません。

終戦を受け入れられない人間もいる。

地球圏に潜伏する者。

辺境へ逃れる者。

アステロイド・ベルトへ向かう者。

『0083 STARDUST MEMORY』の公式解説でも、一年戦争後の旧ジオン公国軍残党は、アクシズへ向かう勢力と地球圏に残る勢力へ分かれたとされています。

ここから、

ジオン残党

という存在が生まれます。

国はなくなった。

でも、

人間は残った。

兵器も残った。

思想も残った。

恨みも残った。

これが重要です。


■デラーズ・フリート

その一つが、

『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場する、

デラーズ・フリート。

一年戦争の終結を認めず、ジオンの理想を掲げ続ける勢力です。

アナベル・ガトー。

「ソロモンの悪夢」。

彼らを見ると、

「ジオン」という言葉が、

もう単なる国家名ではなくなっていることが分かります。

すでにジオン公国という国家は存在しない。

それでも彼らは、

自分たちをジオンにつながる者だと考えている。

ここから先のジオンは、

だんだん、

記憶や理念の名前

になっていくように見えます。


■アクシズ

そして一年戦争後、

多くのジオン系勢力が逃れた場所の一つが、

アクシズ。

小惑星基地です。

ここで旧ジオン系の人々は力を蓄える。

そして登場するのが、

ハマーン・カーン。

『Ζガンダム』から『ΖΖ』へ。

アクシズ勢力は地球圏へ戻ってきます。

そしてグリプス戦役後、

アクシズは、

ネオ・ジオン

を名乗るようになる。

公式の『ΖΖ』解説でも、グリプス戦役後にアクシズが「ネオ・ジオン」を宣言し、地球圏の制圧へ動き出したと説明されています。

「ネオ」。

つまり、

新しいジオン。

ジオンという名前が、また蘇ります。


■そしてシャアも「ジオン」を名乗る

さらにU.C.0093。

シャア・アズナブル。

いや、

キャスバル・レム・ダイクン。

ジオン・ズム・ダイクンの息子です。

ここで話が最初へ戻ります。

ダイクン。

ザビ家。

一年戦争。

残党。

アクシズ。

ネオ・ジオン。

そして、

シャア。

シャアは新たなネオ・ジオンを率い、

地球連邦へ反旗を翻す。

『逆襲のシャア』です。

考えてみればすごい話です。

父親の名前だった「ジオン」が、

国家の名前になり、

軍隊の名前になり、

残党の旗になり、

そして息子のもとへ戻ってくる。

宇宙世紀の「ジオン」という言葉には、

何十年もの歴史が詰まっています。


■さらに「袖付き」へ

それでも終わりません。

U.C.0096。

『機動戦士ガンダムUC』。

そこには、

ネオ・ジオン残党、

「袖付き」

が登場します。

もう一年戦争から17年。

ザクが初めて戦場を駆けた時代から、

ずいぶん時間が経っている。

それでも、

ジオンという記憶は残っている。

ここまで来ると、

ジオンはもはや、

単純な国家名では説明できません。


■なぜジオンは消えなかったのか

ここが今回、一番考えたかったところです。

ジオン公国は、

一年戦争で敗れました。

それなのに、

なぜ「ジオン」は消えなかったのか。

僕は、

国がなくなっても、その国が生まれた原因までは消えなかったから

だと思います。

地球と宇宙の格差。

地球連邦への不満。

スペースノイドの自治。

戦争で失われた家族。

敗戦の記憶。

故郷。

誇り。

そして、

ジオン・ズム・ダイクンが残した思想。

一年戦争が終わっても、

これらが全部きれいに解決したわけではない。

だから、

誰かがまた、

「ジオン」

という名前を掲げる。

デラーズ。

ハマーン。

シャア。

そして、その後の残党たち。

同じジオンでも、

目指しているものは必ずしも同じではありません。

それでも、

彼らは同じ名前を使う。

それだけ、

「ジオン」という言葉が強い象徴になっていた

ということなのでしょう。


■ジオンとは、結局なんだったのか

だから、

「ジオンって何?」

と聞かれたら、

初心者向けにはこう答えるのが一番分かりやすいと思います。

最初は、

ジオン・ズム・ダイクンという人物の名前。

そこから、

スペースノイドの自治・独立を求める思想につながる。

その名前をザビ家が受け継ぎ、

ジオン公国

という国家になる。

一年戦争で国家は敗北する。

しかし、

兵士と思想と記憶は残る。

そして、

デラーズ・フリート。

アクシズ。

ネオ・ジオン。

シャアのネオ・ジオン。

「袖付き」。

さまざまな形で、

ジオンという名前が受け継がれていく。

公式でも、一年戦争後の「デラーズ・フリート」から「袖付き」までを「ジオンを継ぐ者たち」として扱う紹介があります。

だからジオンは、

単なる「悪役国家」ではない。

かといって、

単純な「自由を求めた正義の国」でもない。

思想、国家、戦争、敗北、記憶。

それらが何十年も積み重なった言葉なんです。


■しめ

子供の頃。

僕にとってジオンは、

ザクの軍隊でした。

でも大人になって宇宙世紀を見直すと、

少し違って見える。

ジオン公国は一年戦争で消えた。

それでも、

ジオンは消えなかった。

なぜなら、

国家を倒すことと、

その国家が生まれた理由をなくすことは、

同じではないから。

だから宇宙世紀では、

何度も「ジオン」が帰ってくる。

そしてそのたびに、

少しずつ違う顔をしている。

ダイクンのジオン。

ザビ家のジオン。

デラーズのジオン。

ハマーンのジオン。

シャアのジオン。

そして、

「袖付き」が抱えたジオンの残像。

そう考えると、

ジオンとは国の名前というより、

宇宙世紀が解決できなかった問題につけられた名前

なのかもしれません。

そして次は、

そのジオンと地球連邦が実際に戦った、

「一年戦争」

を最初から最後まで追ってみましょう。

ルウム。

地球降下。

オデッサ。

ジャブロー。

ソロモン。

ア・バオア・クー。

アムロとシャアが戦っていた裏側で、

地球圏全体では何が起きていたのか。

これを一本につなげると、

初代『機動戦士ガンダム』が、

かなり違って見えてくると思います。

今日はここまで。それでは、また別のお話で。