おはこんにちは。どうも僕です。
ガンダムを観始めると、ある問題が起きます。
モビルスーツ、多すぎる。
ザク。
グフ。
ドム。
ゲルググ。
ガンダム。
ジム。
Ζガンダム。
ジェガン。
νガンダム。
ユニコーン。
F91。
Vガンダム。
しかも途中から、
「第2世代MS」
「可変MS」
「ムーバブル・フレーム」
「サイコフレーム」
なんて言葉まで出てくる。
初心者からすると、
結局、何がどう進化したんだ?
となります。
そこで今回は細かな派生機はいったん横へ置きます。
宇宙世紀のモビルスーツが、
何を求めて、どう変わっていったのか。
その大きな流れを追ってみます。
■すべての始まり――ザク
宇宙世紀のMS史を語るなら、
まずはここ。
MS-06 ザクII。
もちろん、その前にはザクIなどがあります。
さらに開発史を掘れば、もっと前まで遡れる。
でも、
「モビルスーツという兵器が戦争の主役になった」
という意味では、ザクIIが非常に重要です。
ミノフスキー粒子によってレーダーや長距離通信が制限される。
遠距離から敵を発見し、誘導兵器で攻撃することが難しくなる。
ならば敵へ近づく。
宇宙空間を自由に動く。
武器を持ち替える。
艦艇を攻撃する。
そのための汎用兵器としてMSが使われた。
つまりザクは、
新しい戦場に対応するための新しい兵器
だったわけです。
■ザクから専用機へ
そして戦争が始まると、
当然こうなります。
「あれもやらせたい。」
「これもやらせたい。」
そこでザクを基本に、
用途別のMSが発展していく。
地上近接戦闘なら、
グフ。
高速地上戦なら、
ドム。
水中なら、
ゴッグ。
ズゴック。
アッガイ。
宇宙戦闘では、
リック・ドム。
そして戦争末期には、
ゲルググ。
ジオンのMS史を見ると面白い。
最初は、
一機でいろいろできるザク。
そこから、
戦場ごとに最適化した専用MS
へ枝分かれしていった。
兵器としては自然な進化です。
■一方、連邦はガンダムを作った
ジオンがMSを大量投入している頃。
地球連邦は遅れていました。
そこで始まったのが、
V作戦。
ガンタンク。
ガンキャノン。
そして、
RX-78-2 ガンダム。
ガンダムは量産兵器ではありません。
高性能な試作MS。
ルナ・チタニウム。
ビーム・ライフル。
ビーム・サーベル。
高性能センサー。
コア・ブロック・システム。
当時としては、
かなり贅沢な機体。
以前ルナ・チタニウムの記事でも書きましたが、
RX-78-2は「強いMS」であると同時に、
連邦がMSという兵器を理解するための技術実証機
だったと考えると面白い。
そして、その成果を量産へ落とし込んだのが――
■GM
RGM-79 ジム。
ガンダムより弱い。
だから失敗。
ではありません。
むしろ軍隊という視点なら、
こっちが本命です。
安く作れる。
大量に作れる。
整備できる。
部品を供給できる。
多数のパイロットが使える。
ガンダム一機がどれだけ強くても、
戦線全体には一機しかいません。
でもジムなら、
何百機という単位で戦場へ投入できる。
つまり、
ガンダムで技術を作り、GMで戦争をする。
ここから連邦系MSの巨大な系譜が始まります。
■一年戦争後、二つの技術が混ざり始める
一年戦争は終わります。
ジオンは敗北。
でも、
ジオンのMS技術まで消えたわけではありません。
技術者。
研究施設。
企業。
設計思想。
それらが戦後世界へ残る。
特に重要になるのが、
アナハイム・エレクトロニクス。
ここから宇宙世紀のMS開発は、
「連邦系」
「ジオン系」
と単純に分けられなくなっていく。
両者の技術が混ざり、
次の世代へ進み始めます。
■ガンダムMk-II――中身が変わった
U.C.0087。
RX-178 ガンダムMk-II。
見た目は、
かなりガンダム。
でも重要なのは外側より、
内側。
ムーバブル・フレームです。
それまで装甲と構造が密接だったMSから、
機体を支える骨格を内部へまとめ、
その外側へ装甲を取り付ける方向へ進む。
人間でいえば、
骨格と皮膚を分けたようなもの。
これによって、
関節。
整備。
装甲配置。
可動。
機体設計そのものの自由度が上がる。
MSが、
巨大な装甲兵器から、骨格を持った機械へ変わっていく。
ここはMS史の大きな転換点です。
■Ζガンダム――MSが変形する
そして、
MSZ-006 Ζガンダム。
ムーバブル・フレーム。
ガンダリウムγ。
高性能ジェネレーター。
そして、
可変機構。
MSからウェイブライダーへ変形する。
ここでMSは、
「人型兵器」
という枠から一度飛び出します。
人型には人型の利点がある。
高速移動には別の形が有利。
だったら、
両方やればいい。
理屈は分かります。
ただし。
変形機構は複雑。
部品点数が増える。
整備も大変。
価格も上がる。
性能を求めるほど、
兵器としては扱いにくくなっていく。
この辺りから宇宙世紀MSは、
ちょっと暴走し始めます。
■ΖΖ――高性能化の頂点へ
その流れをさらに進めたのが、
ΖΖガンダム。
変形。
合体。
大火力。
重装甲。
高出力。
全部載せ。
子供の頃は、
「ΖΖ、めちゃくちゃ強そう。」
で終わります。
大人になると、
整備班、大丈夫か。
となる。
MSの性能は確実に上がっている。
でも同時に、
複雑化。
大型化。
高コスト化。
という問題も大きくなっていく。
そして軍隊は、また気づきます。
「これ、全機こんなのにする必要なくない?」
■ジェガン――結局、こういうMSが残る
U.C.0090年代。
連邦軍の主力量産MSとして登場する、
RGM-89 ジェガン。
派手ではありません。
変形しない。
巨大な大砲もない。
サイコフレームも基本的にはない。
でも、
扱いやすい。
量産できる。
改良できる。
長く使える。
そして実際、
ジェガン系は非常に長期間運用されていきます。
これは以前GMの記事でも触れましたが、
兵器として本当に優秀なのは、
必ずしも最高性能の機体ではない。
必要な性能を、必要な数だけ、長期間維持できる機体。
GMからジェガンへ。
ここには連邦軍の量産MS思想が一本通っています。
■νガンダム――人間と機械が近づく
そして、
RX-93 νガンダム。
アムロ・レイ専用機。
性能そのものも高い。
でもMS史として重要なのは、
サイコフレーム。
ここからMSの進化方向が変わります。
それまでのMSは、
速くする。
硬くする。
火力を上げる。
変形させる。
という、
機械側の進化
でした。
ところがサイコフレームは、
人間の意思と機械をつなぐ。
つまり、
パイロットとMSの距離を縮める技術。
MSの進化が、
機械性能だけではなく、
人間とのインターフェースへ向かい始めます。
■ユニコーン――人間とMSの境界へ
その先にいるのが、
RX-0 ユニコーンガンダム。
全身サイコフレーム。
NT-D。
ユニコーンモード。
デストロイモード。
ここまで来ると、
「パイロットがMSを操作している」
という従来の関係そのものが揺らぎ始める。
以前サイコフレーム三部作でも考えました。
人間が機械を操作する。
↓
機械が人間の意思を読む。
↓
人間と機械の境界が曖昧になる。
そしてフェネクスまで行けば、
「そもそもパイロットとは何なのか?」
というところまで行ってしまう。
宇宙世紀MS。
だいぶ遠くまで来ました。
■ところがMSは再び「小さく」なる
ここが面白い。
高性能化。
大型化。
高出力化。
複雑化。
ずっと大きく進化してきたMSですが、
U.C.0100年代以降、
別の方向へ進みます。
小型化。
その代表が、
ガンダムF91。
従来の18m級から、
15m級へ。
小さい。
軽い。
でも性能は高い。
ここには、
ジェネレーター。
材料。
推進。
電子機器。
冷却。
さまざまな技術の進歩があります。
コンピューターと同じです。
昔は大きかった。
技術が進む。
同じことを、
もっと小さくできる。
MSにも、
ダウンサイジングの時代
が来たわけです。
■F91――小さいのに速い
F91は、
単に小型ガンダムではありません。
高出力。
高機動。
ビーム・シールド。
ヴェスバー。
そして、
M.E.P.E.
MSという兵器が、
巨大化ではなく、
高密度化へ向かった象徴のような機体です。
面白いのは、
初代ガンダムより小さいのに、
技術的には遥かに先へ進んでいること。
ここで、
大きい=強い
という発想が完全に崩れます。
■そしてVガンダム
U.C.0153。
ヴィクトリーガンダム。
ここまで来ると、
初代ガンダムから70年以上。
MSは、
小型。
高性能。
高機動。
そしてVガンダムには、
もう一つ特徴があります。
分割・交換できる。
トップ・リム。
ボトム・リム。
コア・ファイター。
破損した部分を交換する。
機体を再構成する。
以前僕らが、
「MSを戦場でどう直すのか」
という話をしました。
その一つの回答が、
ここにあるようにも見えます。
壊れない兵器を作るのではなく、
壊れることを前提に、交換できる兵器を作る。
これもまた、
MSの進化です。
■70年の進化を並べてみる
宇宙世紀MSの流れを、
かなり大胆にまとめるとこうなります。
ザクII
MSという兵器を戦場へ定着させる。
↓
ガンダム
高性能試作MSとして新技術を投入。
↓
GM
ガンダムの技術を量産兵器へ。
↓
ガンダムMk-II
ムーバブル・フレームでMSの構造を変える。
↓
Ζガンダム
変形によって人型以外の能力を取り込む。
↓
ΖΖガンダム
高出力・大火力・複雑化。
↓
ジェガン
量産機としての完成度を高める。
↓
νガンダム
サイコフレームで人間と機械を接続する。
↓
ユニコーン
人間とMSの境界へ踏み込む。
↓
F91
小型化・高密度化。
↓
Vガンダム
小型高性能+分割交換という合理化。
こうして見ると、
ただ性能が上がっているわけではない。
その時代ごとに「何を問題だと思ったのか」が違う。
だからMSの形も変わったんです。
■でも、ザクもガンダムも「人型」のままだった
ここが一番面白いところ。
70年以上。
材料が変わった。
ジェネレーターが変わった。
装甲が変わった。
武器が変わった。
変形するようになった。
サイコフレームまで入った。
小型化した。
それでも、
MSは基本的に、
頭がある。
胴体がある。
腕が二本。
脚が二本。
人型です。
技術がどれだけ進歩しても、
この基本形は残った。
ということは、
宇宙世紀において人型には、
単なる格好良さ以上の価値があった。
そう考えたくなる。
そして、
ここが次の記事につながります。
■しめ
ザクから始まったモビルスーツ。
最初は、
ミノフスキー粒子下で戦うための新しい兵器だった。
ガンダムが性能を引き上げる。
GMが量産する。
Mk-IIが骨格を変える。
Ζが変形する。
ΖΖが性能を盛る。
ジェガンが現実へ戻す。
νガンダムが人間と機械をつなぐ。
ユニコーンが、その境界を越えようとする。
F91が小さくなる。
そしてVガンダムは、
壊れることすら設計へ取り込んでいく。
こうして見ると、
モビルスーツの歴史って、
単純な、
「新型の方が強い」
という話ではないんですよね。
火力。
機動力。
生産性。
整備性。
人間との接続。
小型化。
補修性。
その時代の問題に対して、
技術者が出した答えが、
それぞれのMSだった。
だから僕は、
昔のMSを見ても面白い。
ザクにはザクが生まれた理由がある。
GMにはGMの理由がある。
ジェガンにもある。
そして70年以上経っても、
彼らは人の形をしている。
では、
なぜ人型なのか。
戦車ではダメなのか。
戦闘機ではダメなのか。
宇宙なら、そもそも脚なんて必要なのか。
次はそこを、
工学的に本気で考えてみたいと思います。
今日はここまで。それでは、また別のお話で。