おはこんにちは。どうも僕です。
ガンダムは硬い。
ザク・マシンガンの直撃にも耐える。
ビーム兵器が飛び交う戦場を走り、宇宙から大気圏へ突入し、地上でも戦う。
子供の頃は、
「だってガンダムだから」
で終わっていました。
でも大人になって考えると、これって結構とんでもない。
ガンダムって、いったい何で出来ているんだ?
そこで今回は、モビルスーツの「材料」に注目します。
そして、この話。
最後はサイコフレームへつながります。
全3回。
まず第一部は、
ガンダリウム合金。
材料工学っぽい視点から、少し本気で考えてみます。
■最初は「ガンダリウム」ではなかった
RX-78-2 ガンダムに使われた装甲材。
それが、
ルナ・チタニウム合金。
後にガンダムの戦果から「ガンダリウム合金」と呼ばれるようになったとされています。
名前からして架空金属っぽいですが、面白いことに設定上はかなり現実的な発想から始まっています。
ベースは、
チタン系合金。
しかも月面で精製される特殊なチタン合金です。
バンダイスピリッツ自身も、ガンプラ40周年で実際に「ガンダリウム合金モデル」を作った際、作品設定上のルナ・チタニウムについて、高純度チタンを低重力環境の月面で精製する材料として検討しています。
そして設定上の性能がすごい。
耐熱性。
耐蝕性。
放射線に対する防護性能。
高硬度。
さらにジオンのMSに使われた超硬スチール合金より、
約4割軽い。
軽くて硬い。
兵器の装甲材として、これほど欲しい性質はありません。
■「硬い」だけでは良い装甲にならない
ここが材料の面白いところです。
装甲というと、
「硬ければ硬いほど強い」
と思ってしまいます。
でも実際には、そんな単純ではありません。
硬度が高くても脆ければ割れる。
強度があっても重すぎれば機動兵器には使えない。
熱に弱ければ高温で性能が落ちる。
加工できなければ複雑な部品を作れない。
つまりMSの材料に必要なのは、
強度・硬度・靱性・耐熱性・耐食性・重量・加工性。
これらのバランスです。
そして18mの人型兵器となれば、重量はとてつもなく重要になります。
■「4割軽い」は、とんでもない
仮に同じ防御性能を持つ装甲を作れるとして、その材料が従来材より40%軽くなったらどうなるでしょう。
単純に軽くなるだけではありません。
脚を動かすアクチュエーターへの負担が減る。
関節への負担も減る。
加速に必要な推力も小さくできる。
減速もしやすくなる。
必要な推進剤も減らせる。
すると航続距離が伸びる。
つまり、
装甲の軽量化が機体全体の性能を連鎖的に上げていく。
公式説明でも、ルナ・チタニウムの軽量・高硬度化はMSの機動性や航続距離へ大きな進歩をもたらしたとされています。
ガンダムが強かった理由を、エンジン出力やアムロの能力だけで考えてはいけない。
材料そのものが違ったわけです。
■現実なら「チタン」はどうなのか
ここで現実世界を見てみます。
純チタンの密度は、およそ4.5g/cm³。
鉄は約7.9g/cm³。
アルミニウムなら約2.7g/cm³。
つまりチタンは、鉄よりかなり軽い。
しかもチタン合金は比強度――つまり重量に対してどれだけ強いか――に優れています。
航空機や宇宙機器など、「強くしたい。でも重くしたくない」という世界で使われる理由です。
ただし欠点もあります。
高い。
加工が難しい。
製造にも手間がかかる。
……これ。
どこかで聞いた話です。
そう。
ガンダムです。
■なぜジムには同じものを使わなかったのか
RX-78-2が優秀だった。
だったら量産型のジムも、全部同じ材料で作ればいい。
理屈ではそうなります。
でも戦争では、
「最高性能」
より、
「必要な性能を、必要な数だけ作れるか」
の方が重要になる。
ガンダリウム合金は高性能ですが、初期には加工が難しく高コストという問題を抱えていました。
100点のMSを10機作るのか。
80点のMSを100機作るのか。
一年戦争のような総力戦なら、答えはかなり変わってきます。
材料工学は、そのまま生産工学につながるんです。
■そしてガンダリウムは進化する
一年戦争が終わっても、材料技術は止まりません。
ルナ・チタニウムからガンダリウムへ。
さらに後の時代には改良されたガンダリウム系材料が登場し、MSの軽量化や高性能化を支えていく。
ここで重要なのは、
MSの進化はジェネレーターや武器だけではない
ということです。
材料が変われば、設計そのものを変えられる。
同じ強度なら薄くできる。
同じ重量なら強くできる。
軽くなれば推進性能を上げられる。
推進剤を増やすこともできる。
武装を増やすこともできる。
「新素材」は、機体全部を変えてしまいます。
■実際に「ガンダリウム合金のガンプラ」が作られた
そして、この話で外せないガンプラがあります。
2020年。
ガンプラ40周年。
BANDAI SPIRITSが、とんでもないことをしました。
ガンダリウム合金モデル 1/144 RX-78-2 ガンダム。
価格、
220,000円(税込)。
プラスチックを金属色に塗ったのではありません。
ガンダリウム合金という設定を現実の材料技術で再解釈し、チタン、アルミニウム、希土類元素のイットリウムなどを使った合金を実際に製造。
さらにMIM――Metal Injection Molding、金属粉末射出成形によってガンプラの形へ加工するという、とんでもない企画でした。
もちろん劇中のガンダリウムそのものではありません。
でも、
「もしガンダリウムを現代の技術で作るなら?」
を本当に材料から考えてしまった。
こういう狂気。
嫌いじゃないです。
むしろ大好きです。
ガンダリウム合金モデル RX-78-2 ガンダム|BANDAI SPIRITS公式
■でも、ここから宇宙世紀はおかしくなる
ここまでは、まだ理解できます。
より軽い。
より硬い。
熱に強い。
腐食しにくい。
高価だけど高性能。
材料工学として、未来技術の延長線上に置くことができる。
ところが宇宙世紀は、この先で一線を越えます。
材料に、
「情報処理能力」
を持たせ始める。
金属の中へサイコミュ機能を組み込む。
人間の意思を受け取り、機械へ伝える。
それが、
サイコフレーム。
ここから「材料」は、単に機体を支えるものではなくなります。
硬いとか。
軽いとか。
熱に強いとか。
そんな話ではなくなる。
人間と機械をつなぐものになっていく。
そして最終的には、
人間の意識そのものを宿しているように見える存在まで現れる。
ユニコーンガンダム3号機。
フェネクス。
ガンダリウム合金から始まった「材料」の話が、なぜそこまで行ってしまったのか。
次回。
第二部「サイコフレームは、本当に金属なのか?」
現実の材料工学と照らし合わせながら、あの緑色に光るフレームの正体を考えてみたいと思います。
そして第三部では、
「フェネクスは、まだモビルスーツなのか?」
そこまで行きます。
材料が人間を守る。
材料が人間の意思を読む。
そして材料の中に、人間が残る。
そんな三部作です。
今日はここまで。それでは、また別のお話で。