~ジオン残党を支えた「共食い整備」と、終わらない兵器の時間~

 

おはこんにちは。

どうも僕です。

宇宙世紀0096。

『機動戦士ガンダムUC』。

トリントン基地襲撃。

ここで、

なかなか凄い光景を見ることになります。

新型機だけではない。

むしろ、

「まだいたの?」

と言いたくなるような、

旧式のモビルスーツたち。

一年戦争から、

すでに17年。

人間なら、

生まれた子どもが、

高校生になるくらいの時間です。

なのに、

一年戦争時代の系譜に連なる機体が、

まだ戦場へ出てくる。

これ。

昔は、

「ジオン残党だから。」

くらいに思っていました。

でも、

前回まで、

モビルスーツの寿命と整備について考えてきました。

すると、

別の疑問が出てきます。

そもそも、どうやって17年も維持したの?

今回は、

古いモビルスーツを、

「強い・弱い」ではなく、

どうやって生かし続けたのか。

そこから考えてみたいと思います。


■兵器は、戦争が終わっても消えない

まず、

ここです。

戦争終了。

はい。

兵器、

全部なくなりました。

そんなことには、

なりません。

戦車。

航空機。

銃。

弾薬。

車両。

倉庫。

基地。

大量の軍需物資が残る。

一年戦争ほどの規模なら、

なおさらでしょう。

ジオン公国が敗北しても、

ジオンが作ったモビルスーツまで、

その瞬間に消えるわけではありません。

宇宙。

地球。

基地。

倉庫。

艦艇。

そして、

戦場跡。

いろいろな場所に、

大量の機体と部品が残ったはずです。


■問題は「残っている」と「使える」は違うこと

ザクが、

一機残っている。

では、

17年後も戦えるか。

これは、

全く別の話です。

前回書いた通り、

機械は、

置いておくだけでも劣化します。

シール。

配線。

電子部品。

潤滑。

センサー。

バッテリー類。

腐食。

そして、

保管状態。

つまり、

倉庫からザクを出して、

キーを回して、

「ブォン。」

とは、

たぶんならない。

そもそも、

ザクにキーがあるのかは、

知りませんが。


■もっと深刻なのが「部品」

モビルスーツを、

長期間使う。

必ず、

部品が必要になります。

関節。

センサー。

配線。

バルブ。

スラスター。

装甲。

駆動部品。

細かいものまで含めれば、

膨大な数でしょう。

ところが、

ジオン公国は、

もうない。

正規の軍需工場。

正規の補給網。

正規の整備拠点。

失われていく。

つまり、

ジオン残党は、

最初から、

「メーカーサポート終了」の兵器

を使っているようなものです。


■ザクの純正部品、ありますか?

宇宙世紀0096。

整備兵。

「ザクの右膝部品ください。」

メーカー。

「生産終了です。」

「代替品は?」

「ありません。」

……詰みます。

普通なら。

でも、

戦場では、

そう簡単に捨てられない。

そこで、

始まるのが、

共食い整備。


■共食い整備とは何か

一機を、

生かす。

そのために、

別の機体から、

部品を取る。

三機ある。

一号機。

脚故障。

二号機。

ジェネレーター故障。

三号機。

センサー故障。

なら、

一号機へ、

二号機の脚。

三号機のセンサー。

使える部品を、

一機へ集める。

すると、

一機だけ、

戦える。

残り二機は、

部品取り。

これが、

いわゆる、

共食い整備です。


■10機のザクが10機のまま残るわけではない

ここ、

重要だと思います。

一年戦争終了時。

ザク、

10機。

5年後。

8機。

10年後。

5機。

15年後。

2機。

でも、

倉庫には、

壊れたザクの腕。

脚。

頭。

装甲。

大量に残っている。

つまり、

機体数を減らしながら、残った機体の寿命を延ばす。

そんなことが、

繰り返されていたのかもしれません。


■すると「純正のザク」は消えていく

最初は、

工場から出てきた、

一機のザク。

でも、

右腕交換。

左脚交換。

頭部交換。

スラスター交換。

ジェネレーター交換。

装甲交換。

10年後。

どこまで、

最初の部品が残っている?

前々回の、

「テセウスの船」の話が、

また出てきます。


■機体番号だけが、そのザクをザクにする?

右腕。

別機体。

左脚。

別機体。

センサー。

後期型。

配線。

現地製。

装甲。

手作り。

でも、

胴体には、

昔の機体番号が残っている。

なら、

それは、

同じザクなのか。

個人的には、

こういう機体、

かなり好きです。

新品より、

ずっと、

物語がある。


■でも、共食いだけでは17年も持たない

ここから、

さらに問題。

部品取り機にも、

限界があります。

欲しい部品が、

全部壊れている。

同じ箇所ばかり、

消耗する。

在庫が、

なくなる。

では、

どうする?

作る。


■町工場でザクの部品を作る?

もちろん、

ジェネレーター丸ごと、

みたいなものは、

難しいでしょう。

でも、

ブラケット。

配管。

カバー。

ボルト。

シール。

単純な装甲。

こうした部品なら、

現地で作れる可能性があります。

設計図がある。

壊れた部品がある。

寸法を測る。

削る。

曲げる。

溶接する。

つまり、

残党の基地には、

戦闘員だけではなく、

加工技術を持った人間

が絶対に必要になります。


■整備兵こそ残党軍の生命線

パイロットが、

10人いる。

でも、

MSを直せる人が、

いない。

戦えません。

逆に、

パイロットが少なくても、

優秀な整備兵がいる。

機体を、

何度でも復活させる。

そう考えると、

ジオン残党にとって、

エースパイロットと同じくらい、

いや、

場合によってはそれ以上に、

ベテラン整備兵が貴重だった

のではないでしょうか。


■「この部品ならドムのが使える」

そして、

長年整備していると、

知識が蓄積します。

ザク用部品。

ない。

でも、

ドム用ならある。

寸法。

少し違う。

取り付け位置。

違う。

なら、

加工する。

これ。

現場では、

普通に起きそうです。


■ジオン系MSだからこそ流用できた?

ザク。

グフ。

ドム。

ゲルググ。

もちろん、

設計思想も構造も違います。

何でも、

そのまま付くわけではない。

でも、

同じ陣営。

同じ技術体系。

似た規格。

共通部品。

もし、

ある程度の標準化がされていれば、

流用できる部品もあったでしょう。

そして、

ここから、

機体は、

どんどん、

現地仕様

になっていく。


■整備マニュアルにないモビルスーツ

宇宙世紀0096。

古いザク。

マニュアルを開く。

右膝。

マニュアルと違う。

左腕。

違う。

スラスター。

知らない部品。

整備兵。

「これ誰が付けた?」

古参兵。

「0087年頃かな。」

「記録は?」

「ない。」

地獄です。

でも、

こういう機体。

妙に、

リアルなんですよね。


■ベテラン整備兵しか触れない機体になる

新品の量産機なら、

マニュアルがあります。

部品番号。

交換手順。

規定値。

全部、

決まっている。

でも、

17年間、

改修を繰り返した機体。

マニュアルが、

役に立たない。

そこで、

古参整備兵。

「ああ。

このザクの右脚は、

少し締めすぎるとダメなんだ。」

なぜ?

「昔からそう。」

これ。

完全に、

職人の世界。


■そしてパイロットも機体の癖を知っている

前回も書きました。

古い機体には、

個体差があります。

右へ流れる。

左膝が弱い。

スラスターの反応が遅い。

普通なら、

欠点。

でも、

長年乗っているパイロットは、

知っている。

だから、

無意識に補正する。

新品の機体より、

古い機体の方が、

動かしやすい。

そんなことも、

あったかもしれません。


■だから旧式機=弱い、ではない

もちろん、

性能では、

新型機に負けます。

出力。

推力。

センサー。

武器。

装甲。

全部、

古い。

でも、

兵器の強さは、

スペックだけではない。

整備状態。

パイロット。

地形。

戦術。

そして、

その機体を、

どれだけ知っているか。

ここまで含めて、

戦闘力です。


■トリントン基地襲撃が妙に刺さる理由

『ガンダムUC』の、

トリントン基地襲撃。

旧式のジオン系MSが、

次々と姿を現す。

格好いい。

懐かしい。

もちろん、

それもあります。

でも、

今回の視点で見ると、

少し違って見えます。

あの機体たちは、

17年間、誰かが維持してきた。


■戦争が終わった翌日から17年間

洗う。

直す。

部品を探す。

交換する。

また直す。

隠す。

移動させる。

燃料や推進剤を確保する。

武器を整備する。

そして、

また年月が過ぎる。

その積み重ねの先に、

宇宙世紀0096があります。

つまり、

あの一瞬の戦闘の裏側には、

17年間の整備がある。


■でも、ここから少し怖い話になる

なぜ、

そこまでして、

古いモビルスーツを、

維持するのか。

博物館へ、

置くためではない。

いつか、

使うため。

つまり、

戦争は終わった。

でも、

兵器は、

ずっと準備されていた。


■兵器が残るということは、戦争も残る

ここ。

ジオン残党という存在を考えると、

少し重い。

戦争は、

終戦日を決められます。

条約。

降伏。

停戦。

そこで、

歴史上は、

戦争が終わる。

でも、

人間の中まで、

同じ日に終わるわけではない。

恨み。

敗北。

誇り。

故郷。

思想。

そして、

正義。

それらと一緒に、

兵器も残る。


■ザクが17年間動いたことは「凄い」だけなのか

機械好きとしては、

凄いと思います。

古い機械を、

直しながら使う。

格好いい。

整備兵の技術。

職人魂。

ロマンがあります。

でも、

そのザクが、

17年間、

戦える状態で保存されていた。

なぜ?

また、

戦うためです。

そう考えると、

少し違って見えます。


■兵器にとって「長寿命」は幸せなのか

車。

長く乗る。

いいことです。

時計。

何十年も使う。

素敵です。

でも、

兵器。

長く使える。

それは、

本当に、

いいことなのでしょうか。

兵器が、

何十年も必要とされる世界。

それは、

何十年経っても、

争いがなくならなかった世界でもあります。


■しめ

旧式モビルスーツは、

なぜ、

戦場から消えないのか。

丈夫だから。

部品があるから。

共食い整備できるから。

現地で修理できるから。

整備兵がいるから。

パイロットが、

慣れているから。

いろいろな理由があります。

でも、

最後に残る理由は、

たぶん、

一つです。

まだ、その兵器を必要とする人間がいるから。

一年戦争が終わる。

ザクが、

格納庫へ入る。

一年。

五年。

十年。

塗装が剥げる。

部品がなくなる。

右腕を交換する。

脚を交換する。

別の機体から、

部品を取る。

そして、

17年後。

ジェネレーターに、

もう一度、

火が入る。

モノアイ。

ピンク色の光が、

暗い格納庫を横切る。

これ。

格好いい。

ガンダム好きとしては、

どうしても、

そう思ってしまう。

でも、

同時に、

少し寂しい。

17年間。

誰かが、

この機体を、

戦える状態にしていた。

ということは、

17年間。

戦争を終わらせられなかった人間もいた。

兵器は、

自分から戦場へ戻りません。

ザクを起こすのは、

いつだって、

人間です。

だから、

モビルスーツの本当の寿命を決めるのも、

機械ではなく、

最後は、

人間なのかもしれません。

今日はここまで。

それでは、また別のお話で。


次の第4回は、ここから少し明るくメカ寄りへ戻して、**「新品のMSと使い込んだMS、どちらが強い?」**にしよう。カタログスペックでは新品。でも「馴染んだ機体」という感覚は本当に存在するのか――ここを人間工学まで掘ると面白い。