~戦闘が終わるたびに整備しているのに、なぜオーバーホールが必要?~
おはこんにちは。
どうも僕です。
前回。
ザクは、
何年戦えるのか。
そんな話を書きました。
関節。
ジェネレーター。
スラスター。
センサー。
機械である以上、
少しずつ劣化していく。
そして、
壊れた部品を交換しながら、
モビルスーツは使われ続ける。
そこで、
次の疑問。
モビルスーツって、車検みたいなものはないの?
出撃。
帰還。
整備。
また出撃。
ガンダムでは、
格納庫で整備されるMSを、
よく見ます。
だったら、
毎回整備しているんだから、
それで十分では?
今回は、
日常整備とは違う、
モビルスーツの、
「定期整備」
について考えてみたいと思います。
■まず「毎回の整備」と「大掛かりな整備」は違う
車で考えると、
分かりやすい。
ガソリンを入れる。
タイヤを見る。
オイルを見る。
洗車する。
これと、
エンジンや足回りまで細かく点検する整備。
同じではありません。
モビルスーツも、
おそらく同じです。
出撃から戻る。
推進剤補給。
弾薬補充。
損傷確認。
センサー清掃。
簡単な部品交換。
これは、
次の出撃へ向けた整備。
でも、
それだけでは、
見つけられない劣化があります。
■外から見えないところが一番怖い
装甲。
傷なし。
腕。
動く。
脚。
動く。
ジェネレーター。
正常。
「問題なし。」
本当に?
前回も触れましたが、
金属には、
疲労があります。
関節内部。
フレームの奥。
配管。
配線。
ベアリング。
シール。
見えない場所で、
少しずつ傷んでいる。
つまり、
「今動いている」と「次の戦闘でも動く」は違う。
これが、
定期整備が必要な理由でしょう。
■モビルスーツにも整備周期があったはず
現実の機械では、
故障してから直すだけではありません。
一定期間。
一定の使用時間。
一定の使用回数。
そこへ到達したら、
壊れていなくても点検する。
モビルスーツでも、
似た管理が必要だったはずです。
例えば、
ジェネレーター稼働時間。
スラスター噴射時間。
関節作動回数。
着地回数。
戦闘出撃回数。
こうした情報が、
機体側に記録されている。
そして、
ある基準を超えると、
「要整備」
になる。
■「あと3回出撃できます」は危険
戦争中。
整備兵。
「右膝関節、交換時期です。」
指揮官。
「まだ動くだろ。」
整備兵。
「動きます。」
「じゃあ出せ。」
……怖い。
機械は、
限界を超えた瞬間に、
分かりやすく壊れてくれるとは限りません。
戦闘中。
踏み込む。
膝。
停止。
これだけで、
撃破される可能性があります。
だから、
整備とは、
壊れたものを直す仕事ではなく、壊れる前に止める仕事
でもあります。
■でも戦争中にそんな余裕ある?
ここが、
軍用機の難しいところです。
整備したい。
でも、
敵が来る。
本来なら、
今日は出撃禁止。
でも、
戦力が足りない。
だから、
出す。
つまり、
平時の整備基準と、
戦時の整備基準は、
同じではなかった可能性があります。
■「本当は飛ばしたくない機体」が戦場へ出る
これ。
ガンダム世界なら、
結構ありそうです。
左脚、
要交換。
ジェネレーター、
出力低下。
スラスター、
規定時間超過。
でも、
敵襲。
使えるMS、
3機。
必要、
5機。
だったら、
どうする?
出すしかない。
つまり、
戦場には、
カタログスペック通りではないMS
が普通に存在していたのかもしれません。
■同じザクなのに性能が違う理由
前回、
個体差について書きました。
同じMS-06F。
でも、
新品。
整備直後。
整備期限間近。
被弾修復機。
全部、
状態が違う。
カタログ上では、
同じザク。
でも、
実際に乗れば、
違う。
スラスターの反応。
関節の遊び。
センサー精度。
ジェネレーター出力。
これ。
パイロットなら、
すぐ気づいたでしょう。
■では「車検」で何を見る?
モビルスーツを、
本格的に点検するとします。
まず、
装甲を外す。
すると、
中から、
フレーム。
配線。
配管。
駆動系。
冷却系。
大量の機器が出てくる。
ガンプラで、
内部フレームを見ると、
格好いい。
でも、
整備兵からすると、
あれ全部、
点検箇所です。
■まずフレーム
モビルスーツの骨格。
ここが歪んでいたら、
大問題。
転倒。
着地。
被弾。
格闘。
少しずつ、
負荷が蓄積する。
目視だけではなく、
内部の亀裂まで調べる必要があるでしょう。
表面は綺麗。
でも、
中に亀裂。
そのまま出撃。
戦闘中に、
ポキッ。
これは、
絶対に避けたい。
■次に関節
肩。
肘。
腰。
股関節。
膝。
足首。
以前書いた、
モビルスーツの関節。
ここは、
消耗品の塊だったと思います。
軸。
ベアリング。
駆動部。
シール。
センサー。
摩耗していれば、
交換。
そして、
微妙な「ガタ」。
これも、
戦闘では問題になります。
■1mmのズレが、銃口では何mになる?
巨大なMS。
肩関節。
ほんの少し、
ズレる。
でも、
その先には、
長い腕。
さらに、
ライフル。
すると、
銃口では、
もっと大きなズレになります。
遠距離射撃なら、
さらに影響する。
つまり、
関節の精度は、
運動性能だけではなく、
射撃精度にも関係する。
■スラスターも分解する
そして、
推進器。
高温。
高圧。
長時間使用。
外から見て、
正常。
でも、
ノズル内部。
バルブ。
配管。
少しずつ劣化する。
左右のスラスターで、
推力が微妙に違う。
すると、
真っ直ぐ加速したつもりでも、
機体がズレる。
もちろん、
コンピューターが補正するでしょう。
でも、
補正が必要ということは、
その分、
余計な制御が必要になる。
■コンピューターが補正してしまう怖さ
これ。
現代の機械でも、
ちょっと怖いところです。
機械が劣化する。
でも、
制御コンピューターが、
うまく補正する。
だから、
パイロットには、
普通に感じる。
しかし、
内部では、
補正量が、
どんどん増えている。
そして、
ある日。
補正限界を超える。
突然、
症状が出る。
つまり、
高性能な制御システムほど、
故障の兆候を隠してしまう可能性
もあります。
■だから整備データが重要になる
パイロット。
「普通に動くよ。」
整備兵。
「いや、ダメです。」
なぜ?
コンピューターを見る。
右脚。
補正値、
基準超過。
スラスター。
出力差、
増加。
ジェネレーター。
温度、
上昇傾向。
人間には、
分からない。
でも、
データには、
出ている。
つまり、
モビルスーツの整備では、
整備兵が、
大量のログを解析していた可能性があります。
■整備兵はメカニック+データ分析者?
そう考えると、
未来の整備兵。
スパナだけ持っている、
という感じではありません。
端末。
診断ソフト。
センサー。
機体ログ。
それを見ながら、
「右膝、そろそろ。」
と判断する。
つまり、
モビルスーツの整備兵は、
機械整備だけではなく、
データを見る能力も必要だった。
■そしてジェネレーター
モビルスーツの心臓。
これも、
定期的に、
徹底点検が必要でしょう。
出力。
温度。
振動。
冷却。
各部の状態。
異常が出てからでは、
遅い。
戦闘中に、
ジェネレーター停止。
想像したくありません。
■モノアイも「調整」が必要?
そして、
センサー。
ザクのモノアイ。
交換して、
終了。
ではないでしょう。
光軸。
距離。
照準。
武器との連動。
きちんと、
調整する必要がある。
人間で言えば、
眼鏡の度がズレている状態で、
射撃するようなもの。
見えている。
でも、
微妙にズレる。
これも、
戦闘では致命的です。
■整備後には「試運転」が必要
全部、
組みました。
はい、
出撃。
……とは、
ならないでしょう。
立つ。
歩く。
腕を動かす。
センサー確認。
ジェネレーター確認。
スラスター確認。
武器接続。
全部、
テスト。
つまり、
モビルスーツのオーバーホール後には、
試運転
も必要になる。
■誰が試運転する?
これも、
面白いところ。
整備兵?
専属テストパイロット?
それとも、
実際に乗るパイロット?
自分の機体なら、
本人が乗るのが、
一番分かりやすい。
「左腕、
ちょっと重い。」
「前より、
スラスターの反応が早い。」
数字では、
正常。
でも、
乗っている本人には、
違いが分かる。
■パイロットの感覚も整備データ
つまり、
整備とは、
機械を見るだけではない。
パイロットから、
話を聞く。
「昨日から、
右へ流れる。」
「着地すると、
変な振動がある。」
「モノアイが、
一瞬遅れる。」
これ。
全部、
重要な情報。
以前書いた、
「音」の話ともつながります。
いつもと違う。
その感覚が、
故障を見つける。
■モビルスーツにも「整備記録簿」がある?
当然、
あったでしょう。
機体番号。
製造日。
出撃回数。
稼働時間。
修理歴。
部品交換。
被弾箇所。
オーバーホール。
全部、
記録する。
これがなければ、
次の整備兵が、
機体の状態を把握できません。
■中古MSを買うなら整備記録を見たい
もし、
宇宙世紀に、
中古モビルスーツ屋があったら。
「このザク、
安いな。」
店員。
「低走行です。」
「修復歴は?」
「ありません。」
「整備記録は?」
「……ありません。」
買わない。
絶対、
買わない。
■そして、ジオン残党へつながる
でも。
ジオン残党なら、
そんな贅沢を、
言っていられない。
メーカー保証。
ない。
正規部品。
ない。
正式な整備設備。
ない。
それでも、
ザクを動かさなければならない。
ここから、
次回へつながります。
■正規部品がなければ、どうする?
壊れた。
部品がない。
メーカーも、
もう供給していない。
そこで、
別のザクから、
部品を取る。
ドムから、
使えそうな部品を流用。
現地で、
加工。
規格が合わない。
削る。
溶接。
無理やり付ける。
そして、
動く。
■それはもう「同じザク」なのか?
右腕。
別機体。
左脚。
現地改修。
センサー。
他機種流用。
ジェネレーター。
中古。
装甲。
継ぎ接ぎ。
それでも、
機体番号は、
MS-06。
これ。
めちゃくちゃ面白い。
そして、
ガンダム世界の、
「旧式MSがなぜ何年も残るのか」
という話につながります。
■整備できる人間がいなくなった時が本当の寿命
前回。
モビルスーツの寿命は、
動かなくなった時ではなく、
使い続けられなくなった時。
そう書きました。
今回、
もう一つ加えたい。
直せる人間がいなくなった時。
これも、
兵器の寿命なのだと思います。
■しめ
モビルスーツにも、
車検のようなものは、
必要だったのか。
おそらく、
それ以上に、
厳しい定期整備が必要だったでしょう。
18メートル。
数十トン。
高出力ジェネレーター。
スラスター。
精密センサー。
そして、
大量の関節。
しかも、
使われる場所は、
戦場。
壊れない方が、
おかしい。
だから、
戦闘が終わる。
ガンダムが、
格納庫へ戻ってくる。
主人公は、
コックピットから降りる。
物語では、
そこで場面が変わる。
でも、
モビルスーツにとっては、
そこからが、
次の戦闘の始まりだったのかもしれません。
装甲を外す。
泥を落とす。
ログを見る。
関節を調べる。
部品を交換する。
また組む。
試運転。
そして、
次の日。
パイロットが来る。
「行ける?」
整備兵。
機体を見上げる。
少し間を置いて、
言う。
「行ける。」
その一言の裏には、
何十人もの人間と、
何時間もの仕事がある。
ガンダムを戦わせているのは、
パイロットだけではない。
戦える状態へ戻す人間がいるから、モビルスーツはもう一度立ち上がれる。
これ。
整備兵を見る目が、
ちょっと変わります。
今日はここまで。
それでは、また別のお話で。