~最強の火力が「最強の兵器」とは限らない理由~
おはこんにちは。
どうも僕です。
『機動新世紀ガンダムX』を象徴する武器といえば、
やはり、
サテライトキャノン。
月から送られてくるエネルギーを受け取り、
モビルスーツ一機が、
戦略兵器級ともいえる一撃を放つ。
初めて見た時は、
単純に思いました。
「これ、強すぎない?」
ビームライフルどころではありません。
戦艦の主砲とも違う。
もはや、
ガンダムが一機の兵器というより、
移動できる砲台そのもの。
しかし、大人になって見返すと、
別の疑問が出てきます。
それほど強力な兵器が存在したのに、
なぜ第7次宇宙戦争は止められなかったのでしょうか。
今回はサテライトキャノンを、
「威力」ではなく、
兵器として本当に優秀だったのか?
という視点から考えてみたいと思います。
■そもそもサテライトキャノンとは何なのか
ガンダムXには、
背部に巨大なサテライトキャノンが装備されています。
ただし、
ガンダムXだけであの莫大なエネルギーを作り出しているわけではありません。
重要なのが、
月面の太陽光発電施設。
そこで得たエネルギーをマイクロウェーブとして送信。
ガンダムXが受信し、
エネルギーを蓄積。
それを一気に放出する。
つまりサテライトキャノンとは、
モビルスーツ単体の武器ではありません。
「月とガンダムを一つの兵器として運用するシステム」
だったわけです。
これ。
よく考えると、とんでもない発想です。
■最大の長所は「ガンダムが発電しなくていい」
ここは工学的にも面白いところ。
通常のビーム兵器なら、
機体側のジェネレーター出力が重要になります。
しかし、
サテライトキャノンは違います。
巨大な発電設備を、
機体の外に置いてしまった。
しかも、
月に。
つまりガンダムXは、
巨大な発電設備を背負う必要がありません。
必要なのは、
送られてきたエネルギーを受信して、
蓄え、
撃ち出す能力。
現代風に言えば、
エネルギー源と兵器を分離したシステムとも考えられます。
発想としては非常に合理的です。
■しかし月がなければ撃てない
ところが、
ここに最大の弱点があります。
サテライトキャノンは、
ガンダムXだけでは成立しません。
月面施設。
送電設備。
通信・認証。
エネルギー受信。
これらが正常に機能して、
初めて撃てる。
つまり、
ものすごく強いのに、
インフラ依存が極端に大きい兵器なのです。
ビームライフルなら、
ガンダムだけでも戦える。
しかしサテライトキャノンは、
ガンダムのはるか彼方にある設備まで含めて、
一つの兵器なのです。
■撃つまでの時間も弱点になる
さらに、
エネルギーを受信する必要があります。
サテライトシステムを起動し、
マイクロウェーブを受信し、
エネルギーを蓄積する。
その間、
敵が待ってくれるとは限りません。
戦場では、
数秒が生死を分けます。
ビームライフルなら、
構えて撃つ。
しかしサテライトキャノンは、
そうはいかない。
つまり、
瞬間的な戦闘能力ではなく、
条件を整えて初めて最大火力を発揮する兵器なのです。
■強すぎることも欠点になる
そして、
サテライトキャノン最大の問題。
威力が高すぎる。
敵モビルスーツ一機を倒すために、
サテライトキャノンを撃つ必要はありません。
街。
基地。
艦隊。
場合によっては、
周辺そのものを巻き込んでしまう。
つまり、
通常戦闘ではオーバースペックなのです。
拳銃で済むところへ、
戦略爆撃を行うようなもの。
強ければ強いほど、
使える場面は限定されてしまいます。
■「撃てる」と「撃つ」は違う
ここが、
ガンダムXという作品で非常に面白いところだと思います。
ガロードは、
サテライトキャノンを持っています。
しかし、
持っているからといって、
簡単には撃ちません。
なぜなら、
撃った先にも人間がいるからです。
兵器の性能だけを考えるなら、
撃てばいい。
しかし、
戦争はゲームではありません。
一発撃てば、
街が消えるかもしれない。
人が死ぬ。
世界が変わる。
つまり、
サテライトキャノンには、
パイロット自身の倫理観まで安全装置として必要だった。
私はここが非常にガンダムXらしいと思っています。
■第7次宇宙戦争では、それでも使われた
そして皮肉なのが、
第7次宇宙戦争です。
サテライトキャノン。
Gビット。
コロニー落とし。
戦争末期になるにつれて、
兵器はどんどん巨大化していきました。
相手が強い兵器を作る。
こちらも、
さらに強い兵器を作る。
そして、
相手はもっと強い兵器を作る。
結果として、
「勝つための兵器」が、
世界そのものを壊す兵器へ変わっていった。
それでも、
戦争は終わりませんでした。
■大和と少し似ている
ここで私は、
第二次世界大戦の戦艦「大和」を少し思い出します。
巨大な主砲。
強大な装甲。
圧倒的な存在感。
単純な性能だけを見れば、
非常に強力な兵器です。
しかし戦争とは、
一つの兵器の性能だけでは決まりません。
情報。
補給。
航空戦力。
生産力。
そして、
戦略。
どれだけ強力な兵器でも、
戦争そのものを一発で終わらせることは難しい。
サテライトキャノンも、
同じだったのではないでしょうか。
■最強の武器と、最強の兵器は違う
サテライトキャノンは、
間違いなく強力です。
しかし、
兵器として考えるなら、
話は変わります。
・外部インフラへの依存。
・発射までの準備。
・使用できる状況。
・周囲への被害。
・運用する人間の判断。
これらすべてを考えなければなりません。
つまり、
破壊力が最大だからといって、兵器として最も優秀とは限らない。
これ。
ガンダムXが描いた兵器の面白さだと思います。
■まとめ
サテライトキャノンは、
月という巨大なエネルギー供給設備を利用することで、
モビルスーツ一機へ桁違いの火力を与えました。
しかし、
強すぎた。
そして、
巨大なシステムに依存しすぎた。
だから、
万能兵器にはなれなかった。
むしろ、
サテライトキャノンという存在そのものが、
第7次宇宙戦争における
「兵器の進化が行き着いた先」
だったのではないでしょうか。
■しめ
子どもの頃は、
サテライトキャノンを撃つガンダムXが好きでした。
月から光が降りてくる。
エネルギーが集まる。
そして、
あの一撃。
これ。
やっぱり格好いい。
でも大人になって見返すと、
少し怖くなります。
人間は、
より強い兵器を作ることができる。
でも、
その兵器をどう使うのかまでは、
機械は決めてくれません。
最後に引き金を引くのは、
人間です。
だからサテライトキャノンの本当の恐ろしさは、
その破壊力ではなく、
世界を壊せる力を、一人の人間へ渡してしまったこと。
そこにあるのかもしれません。
そして、
世界を一度滅ぼした兵器を手にした少年が、
その力をどう使うのか。
それこそが、
『機動新世紀ガンダムX』という物語の面白さなのだと思っています。
今日はここまで。
それでは、また別のお話で。