第四話「観測者」
屋上。
榊と潤も呼んだ。
二人とも異変に気づき始めていた。
「最近、記憶が曖昧になる」と榊。
潤は言う。
「気づくと、物が減ってる」
白石が口を開いた。
「この世界はね、“誰かに認識されることで固定される”の」
理解不能だった。
でも榊が静かに言う。
「量子論みたいだな。観測されて初めて状態が決まる」
白石は微笑んだ。
「相沢くんは最初から観測者だった」
心臓が跳ねる。
「だから、わたしに気づいた」
その時、気づく。
クラス写真。
白石の姿だけ、わずかに輪郭が甘い。
ピントが合っていない。
最初から、この世界に完全には属していないみたいに。
白石が続ける。
「お願いがあるの。これからも、わたしを見ていて」
聞いた瞬間、分かった。
見なくなれば――消える。