第二話「ニューゲーム」

白石の弟が選んでいたのは、古いゲームだった。

パッケージにはこう書かれている。

「観測者になれ。」

妙なコピーだ。

健太が店員に聞く。

「これ人気あるんですか?」

店員は首を傾げた。

「……その商品、取り扱ってましたっけ?」

沈黙。

でも確かに、俺たちの手の中にある。

白石が言う。

「さっきまで棚にあったよ」

その時、榊がぽつりと呟いた。

「誰が最初に見つけた?」

全員、黙る。

思い出せない。

潤だけが箱を裏返し、小さく言った。

「セーブ不可って書いてある」

ぞくり、とした。


白石が微笑む。

「ちょっと面白そうだよね」

その笑顔を見た瞬間。

店内の音が遠のいた気がした。

振り向くと、通路に誰もいない。

さっきまで混んでいたのに。

そして気づく。

白石の周囲だけ、妙に静かだ。

まるで音が避けているみたいに。


帰り際。

白石が俺だけに言った。

「相沢くんって、ちゃんと見てるよね」

「え?」

「見ようとしてくれてる」

意味が分からなかった。

でも、その言葉はなぜか胸に残った。