昔々、遠い昔──…
「熱いよぉ…助けて、誰かぁー…ッ」
木造の校舎に、1人取り残された少年。
火の手はすぐ後ろまで迫っていた。
「誰か…助け・・・・」
煙が目に沁みる…呼吸が苦しい…。
そんな時だった。
「……?」
誰かの声が聞こえた気がした。
少年はその声に導かれ、校舎の外へ出た。
「誰?誰か…いるの?」
【こっち…こっちにおいで。】
そこにあったのは、大きな大きな桜の木。
その声は、この桜の木から聞こえてくる。
「僕を呼んだのは…君?」
【ここにいれば…大丈夫。】
声は優しく、少年の心に語りかけてくる。
それまで恐怖に震えていた少年も、不思議と安心した。
「……。」
少年の体力は限界に達し、ついには気を失った。
しかしその間にも、炎は少年に近づいていた…。
【大丈夫…大丈夫だよ・・・・】
炎の勢いは増し、木造の校舎は音を立てて崩れ落ちた…。
「すっげぇ田舎ッ!!」
「何もねぇなぁー。」
「キレイなとこですね♪」
都内から離れる車内で、景色を見て騒ぐ男が3名。
つるの剛士、野久保直樹、上地雄輔。
彼らはこれから長期間の撮影に入る。
今日がその初日で、現地へと向かっていた。
車が止まり、目的地に到着。
3人は足早に車から降りていった。
「なんか…懐かしい感じするなぁ~ww」
「…あれ?雄ちゃんどこ行くんです?」
車を降りてすぐ、上地はどこかへ走っていく。
つるのと野久保は、その後を追った。
「ちょ…雄輔~、どこまで行くんだよ…っ;」
「雄ちゃーん?」
坂道を上りきると、広場があった。
しばらく歩くと、上地はようやく立ち止まった。
「どうしたんですか?」
「この木、めちゃめちゃでかくね?」
上地の目の前には、大きな1本の木が立っていた。
周囲の木とは比べ物にならないくらいの、とても大きな木。
「たしかに…かなり大きいですねぇ?」
「だろ?さっき車から見えたから気になってさぁー…」
「やっと…追いついた・・・・ッ;」
「あれ?つる兄、息あがってるよぉ~?」
「……っ;」
風が吹くと、葉や枝が揺れ動く。
心地良い音をたてて…。
「でっけぇ木だなぁー…何の木だぁ?」
「これは桜の木じゃよ。」
3人が振り返ると、そこには1人の老人が立っていた。
背の小さな、白髪のおじいさんだ。
どうやら地元の人らしい。
「桜ですかぁー。」
「すごく大きいですよね。」
「この木は昔からあってのぉ…わしが子供の頃からあった。」
「じいちゃん何歳?」
「わしか?…今年で89だったかの?」
目を真ん丸くする3人を見て、おじいさんは笑っていた。
「この木は、樹齢100年以上になるか…」
「100歳…すげぇ先輩だなぁww」
「でもこの木…なんでこんなに黒こげなの?」
樹齢100年以上の大きな桜の木。
しかし、その木の一部は黒く焼け焦げていた…。
-つづく-