駿河の国をwebで歩く(43)「府中宿・久能街道」 | れいんぼうの部屋

れいんぼうの部屋

釣りの記事をメインにしようと思っていましたが
釣り以外の記事の方が増えています。

「仲間の釣行記録」の見出しURLです。カット&ペーストで
https://ameblo.jp/rai-trout/theme-10112228739.html

「東海道まちあるきweb」の古地図を使って現代の静岡をwebでバーチャル散歩。

 

***古地図は次のサイトを開いて見ている***
「東海道まちあるきweb」(https://tokaido-guide.jp/about)
は「静岡市観光・MICE推進課」と「藤枝市街道・文化課」が作成。

**********************************

上の古地図のリンクを開いて「府中宿」などを選択して散歩する。
 
 
前回まで「府中宿」の伝馬町を巡った。

 

今回は伝馬町を起点とした「久能街道」を巡る。

 

旧東海道の伝馬町通りから久能山東照宮へ続く道が久能街道と呼ばれ参勤交代の際に多くの大名の参拝に利用されにぎわった。
正確な位置はわからないが「久能山東照宮道」という石碑が伝馬町通りに立っている。
 

〇久能街道

 

〇つつじ通り


伝馬町通りからつつじ通り交差点に入って久能山へ向かう。
32m道路。静岡環状線の一部を形成している。
戦後に防火帯として整備された静岡環状線の一部だ。
 

古地図を見ると「久能街道」は伝馬町から始まって以降、間もなく八幡山と思われる所で途切れ「これより久能山道のり3里」と書かれているが、久能山の麓「根小屋」までの途中は描かれていない。

 

せっかくなので目に付く所を巡って久能山に向かう。

 

伝馬町通りから800m程でつつじ通りの終点。

南幹線を横切ると道は狭くなり八幡2丁目から八幡3丁目へ入る。
 

〇ここからが久能街道と言える道となる。

道が狭くなってから300m程で八幡神社がある。

 

〇八幡神社

ちょっと参拝してみます。

境内でもある八幡山には多くの社があちらこちらにあって謂われの看板が所々にあった。
<楼門跡>徳川家康公奉納の物で、1945年の静岡空襲で焼失しました。家康公は1613年に本殿以外すべてを翌年の大坂の陣必勝祈願として改築維持したといわれる。
<八幡山古墳>戦前まで18基あったといわれています。本殿内の物は、横穴式古墳で、この辺りを統治下豪族を埋葬したといわれます。有度部牛麻呂の墓といわれますが、詳細資料はありません。赤い曲玉など装飾品が発掘され、東京の博物館に運ばれました。

 

〇八幡山城「城址の碑」

1411年頃、駿府に入った駿河守護今川範政は、周辺の要所要所に城塞を築いて駿府防衛の万全を期した。八幡山城もその一つである。

1582年武田氏が滅びて徳川家康が入国したが、1590年関東へ移った後廃城となった。

 

「八幡神社」のある「八幡山」を後にして間もなく「有東山」がある。

周囲300mに満たない独立丘陵。頂上は広場として整備されており児童公園となっていた。

麓を「金剛寺」「星光寺」「有東神社」が囲んでいて古墳や砦だったこともあるようだが説明書きなどは無かった。

 

〇有東山

 

久能街道は「八幡」「有東」を通り「登呂」という町名を通る。

「登呂」と言えば「登呂遺跡」がある。

 

登呂遺跡は街道から1kmほど離れているがチョット寄り道。

 

〇登呂遺跡

復元の住居や倉庫が点在している。(概略)
<国特別史跡 登呂遺跡>
 登呂遺跡は、今から約1,900年前の弥生時代後期の集落遺跡。1943年に発見され、弥生時代の人びとの暮らしと米づくりの様子が日本で初めて明らかとなり、1952年に「特別史跡」に指定された。
遺跡は、洪水により2度埋没し、その度に復興された変遷が確認され、最初の洪水前の集落の姿が最も良好に保存されていた。

 

久能街道は「高松」と呼ばれる地域を通る。

 

古くは高松郷といわれ、江戸時代は「高松村」「宮竹村」「敷地村」で高松三か村と呼ばれ、広い低湿地に水田が広がっていた。

 

現在の久能街道は海岸に出る手前の交番を左折する。

 

〇高松交番

 

 

「大谷」に入る。

 

「大谷」の地域は江戸時代のころ、久能山の有る有度山西麓の「大谷村」「片山村」「宮川村」で三村を成し、久能山東照宮の神領だった。
古くから自然に恵まれた地域で古墳時代から栄えた。江戸時代までは大谷港があった。
 

現在は区画整理が進み昔の面影はない。

 

〇区画整理中の西大谷交差点

今は店や住宅が建ちならび、郊外における街道筋の景色になってきている。

 

西平松に入ると旧道の様相を呈してくる。

〇西平松

古く平松村が別れて西平松、中平松、青沢の3か村となった。
平松村は塩づくりで栄えた村だった。

有度山は海に削られ切り立った形になっていて海岸側からは山へ向かうルートはほとんど無い。
山から海岸までは300メートルほどしか無い地形が続く。
街道から山側に入った突当りに寺や神社が点在している。
 

〇天羽衣神社


街道から川沿いの路地を突当ると天の羽衣神社がある。
 

羽衣伝説を祀った神社。

羽衣と言えば「三保の松原」を思い描くが、ここから出た物語なのかな??

由緒の看板が立っているので読む。
祭神名   天女の霊
社伝によると昔、中平松に住む長右エ門という者が清水で塩を商いその帰りに駒越の浜に於いて松の木に羽衣がかかっているのを見つけ家にもちかえった。天女は羽衣を取り戻すためにその夜長右エ門の許に来て仕えることを頼んだ。長右エ門は女が天女であることを知らず家に住まわせる事3年あまり。
ある朝、前の浜に材木が打ち上げられたので長右エ門はじめ村人全員が浜に拾いに出ている隙を伺い天女は羽衣を手に入れ去ろうとした。しかし長く下界に暮らし身が汚れていたので飛翔の術が力尽きてしまい氏神である八幡宮でお祓い(お清め)をして霊力を復活させようとしているとき長右エ門が帰って来た。天女は事情を語り誓って言った。「私を氏神に祀って下されば永く当村の守護神になろう」と言って天に昇っていったのである。長右エ門は村人と図り天女を氏神として祀り中平松天人社と称した。
明治8年2月村社に列格 その后名称を天羽衣神社に改称した。
静岡県神社庁神社等級規定12級社

 

〇久能山全景

「古宿」という地名に変わると久能山の全景を目にすることができる。
 

「安居」という地名に変わると曹洞宗「安居山 石蔵院」がある。

 

〇石蔵院

街道に面して石碑が立っていて謂れが書かれている。
 元和2年(1616)4月17日、将軍職を秀忠に譲った後も、大御所として君臨していた徳川家康が、75年の波乱に富んだ生涯を駿府城で終え、遺言により、その亡きがらが久能山に葬られることになった。4月19日、葬儀の行列が、この石蔵院の前を通り過ぎた後、一人の武士が割腹して果てた。この武士が井出八郎右エ門である。
 井出八郎右エ門は、家康の厩の舎人(乗馬の口取りなどを勤めた役人)であったが、永年の知遇に報いるため、この石蔵院の門前で、家康葬儀を目のあたりに見て割腹殉死したのである。舎人という身分の低い武士ではあったが、家康から受けた永年の恩顧を忘れなかった井出八郎右エ門の忠誠心は、後の世までも人々の語り草となっている。
 久能街道に面した石蔵院所有地の一角には、井出八郎右エ門の墓(右)や地蔵堂(中央)と並んで、彼の忠誠心に心を打たれた多くの人々の手によって、昭和の初期、顕彰碑(左)が建てられたのである。

 
〇石蔵院の庭に大きなイチョウがある。

 静岡県指定天然記念物
昭和29年1月30日指定
目通  4.7m  樹高  30m  根廻  6m
枝張  南北22m  東西21m
慶長年間(1596~1615)に石蔵院の開山良尊禅師の手植と伝えられている。
このイチョウは、雌木で葉の上に結実する現象が見られる。このようなお葉付イチョウは全国にも極めて少なく、植物形態学上の資料として貴重なものである。
昭和59年5月31日

 

〇宝台院別院

常磐2丁目にある徳川家ゆかりの「金米山 宝台院」の別院。

もとは「照久寺」だったが1985年に「宝台院」と合併した。
照久寺は、久能山城の城将榊原照久の菩提寺である。
1582年、武田勢の守る久能山城を攻め落とした徳川家康は、榊原照久を城将とした。
1616年家康の死後、2代将軍秀忠は東照宮の社殿造営に着手、翌年に完成し、榊原照久を初代神主とした。
照久は家康の死後、久能山東照宮の警固にあたった。そして自分の死後、「墓塔を久能山に向けて建てるように」と遺言した。

<宝台院に現存する墓>
 榊原家歴代の墓
 照久寺歴代の墓
 宝台院歴代上人の墓
 寿徳院歴代上人の墓

 

古地図の東照宮への登り口に「榊原越中守屋敷」があって榊原家が東照宮を守っていたのがわかる。

 

久能山東照宮の参道前まで来ると門前のあたりは「根古屋」という町名。
山城の麓に建てられた付属の建物を「根小屋」と呼ばれることから因んだと思われる。

〇久能山下


 

伝馬町からおよそ10kmほどで久能山までやって来た。

 

 
次回は「久能街道・東照宮」へ登る。

 

 

 

*******参考*******
「駿河の国 東海道 (見て歩き)」(http://www7b.biglobe.ne.jp/~rainbowhp/tokaido/tokaido01.htm)
は私が10年ほど前に作った静岡市を中心に東海道周辺の写真を集めたまち歩きのサイトです。
*****************