数学の先生だったろうか
「この雪は
お母様の涙かもしれないわね」
と、葬儀の日に私に言った。
心配されている
慰められている
と思って
空から舞う粉雪のような雪を
適当に見上げて
微笑んだ記憶がある。
その先生からすぐさま離れてしまいたかった。
心配されたくなかった。
同情もいやだった。
でも一番の理由は
考えたら泣いてしまいそうだったから。
今、考えれば単純なことなんだけど。
感情のコントロールが下手なので
今でも本当は、すごく泣き虫で
突けば泣くような子なんだけど
泣いてる自分が嫌いだから
悟られたくなくて
感情を押し殺したり
人からワザと離れてみたりすることがある。
最近、やっと
キレイなものをキレイと感じて
言葉にする余裕が出てきた。
良いものをいい、と言えるようになった。
白い雪を見て
綺麗だなぁと思うし
冬空の星を見て
美しいなぁと思うし
日々、姿を変える月を見て
心をホッとさせているし。
今なら、
あの先生の胸に飛び込んで
泣けることが出来る気が
ちょっとだけしてる。
でも、私はあの時ほど若くないから
先生の保護下には入れないな。
残念。