すごいものを見た。
グレン・グールドは、カナダ出身のピアニスト。
私のようなポンコツファンが語るのもおこがましいが
天才である!
初めて聞いたのは、55年録音版『ゴルドベルグ変奏曲』
そのころはバッハの曲なんて、中学で聴いた『小フーガ』ぐらいしか知らなかった。
大学時代にクラシックを本格的に聞き始める中で、CDおすすめ本に載ってたのを買ったのだ。
天才と言われながらも、そのキャリアの中で、早々に生演奏の世界から退き、録音だけでその演奏を披露するというスタイルは、私の心もとらえる何かがあったのだろう。
この曲はバッハが眠れない伯爵か誰かに頼まれて、睡眠導入曲?として書かれたものだと聴いたような気がするが、グールドの演奏はとてもじゃないが眠れない。
1音1音にそのエネルギーが凝縮されていて、心を掴んで離さない。
なくなる直前に82年に録音されたCDは、さらに心の深淵まで抉ってくる怪演!
CDをほとんど手放したが、その後買い直したのがグールドの『ゴルドベルグ変奏曲』だった。
実を言うと、グールドの他の演奏はほとんど聴いたことがないので、あれこれ語るのもおこがましいのだが、この曲一曲でグールドの人生全て知ったような気になれるのだ。
今回、YouTubeのおすすめのトップにこれが出てきて、真夜中なのに仕事帰りでヘトヘトなのに、最後まで聴き入ってしまった。
最後のアリアに戻るところが大好き。
寝る前にこの曲に触れられて、今日の大変な思いをした仕事の嫌さもまぎれたかな?