[漫画]

松本直也「怪獣8号(4)」(2021年集英社ジャンプコミックスプラス)

怪獣の襲撃を受ける立川基地にて、日比野カフカは部分的に肉体を怪獣化させることで仲間の危機を救い、非番だった隊員も続々到着して形勢逆転を図るなか、本獣とのタイマンに挑んでいた保科副隊長だったが相手は刀跋術をものともせず巨大化、怪獣の強さを示すフォルティチュードは9.0 に達して、保科のスーツも戦力全解放による駆動限界を迎えて危機に陥るが、対怪獣戦法としては時代遅れになりつつあった刀跋術を評価して部隊に誘ってくれた隊長・亜白ミナへの忠誠を保科は最期の一時まで誓う覚悟で、本獣の手に握り潰されそうになった副隊長を見殺しにはできないとカフカがやむなく8号へ変身しようとしたその時、ついに現着した亜白ミナの重火器が火を噴くや、保科とキコルの援護で露出した核を見事射抜き、未曾有の本獣撃退に大いに沸く部隊だったが、大量の余獣を自爆させる巨大爆弾が基地上空へと飛来、絶体絶命の危機にカフカは正体がバレる覚悟で8号へ変身、その身を傷つけながらも爆弾の破壊に成功した彼を、怪獣と識別したミナの銃が狙いをつけるのだったが、さて拘束されたカフカの処遇をめぐって上層部では議論が侃侃諤諤、ともあれ防衛隊本部へ移送されることになったカフカへ、ミナは自分も含め隊員全員、カフカを怪獣ではなく仲間と認めていると告げて彼を送り出すのだったが、続けざまの大怪獣出現と立川基地の壊滅を受け、市川レノら新人隊員は外の部隊でより高度な訓練を受けることが決まり、一方キコルは父・四ノ宮長官へカフカの処分撤回を申し出るが、その長官とは過去の大怪獣2号から生み出された識別怪獣兵器(ナンバーズ)のパワードスーツを唯一身に纏える「防衛隊史上最強の男」で、怪獣8号としてのカフカの力を試さんと長官はその苛烈な攻撃でカフカを見る間に追い詰めていくのだった。

 

これまで本格的な出番を散々引っ張ってきた隊長・亜白ミナがようやく戦場に到着。防衛隊最強のスペックが発揮され……たのかもしれないが、カフカ@怪獣8号の活躍がなかったら全滅していたところで、展開の速さが仇になっている感。更にそこから僅か数話で作中の最強設定キャラが四ノ宮長官へと上書きされてしまい、ミナの立ち位置は早くも霞んでいる。

ややユルいなろう路線とシリアスなハード路線の間で作者が展開を迷っていた節が見られるが、この巻でハード路線を選択した模様。

(2021/10/19)

 

※3巻は日記に混ざっている。

 

 

(2021/10/19)