※最終9巻は日記時代に紛れている。
[漫画]
横槍メンゴ「クズの本懐(8)」(2017年スクウェア・エニックスビッグガンガンコミックス)
皆川茜は「私はビッチ」宣言にもケロッとしている、これまで会ったことのない男な鐘井と、気がつけば次のデートの約束を取り付けつつ、彼女へのどうしようもない想いを訴える麦ともデートを予約するのだったが、さて鐘井との熱海への一泊旅行にて、茜は男好きでビッチな自分を受け入れてくれる鐘井のプロポーズに応えると、麦とのソラマチデートにて結婚を電撃報告して彼との関係にピリオドを打ち、麦もまた変わってしまった──自分が変えられなかった茜から去る踏ん切りがつくのだったが、そして季節は秋へと移り、花火は文化祭の仕事に忙しく立ち働きながら、麦から吹っ切れた鴎端モカのファッションショーに見入ったりしつつ、用具室でひとやすみしていると昼寝から起きた麦を見つけて、お互い好きな人から失恋した二人はねじくれた自分たちの関係を解消する心の整理がつき、そして卒業式の日、花火は絵鳩早苗と軽井沢のあの日以来、会話を交わせて、結婚式を控えた鐘井と茜のお祝い会にて幸せそうな二人を見届けると、下校の帰り道をひとり歩き出すのだった。
終盤は茜が実質的なヒロインで、本来の主人公な花火も麦も座を奪われてすっかり霞みきったなか、悟ったようでいてその実、何も語っていないふわふわモノローグの嵐で、何とか形だけは取り繕った最終巻。花火が茜の本性を知った3巻が、結果的に作品のピークだった。
次の9巻は番外編らしい。
(2021/8/2)