Thank God, It's Blooomin'‼️🪴
まいど、ATSUSHIです😽
◆今月の小噺:10月 お祭り
10月ですね〜
だいぶ涼しくなってきて、
秋らしくなってきましたかね🍂
10月といえば、
街を歩くと最近はハロウィンなんかも
すっかり定着しましたけど、
僕なんかはやっぱり、
子どもの頃に行った
秋祭りを思い出します。
神輿が出たり、
屋台が並んだり。
地域によって、
いろんな風習がありますよね。
中には、
「なんでこんなことするんだろう」
っていうものもある。
昔からやってるから。
そういうものだから。
理由を聞いても、
「さあ?」
で終わってしまう。
でも、誰もやめない。
そういうのって
案外身の回りにいっぱいあるんですよね。
今日は、
そんな秋祭りにまつわるお話。
⸻
これは僕の知り合いの、
Kさんから聞いた話です。
Kさんは、
小さい頃は田舎町で暮らしていたそうです。
今はもう地元を離れて、
東京で仕事をしています。
そんなKさんの地元には、
ちょっと変わった風習がありました。
秋祭りの前になると、
町内の家に一つずつ、
小さな紙包みが配られるんです。
手のひらに乗るくらいの、
白い紙で包まれたもの。
何が入っているのかは、
誰も知らない。
祭りの日には、
家の決まった場所に置いておく。
そして、祭りが終わるまでは
触ってはいけない。
そんなルールがある。
Kさんも子どもの頃から、
毎年そうしていたそうです。
「これ、何なの?」
と親に聞いたこともある。
でも、
「昔からみんなそうするのよ」
それだけ。
祖父母に聞いても同じ。
近所の人に聞いても同じ。
学校の先生に聞いても同じ。
誰も疑問に思わない。
そういうものだそうです。
⸻
Kさんが小学生だった頃。
ある年の祭りの前に、
いつものように紙包みが配られました。
その頃のKさんは、
子供心に
それが何なのか気になって仕方がなかった。
触ってはいけないと言われると、
余計に触りたくなる。
ある日、家族が見ていない隙に、
紙包みを持ち出した。
いつも置いてある場所から、
少し離れたところに置いてみたそうです。
幼いKさんには
やけに軽いその包みを開ける勇気までは無かった。
ただ、場所をこっそり変えた。
子どもにとっては、
ちょっとしたいたずらでした。
ところが、
それを見つけた母親が、
ひどく怒ったそうです。
普段、Kさんを怒鳴るようなことは
ほとんどなかった母親が、
「なんで動かしたの!」
と、血相を変えて怒った。
Kさんは、
「だって、これ何なの?」
と聞いた。
すると母親は、
「いいから戻しなさい!」
とだけ言った。
いつもの場所に戻す。
それで終わった。
その翌朝、
近所でちょっとした騒ぎがあった。
Kさんの家から
少し離れたところに住んでいた一家が、
翌朝になっても帰ってこない。
村の人がみんなで探した。
でも、見つからず…
Kさんは、
その出来事もすっかり忘れていました。
⸻
Kさんが高校2年生の祭りの日の前日、
ふと、当時の時のことを思い出した。
あの紙包み。
あの時、
母親があんなに怒った理由。
あれは何だったんだろう。
そう思うと、
急に中身が気になってきた。
Kさんは、
また紙包みに手を伸ばした。
今度は包みを開けてみた。
紙を剥がす。
中には、
何もなかった。
本当に何もない。
「なんだよ」
と思ったそうです。
空っぽ。
ただの紙。
子どもの頃に怖がっていた自分が
馬鹿らしくなった。
そのまま元通りに包んで、
いつもの場所に戻した。
その年は、
何も起きなかった。
少なくとも、
Kさんはそう思っていたそうです。
翌朝
「あの紙、一枚余ったんだって…」
と、母親が少し硬い表情でこぼすまでは。
⸻
それからさらに何年か経って
Kさんは大学へ進学し、
そのまま地元を離れました。
就職してからは、
正月にも帰らない年があるくらい。
そんなある年、
久しぶりに実家へ帰った時のこと。
母親と夕飯を食べながら、
何気なく祭りの話になった。
「今年も祭りあるの?」
「あるよ」
「まだあの紙、配ってるの?」
「ああ。配ってるよ」
Kさんは笑って、
「まだやってんだ」
と言った。
すると母親が、
「あれ、今年一つ余ったのよ」
と言った。
Kさんは、
「へえ」
と返した。
それだけだった。
でも、少ししてから、
「あれ?」
と思ったそうです。
「一つ、余った?」
「うん」
「なんで?」
「さあ」
母親は本当に知らない様子だった。
Kさんはそこで、
昔のことを思い出した。
自分が高校生の時、紙包みを開けた年
一枚余った。
小学生の時、紙包みを動かした年は?
「ねえ」
「なに?」
「俺が小学生の時さ」
「あの紙、動かしたことあったよね」
母親の箸が止まった。
「……あったっけ?」
「ほら、いつも置いてるところから動かして」
「そんなことした?」
「したよ。母さん、めちゃくちゃ怒ったじゃん」
母親は少し考えて、
「……そうだったかねえ」
と笑った。
でも、その顔が
少し強張っているように見えたそうです。
「その時さ」
Kさんは聞いた。
「あの紙、一枚余った?」
母親は答えなかった。
「どうしたの?」
「……覚えてない」
「毎年一枚余るの?」
母親は少し考えて、
「知らないわよ」
そういって、別の部屋に消えていった。
⸻
その夜。
Kさんはなかなか眠れなかったそうです。
子どもの頃の記憶を、
何度も思い返していた。
母親が怒ったこと。
山で倒れていた近所の人。
高校生の時に開けた紙包み。
そして、
一つ余ったこと。
おぼえてないけど、
あの時も、何かが起きたような気がする。
小学校の時、
誰かがいなくなったのと
同じように。
騒ぐでもなく、それでいて何か嫌な空気が
村に漂っていた。
そんな気がする。
あの時も、「余った」のだろうか?
「余った」ってどういうこと?
何も入ってない紙を
毎年のように家に飾り続ける村の人たち。
何のために?
全部でいくつあって、
何が「余った」んだろう?
⸻
翌朝。
Kさんは母親に聞いたそうです。
「ねえ」
「なに?」
「飾った紙って
お祭りの後どうしてるの?」
母親は、
「いつものところじゃない?」
と言った。
「どこ?」
「知らない」
「知らないって?」
「毎年、誰かが片付けてるんじゃない?」
Kさんは、
「誰かって、誰かが家に上がり込んでるってこと?」
と聞いた。
母親は少し困った顔をして、
「さあ」
と言った。
そして、
「朝にはなくなってる。
そういうもんなのよ」
と、
当たり前のように言ったそうです。
⸻
Kさんは、
それ以来、地元の祭りの時期には
帰るのを辞めたそうです。
母親からも、
祭りの話はほとんど聞かなくなった。
ただ、秋になると、
「今年は帰ってくる?」
と電話が来る。
Kさんは毎回、
「帰らない」
と答える。
すると母親は、
「そう」
と言って電話を切る。
去年も、そうだった。
「今年は帰ってくる?」
「帰らないよ」
「そう」
そこで電話が終わると思った。
でも、その日は少し違った。
母親が何か思い出したように、
「ああ、そうだ」
と言った。
「今年も一つ余ったよ」
Kさんは、
「……そう」
Kさんは、
それ以上聞かなかったそうです。
⸻
昔から続いている風習には、
誰も理由を知らないものがあります。
どうして始まったのかも。
何のためなのかも。
それでも、
毎年同じことを繰り返す。
もしかすると、
理由を忘れてしまったのは
人間だけで、
その風習を続ける理由は、
今もどこかに
残っているのかもしれませんね。
◆おしまい
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最後まで読んでいただき
ありがとうございました‼️‼️‼️
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