ずいぶんと、家から出ていない。

立てこもりである。


そろそろ、

「お前は完全に包囲されている。

おとなしく出てきなさい。」

の声を期待しているが、

まったく聞こえてこない。

こっちだって本当は出て行きたいのに、

あっちは(どっちだ?)何やってるんだ。


こうなってしまったのも、

月に何度か訪れる、

「原稿書き」との戦いが長引いているからだ。



文章を書くのは、昔から得意だった。



かのような、フリをしているが、

作文でも原稿用紙3枚が限度。

レポートは5枚以上と言われた時点で心が折れるタイプ。

卒論だって、記録的短さの自分である。


んなわけで、ずっと家にいるものだから、

我が家は深刻な食料危機を迎えている。


もうレトルトカレーくらいしか残っていない。

今まで、カレーのやつも、

「この家では、食べられる心配はなさそうだ。仲良くやろうぜ。」

と安心していたようだが、悪いな。

ついにお前に手を伸ばす時がきた。


仕方ない、あきらめてくれ。

分かっていたことだろう。

別れが辛いのは。


「賞味期限が迫っていたことに気づく7月11日は、籠城記念日」

さすがに今日で片付けよ。