レースゲージアライメントテスターのブログです。

 

皆様、こんにちは!

レースゲージ開発者の「た〜じ〜」です。

 

よくある質問の一つを紹介いたします。

とある自動車メーカーの開発者の方から、この質問があったのでブログにしてみました。

 

 

レースゲージのダミーホイール式アライメントテスターの水糸の役割りについてですが、

アライメント作業に従事する方や、チューニングショップの方などから、水糸の使い方、

テスター上の設置位置など、意見や質問をいただくことが多くあります。

 

例えば、水糸の設置位置は、ハブ中心が良い、とか・・

 

それらを開設します。

 

下の写真は、車のフロアを写した画像です。

 

なぜ、フロア、ボディの写真なのか?

ホイールアライメントには、重要な二つの要素があります。

 

それは、地面(地球)と、シャシ(ボディ)です。

 

地面と接している物がタイヤ、

その後に、サスペンションを介して、シャシ(ボディ)と繋がります。

 

ここで、シャシに注目してみます。

 

重要なポイント1つ目、

 

1−1 シャシ精度

     新車出荷状態のシャシ精度、修復歴のある車両のシャシ精度

 

1−2 組み立て精度

     シャシに連結したサブメンバー(サスペンションメンバー)の組み立て精度(位置合わせ)

     サスペンションアーム・アップライトなどの組み立て精度(位置合わせ)

     サスペンションの組み立て精度(主に車高)

 

1−3 タイヤ・ホイルが及ぼす影響

     タイヤサイズによる車高値

     ホイルサイズ、インセットによるジオメトリーへの影響

 

これらを読み解けば、ホイルトレッドの補正が解ります。

 

シャシ精度と組み立て精度が悪ければ、テスター側で補正した場合、ジオメトリーに影響が出てしまいます。

補正=インセット違いのホイルを左右につける?と、同じことが起こります。

 

すなわち、車両中心線の定義はシャシで決まる。そのアウトプットがハブである。

シャシとハブの関係性にジオメトリーが介入する。

 

逆に言えば、

 

ハブ側(テスター側)で、車両中心線は定義出来ない、のです。

 

今までのアライメントテスター(3D式や電子演算式)は、仮想定義によって、

直進性のみを補正するアライメントテスターであって、走行状態におけるジオメトリーを無視したもの、となります。

アライメント用語にある、「オフセット」と「セットバック」がある限り、テスターによるトレッド補正は矛盾が生じるのです。

 

このように、レースゲージのアライメントテスターは、水糸によりトーの数値を測定していません。

ジオメトリーを無視しない限り、一般的に不可能だからです。

ゆえに、トーインゲージをダイレクトに装着する方法のみが正しい測定への一歩となるわけですね(特許出願機構)

 

 

補足ですが、

改造車の場合、車高やイニシャルアライメント(キャンバーなど)を変更出来ます。

車高が変われば、サスペンションジオメトリーの影響により、トレッド数値が変化します。

※ホーシングの車は変わらないが、ラテラルロッドの影響により(構造により異なる)、オフセットが変わる。

フロントなどは、キャンバー調整によって、トレッドが変化します。

 

このように、改造車、レース車両のトレッド値は変化してしまうため、整列確認に用いることは出来ても、

トー値を測定することは出来なくなるのです。

 

 

重要なポイント2つ目、

こちらは測定に影響する部分ですが、不動の地面(地球)と、仮想水平面の話です。

 

水平面に用いる、定盤(リフト含む)の傾き(左右輪、前後輪の高さ)が起これば、車両のアライメント測定数値に影響が出ます。

当然のことですが、環境精度が悪ければ、測定数値も悪く(信頼できなく)なります。

 

例えば、コンクリート土間で測定したときと、水平設置に異常がある定盤上で測定した場合、

後者の方が、ミスアライメントにつながるリスクが高くなります。

アライメントエンジニアは、この考え方を理解していなければいけないのです。

 

 

 

最後に、弊社事ですが、AE86のN2車両を新規製作していました。

ハチロクのホーシングジオメトリーは、とても面白い構造なのですが、車の歴史が長い分

自動車工学やジオメトリーを理解せずに、定番の方法で、改造してしまうケースがあります。

 

このような車両構造の車が今となっては、ほぼないので、とてもニッチな話ですが、

ホーシングジオメトリーについては別の機会に解説してみたいと思います。

ポイントは、タイヤのスリップアングル(滑り角)に対するジオメトリー制御です。

 

 

本日の話は、結構重要な部分なのですが、弊社も、昔に、3D式のアライメントテスターを導入しようかと

考えたことがありました。

今となっては、3Dカメラ式の裏を知ってしまうと、デメリットの方が大きくて、あの時に買わなくて良かった、と、思ってたりします。

 

もちろんデメリットよりメリットが有効になる方には、良いものです。価格を除けば!?

 

それでは、また次回。

レースゲージを応援していただけると嬉しいです。