(「あしながさん」からの続き)
会うたびに、マカオで調達したプレゼントを渡し、阿麗の様子を窺う日々。ハンドバック゛・腕時計・洋服などなど・・・、阿麗は有頂天です。
ただ、ミニーマウスをプリントしたTシャツだけは不評でした。子供じゃないと不服そうな顔をしていましたが、後日好んで来てましたよ。「香港」よりはましでしょ。
頃合いを見計らってプロポーズ。当然OK貰う事が出来ました。しかし、本人が良くても両親の許しが要りますよね。今度、何時故郷に帰るのか聞くと旧正月だと言います。
お金は出してあげるから、国慶節(１０月１日～)に故郷に帰り、御両親の許しを必ず貰う様に言うと「分かりました」。取り合えず、第一段階作戦成功成功。
次は、国際結婚の仕方を調べなければ・・・。何せ、ここは共産圏の中国ですから、何かと面倒な事になりかねないですからね。ちゃんと調べなければ・・・。
その前に、阿麗の身分証を見せて貰いましたが、確かに、１９７３年〇月〇日となっていますが、顔が全く違うのです。写真と現物を見比べていると、子供の頃の写真だと言います。
そう言われれば・・・、面影はあるかな・・・、写真自体の移りが悪い事もあり、よくわからないと言うのが印象です。小李も小金のも同じような感じでした。
兎に角、成人している事は事実の様なので、取り合えず一安心です。これからは中学生と言う訳にはいきません。大人の女性として扱わねば・・・、如何すりゃいいの(たわけか～
)。
とは言っても、やる事が変わる訳ではありませんが、阿麗の態度がより献身的になったと言う感じです。私達の関係は公然の事実で、他の卡拉OK小姐達に冷やかされる日々。
ただ独り、浮かない顔をしていたのが阿漂です。小金と阿麗が席を外していた時、いきなり後ろから羽交い絞めにされ、慌てて私が「如何したの?」と聞くと、「・・・」(暫し無言)。
「ごめんなさい」と言って部屋から出て行きましたが、追いかける事も出来ず、「何かあったのかな」と理解に苦しむ白楽雲でした。
今思えば、私に好意を持ってくれていたのかなと思いますが、「阿麗をよろしくね」と言ったのは阿漂なのです。その時点では、如何しようもなかったのです。
阿漂の身分証も見せて貰った事があったのですが、２１歳だったと思います。阿麗の方が年上だったのですね。見かけによらないとはこの事です。因みに、阿芳は１９歳です。
阿漂と言えば・・・、ちょっと言い難い秘密が・・・、これは文化・習慣の違いといいますか・・・、
誤解しないでいただきたいのですが・・・、私達の常識が世界の常識とは限りません。
所謂、マイノリティーやジェンダーに関する差別意識に繋がりかねませんが、ヨーロッパの先進国でも個人の信念によっては普通の事の様ですので、御理解願います。
夏になると半袖を着る様になりますが、特に暑い場合タンクトップを着る事がありますよね。ある日、阿漂の脇のあたりに黒いものが・・・、つい二度見してしまった私。
知らんふりをしたつもりだったのですが、「気になるの」と阿漂。「別、別、別(いえ、いえ、いえ)」。すると、恥じらいもなく、いきなり両手を挙げて・・・。
あまりに突然で固まってしまった私。私の円らな眼の直前に、とても豊かな「Armpit Hair」が・・・。不意打ちを食らって度肝を抜かれたのですが・・・、不快には思いませんでした。
阿漂が言うには、「親に貰った身体を傷つけたくないから」なのだそうです。確かに、他の子はピアスをしているのに、彼女の耳には穴がありません。
髪を腰まで伸ばしているのも同じ理由からの様です。仕方なく切っているが、ちゃんと取ってあるんだとか。「親と一緒に居た頃の髪の毛が段々短くなって悲しい」と言うのです。
彼女は、ここに来てから一度も故郷に帰ってないと言います。帰る金はあるのですが、「帰る金があるなら・・・」と、親に言われるのだそうです。悲しいですね。
それでも、彼女は、「自分が帰ると白い目で見られるから、気を使って言っているんだと思う」と、言うのです。何て健気な・・・。今思えば、阿漂を何とかしてやるべきだったと思います。
でも、これも不遜な考えですよね。何方にしても、この時の私には阿麗の事で頭がいっぱいで、気にかける余裕すら無かったのです。未熟な白楽雲でした(今もな
)。やかましい。
(つづく)
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