ここでもう一度、
このS店の成功事例のポイントを整理してみることにする。
S店がいかにして三日間で4000足近いデッド化した在庫を
処分できたのか。
そこには二週間という短期間の企画のツメではあったが、
用意周到さが伺える。
それと何とかこの4000足を処分しなければ、
次の商売の原資確保が出来ないと言う危機感が感じられるのである。
人間不思議なもので、その気になったときの“火事場のバカ力”は凄い!
このS店の企画の実行力には、そんな迫力を感じたのである。
そこで成功要因を整理すると以下のようなことが上げられる。
1.徹底した地域密着型でボスティングと宅訪を中心とした、
手作り媒体戦略を実践してきた。
2.たんぼと畑に囲まれた倉庫というデメリットを
過去の発想や経験測にとらわれず、
不便な場所を便利な場所というメリットに変えていった。
3.売れるかどうかと言う疑問と不安を乗り越える
“絶対に売るんだ!”という意気込みが全員に感じられた。
4.4000足を短期間で売るためには、
どんな価格的、商品的魅力付けが必要かといった
売るための戦略が明確になっていた。
5.倉庫だけでなく、屋外スペースでも賑わい企画として
婦人衣料等の抱き合わせ催事による魅力付けで行った。
…等である。
その中で私がS店の成功要因として最も注目したいのが、
後継者である息子さんを中心とした
兄妹の「団結力とやる気と売る気」である。
私が前職として約四分の一世紀を百貨店で働いてきた経験から言うと、
「売る」とは、多分に精神的、心理的側面が大きいといえる。
特に“何としても売るんだ!”と自分自身に暗示をかけることである。
私の過去の経験から、この暗示が強いか弱いかによって
「勝ち組」になれるか「負け組」になるか大きな境目といえる。
手前味噌ではあるが、
百貨店在職中に56ヶ月間に渡り連続売上予算を達成したことがある。
この記録はその後破られていないと思う。
この4年8ヶ月の間フロア全体における
“何としても今月も売上予算を達成するんだ!”
という意気込みのすさまじさは、今でも鮮明に覚えている。
またその間には、上司や仲間が亡くなるという不幸なこともあった。
少々、浪花節的になるがその時ほどみんなが団結したこともなかった。
いわゆる“弔い合戦的営業”を続けたのである。
しかしそのピーンと張りつめていた糸が切れた時のもろさも経験した。
57ヶ月目に目標予算が未達成に終わったのである。
その時には自分の体の中から何かが抜けていくような気がしたものである。
その後、この57ヶ月を境に、次の売上予算達成まで4~5ヶ月かかったように記憶している。
少々、手前味噌な話が長くなったが、
S店の3日間には、このような「自己暗示力」を兄妹に感じたものである。
その後1年以上S店を訪れていないが、きっと今も、
180センチを優に超えるガッシリした体で、
毎日はつらつと営業に飛び回っている息子さんと、
S店のアイドルであるヨークシャーテリアを溺愛しながら
靴店経営に従事している社長ご夫妻の顔が思い出されるのである。
第2話 終わり
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ヒトづくり・ミセづくり・モノづくり・マチづくりのトータルアドバイザー
人材教育・販売促進・商品開発・地域活性化の
(株)ラフィネット総合企画
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