いよいよA商店再建策の実行である。

前の大型店の工事現場では、

7月のオープンに向けて着々と工事が進行している。


私は、何度もA商店の前を車で走り、

助手席から見たプライスカードの位置や大きさ、

商品の見え方などの点検を行った。


 何せA商店の前を車で通り過ぎる時間は、

たったの0.5~1秒足らずである。


その1秒足らずの瞬間に、いかにして

「お買い得感」や「新鮮さ」を訴えるかにA商店の命運はかかっている。


何度も何度も店の前を試走している中に、

私はあることに気付いた。


プライスカードは大きく、車中からも見えることは見えるが、

商品に付けられている値書き全部に「お買い得品」と書かれている。


それに全ての表示がみな同じ大きさである。


これでは「どれが本当にお買い得」で「どれを本当に売りたい」のかが分からない。

値書き札の色もみな一律「黄色の紙」である。

私はすかさず車を降り、ご主人に聞いてみた。


 「今日のお買い得品はどれですか?」
 「ご主人はどの商品を中心に売りたいのですか?」


そして「今日のお買い得品」と

A商店が「売りたい商品=利益の取れる商品」

が決まった。


まず今日のお買い得品は、他の値書き札に比べて大きく表示を変えた。


さらに売りたい商品を一等地に場所を変え、

手に取りやすい高さに並び替えた。


そうすることにより、店頭品ぞろえにメリハリが生まれた。

しかし私の目にはまだ何か物足りなさが感じられた。


 時間は4時を過ぎた頃である。よく見ると薄暗い。

だから店頭に並んでいる野菜達が活き活きしていないのである。


ふと天井を見ると、使われていないコンセントがいくつもあることに気がついた。

試しにそのコンセントに裸電球をいくつか取り付けてみたところ、

みるみる野菜達の新鮮さが浮かび上がってきた。


まさにライティング効果である。


そして夕闇迫るA商店の店頭が輝き始めたのである。


ちょうどその頃、夕食の支度で買い物に来ていたお客様達からは、

驚きとお褒めの言葉をいただけたのは言うまでもない。


しかし一番驚いていたのは、A商店のご主人と奥さんであった。


 これでA商店の再建のベースは出来上がった。

あとはこれから完成する大型店がオープンするまでの1ヶ月間、

仕掛けづくりである。


仕掛けづくりのポイントは、先にも述べたように

第1には「土物野菜」「通年野菜」「均一セール」等のカテゴリーの明確化である。


そして第二は、野菜の持つ「色の表現」である。


例えば柑橘系の果物ならば、レモンの黄色とグレープフルーツの黄色は違う。


さらにミカンのオレンジ色とネーブルのオレンジ色も違うのである。

それらをレモンの黄色からネーブルのオレンジ色まで、

グラデーションで並べて色表現をすると店頭がファッショナブルになってくる。


 このように葉物野菜も土物野菜も「1つの決まり事」に沿って商品の陳列を変えることにより、「A商店の野菜市場」がさらに活き活きし始めてきたのである。


あとはこの体制をいかに維持できるかにかかっている。


 作業を終了し、私はあえてご主人と奥さんに助言を行った。
「A商店がこれから先、伸びるも落ち込むも、いかにこの体制を維持できるかです」
…と。


さらに
「店のこの状態を維持するのは奥さんの責任、

仕入と商品の新鮮さを維持するのはご主人の責任です」


 二人は神妙な顔つきでうなずいていた。


また、ご主人にはこうも付け加えた。


 「明日から毎日10時半になったら、

1km先のBスーパーを見に行ってください。

そして何でも良いから、Bスーパーよりも、

一円安い商品を今日のお買い得として1~2品作ってください」



 私の問いに対して、ご主人はニコニコ笑いながらはっきりと


「分かりました!」

と応えてくれた。


これであとは、7月の大型店のオープンを待つばかりとなった。

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ヒトづくり・ミセづくり・モノづくり・マチづくりのトータルアドバイザー
人材教育・販売促進・商品開発・地域活性化の
(株)ラフィネット総合企画
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