僕が消したかったのは
あの人でもなく あの時間でもなく
あの場所でもなく あの思い出でもなく
【 無 】そのもの
何かを得て
何かを失い
己を見失い
願うは何も無い世界
消せたとしても
誤魔化しにしかつながらないのは
「何も無い」がそこに有るから
どう足掻いたところで
「何も無い」ことを感じてしまうから
結局逃げ場所なんて無いんだよ
何も無いから感じ出す
何も無いから思い出す
喜びは別フォルダに保存もできるけど
悲しみ苦しみは上書き保存でしか消えないんだよ
フォルダを抹消したデスクトップには
保存場所すら無くなった
上書きする場所すら無くなった
更新のできない
「何も無い」心のデスクトップ
新規作成という案は
未だ生まれてきやしない