毎晩のようにマンションのご近所さんから
親子で叫び合う声が聞こえる。
高校のお嬢ちゃんとその親御さんが言い争っている。
大抵お嬢ちゃんが泣き叫び、親御さんが怒鳴る。
エアコンを付けていた時は聞こえなかったが、
網戸にして掃き出し窓を開け放つと
聞きたくなくても聞こえてくるのだ。
お嬢ちゃんが小学校の頃からずっとだから、
ずいぶん長い反抗期だ。
私の反抗期は小学校4年生ぐらいから6年生ぐらいまでだった。
父が26歳母が24歳の時の子どもで
両親にとって子育ては初めてだったから、
理想の子ども像というのがあったはずだ。
たくさん習いごとをさせ、女の子だからと
立ち振る舞いや箸の上げ下ろしまで細かく躾られた。
物心つく年齢になると、うるさいなあと思うようになり、
母に逆らうようになった。
父に直接逆らうと雷が落ちるので母に口答えするのだが、
当然母は父に報告する。
そして叱られる。
毎日その繰り返しだった。
反抗期真っ只中の10歳の頃、まだ若い両親は
三人の娘をまっすぐ育てねばならぬと
血気盛んだったはずだ。希望に燃えていただろう。
自分が34歳で、10歳の子どもに口答えされたら…、
そりゃ腹が立つわ。
しっかり躾せにゃならんと思うのは当然だ。
ある日の夜、何が父の逆鱗に触れたのか全く覚えていないが、
玄関で「出て行け!」という父に泣きながら「出て行かん!」と
私が逆らったのを妹たちはよく覚えていて
いまだに思い出話をする。
怖いよう、何であんなに親に逆らうんだろうと思ったそうだ。
そんなこと、私にもわからんわ、わかっていたら逆らわん。
そんな私と両親のやり取りを見て妹たちは、
口答えしたら叱られるから親には逆らわないでおこうと学習した。
私のように大声で叱られたことはない。
両親も、子どもは親のいうことをきかない、
子どもに色々期待して詰め込んでも
理想どおりにはならないと学習し、
本人の性格をみて注意し、習いごとも希望をきいたほうがいい
という方針に変えた。
反抗期があったお陰で、親に逆らうことはしんどいだけで
親の意見は絶対変わらないとわかった。
自分の意見は理路整然と話さなければ
聞いてもらえないということもわかった。
中学生になると世界が少し広がり、部活で忙しくなり、
今度は親と口をきくのがうっとおしい年齢になり、
すっと反抗期は終わった。
口うるさく躾られたお陰で、礼儀作法や立ち振る舞いや
ご飯の食べ方など、人並に恥ずかしくない程度で
いられるような気がする。
これは大人になってわかったことだが。
社会に出る訓練を家でしていた訳だ。
今、役に立っているのだろうか。
理不尽なことがあって自分の意見を言う時、
つまり物申す時は冷静に穏やかに話す、
言い合いをしない、怒ったら負けだ、
というのはよーくわかる。
10歳の頃を思うとずいぶん成長したわ。