中学に入学した時、身長が135cmしかなかった。
運動音痴ではなかったはずだが、
チビコンプレックスの固まりだった。
中学では母の恩師がバレー部の監督をしており誘われたが、
どう頑張ったチビの私は補欠の球拾いだと思った。
人気があったのは、テニスと卓球、
人数が多く球拾いにさえなれそうもない気がした。
体育館を卓球と半分ずつ使っていたのが剣道部、
男子に混じってひとりだけ女子の声がした。
初めて見た剣道部は、カッコ良かった。
多分チビでもできる!
チームプレーじゃないところが気楽でいいなと思った。
何よりも袴をはいてカッコいい中学生になりたかった。
入部して最初に教わったのが素振り、両手はマメだらけ、
部活が終わったら疲労困憊で、
家までの3kmの道のりを足を引きずって歩き、
帰宅しても玄関で座り込んで動けなかった。
入部して1ヶ月、ようやく防具をつけるようになったが、
きちんとした型が身につくまでは剣道着を着ることは許されず、
体操服に防具というマヌケな姿だった。
唯一の女子の先輩は中3で、
優しい人だったが男子より強くタフだった。
私たち新入り部員の指導係りは中3の男子キャプテンで、
意地悪な性格で、女子の先輩より弱かった。
シゴキではなくイジメだと思った。
一緒に入部したもうひとりの体の大きい女子には
シゴキさえしていない。
気の弱い男子に対しても陰湿だった。
自分もチビのくせに、私に対して
「お前はチビだから、徹底的に小手を練習しろ。」と
今思えば偏った指導ぶりで、何度も私に小手の練習をさせ、
何度も私の小手を打った。
右手には、小手の縫い目がつくほどで痛くて腫れ上がった。
下手な新入部員同士で練習していると、
防具のない肘や肩や首や膝に竹刀が当たり、
身体中アザだらになった。
チビは1日3本牛乳を飲み、
憧れの先輩目指して真面目に頑張った。
毎日ヨレヨレだったが、不思議に、やめたいとは思わなかった。
根っからの負けず嫌いなんだ。
チビはチビなりに頑張っていると背も少しずつ伸びて
筋肉もついてくる。
準備運動に100回の素振り、30回の腕立て伏せと腹筋
当たり前にこなせるようになった。
体力がついてくると、できなかったことができるようになる、
頑張る力になった。
水も飲まず、関節のアイシングもせず、
ただ根性と努力あるのみ!
今では考えられないことだ。
過保護に育ったへなちょこチビが、
身体の丈夫な気の強い女子になれたのは剣道のお陰だ。
かっこいい先輩みたいになれなかったが
絶対に後輩イジメはしなかった。
強いものに向かっていくからこそ闘う意味がある。
高校になっても剣道を続け、
近くにあった国立商船高等専門学校とよく練習試合をした。
ある夏の日、何故か意地悪元キャプテンが剣道部に遊びに来ていて、
私を見つけた。
ふざけ半分で防具をつけ、私と試合をすると言いだした。
もう12歳のへなちょこチビじゃないぜ、現役女子キャプテンだぜ、
身長も20cm伸びたぜ。なめんじゃない!
私の闘争本能にスイッチが入った。
絶対負けない気持ちで立ち向かい、
あの時何十回も打たれた小手を
ありったけのパワーで打ち付けた。
あんなジャストミートな小手はめったに打てるものではない。
なせばなるだ。
なぜこれを書いているかというと、
イジメのことを考えていてふと思い出したから。
名前はうろ覚えでもやられたことは忘れない。
弱いものイジメは絶対にしてはいけない。
もし、どこかで意地悪元キャプテンに会ったらどうするだろう。
小手、とどめに突きだ!
なんて過激なおばちゃんでしょう。うふ。
剣道ネタまだまだあるよ。