届かないのではない
届けないのだ
誰の名誉でもなく
無論私の名誉でもなく


「すき」

確かにその言葉はここにある
なのに貴方への思いははかれない
物差しを何本買ってこれば
いいのだろうなんて 嗚呼、嘲笑



夜桜に舞い上がる
あの日あの時 瞬いた貴方へ
この思いは届かない


届かないのではない
届けないのだ
誰の名誉でもなく
無論私の名誉でもなく
ただ徒然と時を刻みつづけても



「だいすき」

確かにこの言葉は唇にのる
あなたの鼓膜は震えることはないのだ
文字として現れていくこの裏側
二進法の電子回路だけの心 嗚呼、刹那



風に舞い踊る
あの日あの時 微笑んだ貴方へ
この願いは届かない


届かないのではない
届けないのだ
誰の名誉でもなく
無論私の名誉でもなく
ただ徒然と時を刻み続けても
色あせない心があるから



届かないのではない
届けないのだ
誰の名誉でもなく
無論私の名誉でもなく
ただ徒然と時を刻み続けても
色あせない心があるから

微かな響きをもって響くこの心の音が
貴方の左胸でときめくその瞬間まで




与えられる 与えられて奪われる
時の間の幸せは どうしてだか
とても 「わたしたち」 に似ている


神様のような本体に支えられて
起動音と共に目覚めさせられる
身体に走る閃光は日光によく似ていた
ふと思いつく その手に与えられる
情報である言葉、文字、つづられて


だけどおかしいよね おかしいよね
僕達の手のひらが 神様ならば
なんて可哀想な本体 
なんて可哀想なメモ帳



与えられる 与えられて奪われる
すがりつく術も 持たないから
繰り返す 「コピーペースト」 身を任せて


クリックで開かれて閉じられて
時折フリーズすれば舌打ちをされる
会社で働く父様は今誰から舌打ちを?
ふと振り返る バックアップはとったかな
思い出と何が違うというのかな


でもねそうじゃないよ そうじゃないんだ
僕達は信じたいんだ 神様じゃなくて
可哀想なんかじゃないと
つかの間の命ですら 幸せだと



与えられる 与えられて奪われる
ただ 「わたしたち」 が違うのは
いつの間にか忘れてしまうことだけ

そんなこと考えていたんだ
メモ帳の方が ずっとずっと
神様のようなのに って
僕はなんだか 泣けてきたんだ

与えられる 与えられて奪われる
全てが白紙に戻った時 その時ですら
「わたしたち」 は ゴミ箱にすらいけないのに



この手のひらから命が生まれる

この手のひらから悲しみが生まれる

この手のひらから苦しみが生まれる

この手のひらから嘘が生まれる

この手のひらから傷跡が生まれる

この手のひらから言い訳が生まれる

この手のひらから言葉にならない痛みが生まれる


だけどこの手のひらは 確かに目の前にある
こんなに無力で不誠実な手のひらは 確かに私に繋がっている
嘘と言い訳ばかりで汚れた手のひらだけど 願わくば


この手のひらから優しさとほんの少しの愛が生まれてくれたら

私はこの手のひらを 最後まで愛してあげられるのに

私はこの手のひらに 愛おしいと名をつけてあげるのに



手のひらから