放射線による生物影響は確率的影響と確定的影響に分類されます。

 

「確率的影響は線量に直線的に比例し閾値がない。確定的影響はしきい値があり線量が増加すると影響が増加し100%に達する。確率的影響は癌と遺伝的影響で、確定的影響は、脱毛、奇形など癌と遺伝的影響以外の影響である」

 

50年ぐらい前に放射線の講義でこのように習いましたが、最近ではこの定義はだいぶあいまいになってきています。

 

脱毛は典型的な確定的影響ですが、被ばくの翌日にごっそり毛が抜け落ちたら放射線のせいでしょうが、低線量被曝で普段100本抜けているものが101本に増えるとき、20歳のとき被曝して50歳のときはげたとき、これを放射線のせいだと断定できるでしょうか?

 

放射線がなくても自然におきる現象について閾値を定めることは難しいのです。ですから最近では「確率的影響は細胞影響で確定的影響は組織影響」といってみたり、「確率的影響は晩発影響で確定的影響は急性影響」といっている人もいます。

 

「確定的影響」と「確率的影響」という分類は近い将来なくなるでしょう。

 

原爆被ばく者などのデータから遺伝的影響は相対的に極めて小さいことが明らかになっているので現在では「確率的影響」はもっぱら「発がん」で評価することになっています。

 

 

 

 馬替生物科学研究所 所長

                     第1種放射線取扱主任者
                                  馬替純二