前回紅麹とスタチンについて書きましたが1)、近頃はほとんど話題にも上らなくなりました。

 

そもそもコレステロールを下げること自体、体にいいことなのか疑問なのです2)

 

コレステロールは細胞膜の重要な成分です。脳や神経等に多く、ミトコンドリアのエネルギー代謝の補酵素です。増殖の盛んな免疫細胞や皮膚の細胞、大量のエネルギーを使う心臓や筋肉には必須の成分です。ステロイドや性ホルモン、ビタミンDもコレステロールが材料になっています。

 

ですから、コレステロールを下げることは必ずしも身体によいとは限りません。スタチンが有効なのは家族性高コレステロール血症などの異常値を示す場合に限られ、75歳以上の高齢者ではリスクを鑑みるとスタチンの処方は正当化されません2,3)

 

ビタミンDはカルシウム代謝に関与するビタミンで骨代謝に重要です。免疫調節作用もあり、癌や風邪の予防にも有効であるとされています。循環器疾患や神経作用もあり動脈硬化やうつ病のリスクの軽減が報告されています4)

 

ビタミンDはVDRという転写因子に結合して作用することが知られています4,5)。抑制性T細胞が誘導され、放射線ホルミシスと同様に免疫を安定化します5)

 

ビタミンDは日向で昼寝でもして日光を十分に浴びていれば体が作ります。冬に風邪をひくのは日差しが弱くビタミンDが欠乏するからだとも言われています4)

 

日光浴のホルミシス効果の一部はビタミンDによるのです。

 

1) https://ameblo.jp/radonrooom-rara/entry-12849329825.html

2) https://www.amazon.co.jp/コレステロールは高いほうが病気にならない-ベスト新書-浜崎-智仁/dp/4584120951

3) https://ja.wikipedia.org/wiki/スタチン

4) https://ja.wikipedia.org/wiki/ビタミンD

5) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22529297

 

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馬替生物科学研究所 所長

第1種放射線取扱主任者

馬替純二