最初の頃に「胆嚢癌疑い」と書いた症例が、病理で膿瘍や黄色肉芽腫性胆嚢炎と診断されて驚いた記憶がある。その後は胆嚢癌が続いたが…
胆嚢癌疑いの最終診断が良性となる頻度はどの程度なのだろうか?
インドのタタメモリアル病院からの報告がある。
2010~2016年にかけて胆嚢癌が疑われて手術が行われた連続する284例を後方視的に検討した。
全例に腹部~骨盤造影CTが行われた。138例 (48.6 %) が良性だった。
良性病変の組織 (n=138) *
慢性胆嚢炎 |
81 (58.7 %) |
黄色肉芽腫性胆嚢炎 |
47 (34.1 %) |
腺腫様ポリープ+異形成 |
5 (3.6 %) |
腺腫様ポリープ |
3 (2.1 %) |
陶器様胆嚢 |
1 (0.7 %) |
コレステリン沈着 |
1 (0.7 %) |
* 一部の値はFigure 3から逆算した。
半数近く良性…!?
慢性胆嚢炎や黄色肉芽腫性胆嚢炎がmimickerとして多かったようだね。
次のようなイングランドのリバプール大学からの報告もあった。
2016~2019年にかけて複雑な胆嚢疾患で肝胆専門チームに紹介された全例を検討した。肝内胆管癌は除外され、454例が検討された。術前検査として腹部US、体幹部CT、肝MRIがルーチンで行われた。
癌が疑われた145例のうち、48例に根治的な胆嚢摘出術が行われた。
このうち、良性が39例、悪性が9例 (腺癌 6例、他の癌 2例、リンパ腫 1例) だった。
良性の方がむしろ多くなっている…
ただ "複雑な (Complex)" というのが、実際どんなものかにもよるような気もする。
大学病院だから結構変わった症例が集まっている可能性もありうるか。。
まあ本当にこんなに良性が出るのかはやや疑問が残るが、慢性胆嚢炎や黄色肉芽腫性胆嚢炎でもおかしくないような病変をみたら、割と警戒してもいいのかもしれない…
一応、mimickerの画像を載せた文献もあった。