以前、若年男性の前立腺腫瘍をみたことがある。肉腫なども鑑別に挙がったが、病理が分かる前に異動となったので、結果は分からない。

 

全体的な傾向を知るうえで役に立ちそうなので、まずは広島県腫瘍登録報告書を引用する。

 

 

1973~2000年の間に登録された前立腺腫瘍 (n=6088)

 

腺癌

6015 (98.8%)

 

腺扁平上皮癌

2 (0.0%)

小細胞癌

12 (0.2%)

 

肉腫, NOS

2 (0.0%)

粘液腺癌

4 (0.1%)

 

悪性リンパ腫

2 (0.0%)

移行上皮癌

4 (0.1%)

 

浸潤性導管癌

1 (0.0%)

カルチノイド

4 (0.1%)

 

横紋筋肉腫

1 (0.0%)

平滑筋肉腫

4 (0.1%)

 

癌肉腫

1 (0.0%)

扁平上皮癌

2 (0.0%)

 

その他

34 (0.6%)


広島県腫瘍登録委員会. グラフで見る1973~2000年の前立腺腫瘍. 広島県腫瘍登録報告書 (No.28), p36–55. から引用

 

ちなみに本文中では、腺癌の特殊型である粘液腺癌や浸潤性導管癌がごく少数しか見られないのは、腺癌の中に含まれて登録されている可能性が高いと言及されている。

 

小細胞癌については、現在では内分泌療法中に小細胞癌へ変化 (神経内分泌分化) するパターンでしばしば経験するように思う。
 

 

さて、若年者では肉腫が多そうではあるが、簡単に調べたところ年齢別の組織型データはあまり見つからなかった。

一応、下記の方向によれば、15歳未満では横紋筋肉腫が大半のようだが、AYA世代ではどうかよく分からない。

 

 

SEER 18 データベースを利用して、1973~2015年にかけての15歳未満のデータを調べた。

前立腺腫瘍は62例が抽出され、0~4歳:40例、5~9歳:12例、10~14歳:10例だった。

組織の内訳は横紋筋肉腫 59例 (95.2 %)、肉腫 1例 (1.6 %)、腺癌 1例 (1.6 %)、胚細胞腫瘍 1例 (1.6%) だった。

 

A Nazemi, et al. Pediatric genitourinary tumors: Distribution, demographics, and outcomes. Pediatr Investig. 2022 Jun; 6(2): 85–92.