肝生検され、結果はNETだった。詳細に検討すると小腸に小さな多血性病変があり、原発巣として疑われた。
下記の文献では、
A-P shunt、血管腫、限局性脂肪沈着/正常化域、炎症性病変、
慢性的な門脈血栓による偽腫瘤、塊状線維化巣、胆管細胞癌、
血管筋脂肪腫、FNH-like lesion、Osler病の血管塊
がmimickerとして挙げられている。
難しいところだが、次のような文献もある。
肝硬変を有し、HCCが疑われて生検が施行された連続する167例を検討した。患者は前方視的に集められ、HCCの疑いがあり、生検が可能な患者には生検が行われた。生検が行われなかったのは、最初から手術が検討された患者や腹水貯留例、低血小板例、凝固異常、生検困難など。
造影CTと細胞外液性造影剤を用いたMRIが、LI-RADS 2018に基づいて読影され、良性あるいはHCC以外が疑われた患者は除かれた。
167例中、137例 (82 %) が生検で診断され、そのうち114例 (83.2 %) がHCCであり、12例が他の悪性病変 (肝内胆管癌 9例、混合型肝癌 1例、血管肉腫 1例、大腸癌転移 1例)、7例が異型結節、4例が良性病変 (大型再生結節、腺腫、血管腫、非特異的な線維炎症性病変) だった。
残りの30例 (18 %) の生検では腫瘍性変化が得られなかった。そのうち20例は既往やフォロー経過よりHCCと考えられ、5例はフォロー中に良性病変と示され、5例はフォローされなかった。
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HCC |
HCC以外 |
LR-4 (n=27) |
19 |
8 (3例は異型結節、5例は良性病変) |
LR-5 (n=100) |
89 |
11 (3例は異型結節、2例は肝内胆管癌、1例は大腸癌肝転移、5例は良性病変) |
LR-TIV (n = 18) |
16 |
2 (2例は肝内胆管癌) |
LR-M (n = 11) |
6 |
5 (4例は肝内胆管癌、1例は血管肉腫) |
LIRADS 2018のLR-5は、ざっくりいうと早期濃染を示す1cm以上の結節で、被膜様濃染、washout、増大傾向のうち1つ以上の特徴を有するものであり、早期濃染/washoutと同義ではない。しかし、意外と1割ぐらい外れたよう…
"良性病変"の内容は不明なので、もしかするとそこに含まれていたりして…
ところで肝移植で摘出された肝臓と、術前のMRIを比較した研究は沢山あるらしい。
以下のレビューでは、HCCが疑われたが実際にはHCCがなかった患者の診断がまとめられていた。
慢性肝疾患があり、HCCが疑われた成人に対するMRIの診断精度を調べるために34文献 (4841例) をレビューした。
HCCの診断におけるMRIの感度は84.4 % (80.1-87.9%)、特異度は93.8 % (90.1-96.1%) だった。
移植の摘出肝を対象とした研究のうち、実際にはHCCがなかった患者の診断は6文献で記載されていた。
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患者数 |
HCCがなかった患者 |
内訳* |
de Lédinghen (2002) |
34 |
13 |
異型結節8例、巨大再生結節6例 |
Libbrecht (2002) |
49 |
14 |
血管腫1例、FNH 1例 |
Hanna (2008) |
48 |
23 |
限局性線維化域3例、脈管3例、良性再生結節3例 |
Yu (2011) |
638 |
99 |
異型結節あるいは再生結節 6例、血管腫 2例、 限局性梗塞1例 |
Hwang (2014) |
63 |
11 |
異型結節15例、大きな再生結節3例 |
Villacastin Ruiz (2016) |
273 |
164 |
胆管細胞癌6例、血管腫 2例、異型結節6例 |
生検結果を対象とした研究のうち、実際にはHCCがなかった患者の診断は、4文献で記載されていた。
|
患者数 |
HCCがなかった患者 |
内訳* |
Giorgio (2007) |
73 |
25 |
再生結節8個、異型結節4個、限局性脂肪肝6個、血管腫4個、転移1個、非ホジキンリンパ腫1個、FNH 1個 |
Sangiovanni (2010) |
64 |
22 |
胆管細胞癌2個、軽度異型結節3個、巨大再生結節18個 |
Sersté (2012) |
74 |
27 |
異型結節7個、巨大再生結節9個、胆管細胞癌1個、類上皮血管内皮腫1個、慢性肝疾患の領域9個 |
Shin (2017) |
75 |
18 |
異型結節1個 |
*“個”なのか”例”なのか不明なため、一応”個”で記載した。
患者数は個々の研究の規模を把握するために一応記載しておいた。
申し訳ないが、個々の研究は詳しく読んではいない。無料で読めないものも多い。
HCCと実際に間違えられた病変としては、再生結節、異型結節あたりが多く、胆管細胞癌も比較的あるかもしれない?
まだまだ調べる余地はありそうだが…