「「「本当にすいませんでした(……ヒュヒュ)」」」

「い、いや……私の方こそすまなかった………悪魔と勘違いしていて……」

「んー、以前“こっち”に来た時は、モルアはもっとグラディオンロックに近かったはずだけど?」

「えぇ……つい最近悪魔達が頻繁に現れるようになりまして、村を破壊されてしまったのです。

それで森を抜けたこちらの方に村を作った、という事でございまして。」

悪魔達、やることがお決まりのパターンだが、楽観視できるわけじゃないな。

「ヒュヒュヒュ………そいつらが出てくるタイミングは割れてんのか?」

「ええ、多少は。月が満ちる刻の夜に高確率で現れます。ちょうど今日はその日です。」

「ヒュヒュヒュ……なら話は早いな。」

そうだジョーカー。これ以上悪魔達を野放しにするわけにはいかない。いいこと言うじゃないか。

「そいつらひっこ抜いてアジトと、計画について聞きだすぞ。」

「もちろんだよ。」

「では、夜をお待ちくだされ。きっと現れるでしょう。」

夜まで待てとは言われたものの、あと小一時間はある。

時間を持て余してはいけない!ということで

村に来てから、何か手伝えることはないかと聞き、手伝えることと言ったら

畑仕事と言われたので三人で畑仕事を手伝うつもりだった。

しかし、

「ホラホラホラぁ!純哉ぁ!さっさと動けぇ!ヒュハハハハハハハ!」

「なんで俺ばっかりなんだこんちくしょう!おいキュウ!お前も動け!おいぃぃぃい!」

「あー。ほんってたのしいよね。」

「キュウは読書中だから、だめだってよ……ヒュヒュヒュ!」

「なんでお前はやらないんだジョーカー!」

「生憎この体じゃなぁ………ヒュヒュ。」

くそう!なんて汚い奴らだ!

まぁいい!そろそろ夜だしな!

つか月でっけぇな。眼が眩みそうだ。

俺はここにきてまだ数時間だが、此処の美しさも実感できる。

本当に『死』の大陸なのかと思えるほどに。

こんな良い世界は壊してはいけない。

悪魔は許せない存在だ。

総裁からは大量に人々を虐殺していると聞いた。

だからこそ、やっぱり地球とこの世界を守るためにも、

「ヒュー……おい、純哉。」

俺達が何とかしなければならない。

「純哉ー。」

力をつけなければならない。

「ヒュヒュヒュ!おい純哉、起きろ。自分に酔ってんじゃねぇ。」

もう何なんだよ。今いい感じで地の文に当たる俺の心の内を語っている所なのに。

「何だよ一体!」

「うじ虫共のお出ましだぜ……ヒュヒュ!」

え?まじで?全然気がつかなかった。

辺りを見回すと大量生産品のような奴らが群れをなしていた。

「こいつらに村を襲わせてた、てわけだね。殺してあげようか。」

「そーだな。許せねぇぜ。」

「ヒュヒュヒュ!」

掃除してやるぜ!デュエル!

「……キョウ、チガウヤツラ、ドウスル?データトレテナイ!」

「カマワナイ、コロスゾ。」

「ヒュヒュヒュ………殺して見やがれ。アタックウェポン“オーバーナパーム”!」

これは強い。やはり何時みても強い。この威力はチートだ。

「ジンカイセンジュツダ!ヤツモニンゲンヨ!」

「人海戦術って言うけど、キミら人ですらないじゃない。アタックウェポン“ブラストスピア”!」

ブラストスピア、見たところ魔力の槍を飛ばす技。普通だな。

「俺も行くぜぇ!“ハイドラ”!」

二回目のハイドラ!強いぜぇ!強いぜぇ!

「グオオオオオ!」

「ナニヲヤッテイルンダ!グゥ!ルドラーサマ!」

ん?ルドラー?新キャラ?

戸惑っていると長髪の男が目の前に現れた。

「全く。何をやっているんですかあなた達。見苦しいにもほどがありますよ。下がりなさい。」

そのルドラーらしき人物の特徴をまとめてみる。

・背中に届く長髪

・おそらくウェポンと思われる装飾品で固めている

・真面目そうな口調

・美系の男

四つ目の特徴だけで殺したくなってくる。

「ヒュヒュヒュ……中ボス登場かぁ?」

「いえいえ、私はまだまだ弱小ですよ。この使えない量産型をまとめる程度ですからね。」

「にしては、ずいぶんと沢山のウェポンだな。ヒュヒュヒュ。」

「ふふふ。一応アーマーですけどね。それはそうと、貴方達はココの住民ではないでしょう?」

「ヒュー……そうだなぁ。まぁ一応、テメェらの尻尾を追ってここへ来たんだ。ぶっ潰すぜぇ!」

「いいでしょう。どこからでもかかってきて下さい。私の剣術で切り刻んであげましょう。」

「ヒュー………ヒュヒュ!デス・ウェポン“ダークネス・アイ”!ヒャハハハハハ!動けない気分はどうだい?」

んー。やはり強いな。ものも言わさず停止とは。つか酷すぎる。

「ふむ。この程度ですか?………フン!」

なんと!ダークネス・アイを打ち破った!すごいぞあいつ。強い。

「あんだぁ?ダークネス・アイを打ち破っただぁ?笑わせてくれるじゃねぇか!“パライズテイル”!」

「遅いですよ。村雨流剣術第二十八番“東方の五月雨”!」

剣を抜き振り下ろした瞬間、無数の衝撃波が空から降ってきた。

そうか。これが五月雨。剣術で表現しているというのか。

なかなか強い。剣捌きといい、動きといい、隙が無い。

こんな奴ガーディアンの中でも扉の中でも見たことが無い。

「ヒュー………お手上げだな。ヒュヒュ。」

ジョーカーは浮遊しながらこちらに向かってきた。

「逃がしませんよ!我流剣術“夢幻組曲七十四番-兄弟の讃美歌-!」

ものすごいスピードで剣を振ると、その先から細長いビームが出現し、行く手を阻んだ。

どうやら目標のエリアと通常のエリアの境目に壁を作ることのできる技なのだろう。

これでジョーカーは逃げ場を失った。

「ヒュヒュヒュ!ならこうしよう。アタックウェポン“デザートストーム”!大地よ!踊り狂え!」

デザートストーム。大きな地震を起こし、岩や砂を撒き散らす無差別攻撃。

目標を選択することができないが、当たれば物凄いダメージを被る。

「むむ……これじゃあ立って居られませんね。兜流剣術“飛禅”!」

飛禅か。どうやら飛行技のようだ。かなり長い間いられるようで、

デザートストームの持続時間が終了してしまった。

「ふふふ。行きますよ。兜流剣術“白靭”!」

白靭。高速移動をしながら相手を切り刻むという、まさに恐ろしい技。

その白い影は、ジョーカーに直撃した。

かなりの衝撃波も込みで。

「ん……だとぉ?俺が通用しないってのか……?」

「いえ、貴方は十分に強い。私の攻撃を喰らって生きていられるんですからね。特に白靭をね。

貴方の敗因を上げるとしたら、動けないことですかね。動けても遅いこと。相手が悪かったのですよ。今回ばかりはね。

見たところ貴方は相当に嫌がらせるのがお好きなようだ。ダークネス・アイをはじめにパライズテイル。

性格が悪い人以外はこんなの持ちませんよ。モンスター相手に使うのならまだしも人間相手とはね。」

んー。あってるから何も言えない。なんか悔しいな。

「………うっせぇよ。グダグダ言ってねぇでさっさとかかってこいよ。ヒュヒュヒュ!」

「分かりました。消してあげましょう。兜流剣術“黒迅”!」

「ヒャハハハ!テメェも強かったぜ!最後に勝つのは俺だがな!アタックウェポン“ディザスタ”!ヒャーッハハハハハハ!」

新ウェポン登場!

「なんですって!なぜそんなウェポンを持っているのだ!」

どういうことだ?一応聞いてみようか。

「おーい、ジョーカーよ。なんだそのディザスタってのは。強いのか?」

「強いも何も、必中でしかも瀕死にさせるウェポンです!あんなのが当たれば、私とて命はございません!」

な、なんだってー!?

なんつー性悪ウェポンだ。必ず当たって、しかも瀕死にさせるウェポンとはな。

「ヒューヒュヒュヒュ!瀕死にさせるってのは間違いだぜぇ!こいつは自分の魔力、生命力が相手よりどれだけ

下回っているかでダメージを決めるウェポンだ。だから攻撃を受けてたってわけなんだがよ。

まぁでも、相手より1でも下回っていれば、瀕死にさせるレベルのダメージを与えられるがなぁ!ヒュヒュヒュ!

とりあえず、逃げ回れよ。生憎こいつはスピードが遅くてな。ヒャハハハ!」

「くそ!讃美歌解除!これで………!」

「逃がすかぁ!ツールウェポン“スキルコピー”!夢幻組曲七十四番-兄弟の讃美歌-!」

ツールウェポン、確か便利道具とか、便利ウェポンの総称だったな。研修まじめにやっとけばよかったぜ。

「何だって………!くそ!くそぉ!」

「さぁて、おねむの時間だぜぇ!死に狂え!ヒャーハハハハハハハアヒャアアアハッハァァ!」

「く、くそおおおおお!がはぁああああっぁぁああっは!」

終了か。勝負ありだ。ジョーカー………そこが知れないな。この男。

強すぎる。

「さて、僕らもこの辺のごみ掃除しましょうか。喜劇は終わったようだしね。」

「そーだな。」



すごい説教が来ると思ったら、がんばれよ的なこと言われて解散だった。

危なかったぜ。

「ヒュヒュヒュヒュ………まさか言うとは………ププッ………」

「何言ってんだ畜生が。テメェが言わせたんだろうが!」

「ヒュヒュヒュヒュ………俺ら友達だからな……ププッッ!」

「まぁまぁまぁ、やめなよ二人とも。仲間じゃないか(笑)!」

「どうしてもキュウが言うと笑ってるようにしか聞こえんぞ!」

「そう?気のせいだよ!」

「ヒュヒュヒュヒュ………さぁて、出発は明日だ。さっさと寝とけよ?ルーキーさん。」

そう諭され、俺は寝室に向かいすぐさま眠りに落ちた。

…………

……ジリリリリリリ

「………ん、朝か。今日出発だったよな。そういや………」

「ヒュヒュヒュヒュ………朝だぜルーキー……飯作ったぞ………ヒュヒュヒュ」

おぉ……ありが、ん?どうやって作ったの?まぁいいか!

「いただきまーす!」

「言っとくけど。その中には………ププッ………」

「ん?………ブゴァアアアアアアッルルドラヒドラシブッポルギャッビルパッピオッヤァアアア!」

「ケケケケケケケケケ………腐ったもので作ってやったぜ………ヒュヒュヒュ!」

ばかやろぉぉぉぉぉぉおおお!

「まぁ、緊張してなかったみたいだし、意味無かったか。ヒュヒュヒュ」

え……?ほぐそうとしてくれたの?うわーいいやつ。もっと違う事してくれりゃぁいいのに。

「さて………キュウも来たみたいだぜ………ヒュヒュヒュ」

「うぃーす。お、起きてるねー!やる気あるねー!ヘーイ!」

なんでこの人テンション高いんだろう。

「さて、総裁室行くぞ………ヒュヒュ」

──ブーン。ちなみにこのブーンは全部ワープ音ね。

「えー。君達3人はこれから死の大陸に赴くことになっている。通貨のことだが、光の大陸と闇の大陸にも

いけるようにしておいたので、そちらの銀行でお金をおろしたまえ。異様な位は入ってると思う。」

「「「うぃー!(……ヒュヒュ)」」」

ということで、死の大陸へ、ワープ!

──ブーン

ドン。グシャッ!いてぇ!

「ヒュヒュヒュ………3度目だぜ………ヒュヒュヒュ。見ろよ灰色の世界……ステキ大陸だろ?」

「うーん。何度見てもキモいねー!」

「ん……ってことは二人とも何度か来てるの?」

「ヒュヒュヒュ。そんなとこだ。」

へー。すごいな。感動だぜ!

「にしても殺風景だな。此処がハンター発祥の地………?」

「まぁ、此処が最北端だからなんだけどね。南の方は自然があふれる世界さ。」

「ふーん。どうでもいいけど。」

「ヒュヒュヒュヒュ………ほれ、悪魔の巣に突入してんだ。さっさと準備しろ。」

え?いきなり?

「準備できてるよー。」

「ヒュヒュヒュヒュ………まずはルーキーの小手調べしたいんでな……さて、その辺のウジ虫共を消すぜ……」

「よーし!やっちゃうよー!」

よくわからんが、戦闘フラグだな!

なんかいい具合に中級っぽい魔物たちがいるし!

「ヒュヒュヒュ………さて、行くか。デス・ウェポン“ポイズンスモッグ”……!テメェらの命、毒でジワジワ削ってやるぜ。」

「よーし!僕も行くよー!アタックウェポン“フレイムウィンドウ”!」

フレイムウィンドウ、炎と風を練り合わせることで、お互いの弱点を補える。

属性に関しては研修で習ったのさ!

「俺も負けてられねぇ!“アトモス・ブレイク”!」

アトモス・ブレイク、キャノンの近距離型みたいなもんだが、威力はこっちの方が格段に高い。

大気でハンマーを作り上げてそれでぶっ潰すという、かなり分かりやすい技だが使いやすい技でもある。

一応お気に入りだ。

「ヒュヒュヒュ……やるねぇ。デス・ウェポン“パライズテイル”!悶絶しやがれぇ!ヒュヒュヒュ!」

パライズテイル、その名の通り麻痺毒のついた尻尾で攻撃するのだが、地中から生やすとは……

さすがジョーカー。ジョーカーはジワジワと責めるのが好きみたいだ。あいつらしい。

「んふふ、いいねいいね!アタックウェポン“イノリーボム”!爆発してくれよぅ!」

久弥はどちらかというと、万能型なのかな?まだよくわからないけど。

「ヒュヒュハハハハハ!二人とも下がれ、今から俺の独壇場だぜぇ………!一応純哉にもみせとかなきゃなぁ……!」

「ん?何が始まるんだ?」

「いいから離れなよ。そこに居ると、死ぬかもよ?」

ん?ってことは物凄い攻撃を始めるってことかな?

「ヒュハハハハハハハ!遊んでやるぜぇ!デス・ウェポン“ジャミングボム”!」

ん………?目眩………?

「ジャミングボムは怪音波で幻覚を作り出す攻撃なんだ。あまりに強烈だとそのまま死んじゃうけどね。」

んー………慣れてくると大丈夫………じゃないな。おとなしくしてよう。

「そろそろ止めをさすと思うよ。本当のジョーカーが見れる。」

そういった直後、ジョーカーの魔力が眼に見えるほど大きくなった。

「決めるぜ!ヒュヒュヒュ!アタックウェポン“オーバーナパーム”!四方八方焦土と化せ!」

音が消えた。かき消された。

もう、何がなんだかよくわからない。爆発が起きたのか、ただ燃え上がっただけなのか。

それがわからないほど大きな衝撃が耳をふさいでいたからだ。

「これがオーバーナパームの能力。標的とみなした相手の周りの酸素を激しく燃焼させる。

もちろん理科の実験でやるような簡単なものじゃないけどね。熱風は慣れると気持ちいいよ?」

何というむちゃくちゃな攻撃だ。

「ヒュヒュヒュ!死体だらけだぜぇ!んで純哉、お前強いじゃねぇか。ヒュヒュ、安心したぜぇ。」

「お、おう………」

でもさすがにこの強さは無い。まぁ相手が低級だったからなのかもしれないけどさ。

「さーて、こっから一番近い村は、モルアかな?」

「ヒュヒュヒュ………消えてなければそうだな。前に来た時は消えそうな雰囲気だったがなぁ………ヒュヒュ。」

「んー、とりあえず行ってみようぜ?行かなきゃ始まらんし。」

「そうだね、行ってみましょうか!」

「ヒュヒュヒュヒュ………」

とりあえず、モルア村を目指して出発する!

はずだった。ジョーカーの話によると降りてきた位置、通称グラディオンロックから徒歩5分らしい。

しかもグラディオンロックより後ろは海しかないため、道はあってるはずなのだが、

数十分歩いてもその村は見つからない。

「ヒュー………なんだぁ?マジで消えたか?それだったら大爆笑だがなぁ!ヒュヒュヒュ!」

そんな心配をよそに大笑いしているジョーカー。

「んー、まさか道なんて間違えるわけないからねぇ……消えちゃったのかな?」

「敵の罠だという可能性はないのか?」

「ヒュー………それらしい魔力は感じ取れねぇなぁ……まぁ、気配消せるほど強い奴なんてこの辺に居ないだろうな。」

んー。その線は無いのか。ってことはマジで消えた?ん?

「あ、前から気になっていたんだけど、ジョーカーってどうやって移動するの?いつも俺の後ろだし、俺が振り向くと止まるし。」

「ヒューヒュヒュ………浮いてるぜぇ………浮いて移動してるぜぇ……ヒュヒュ。」

すごいな。椅子で浮けるのか。いいな。便利だな。

「で、本当に無いんだけどさー、どうしたらいいと思う?」

「ヒュヒュヒュヒュ!知るかよ。」

「どうするも何も、あるかにゃならんだろ。」

「目的地もわかんねぇのにか?ヒュヒュヒュ………」

「むー。まぁ言い争ってもしょうがない。とりあえず歩こうよ。」

──歩き続けて三十分

「ヒュ………日が暮れてきたぞ………?」

「まじでやばくねぇか?」

「そうかも………」

どうしようか。現地の方々も道行く人も出てこないぞ。こりゃ終わったな。

「しかたねぇな……ヒュヒュ………お前ら下がれ。デス・ウェポン“ダストゾーン”!」

紫色の塊を森に放ったと思ったら、森の木々が腐り始めた。その名の通りって感じだな。

次々に木が腐り倒れていく。そして遥か彼方に畑の様なものが見えた。

「おい、あれ畑じゃねぇの?もしかすっと……村じゃないのか!?」

「ヒュヒュヒュ………行ってみるかぁ!」

「レッツゴーだね。」

──村へダッシュ!

「やっほおおおおおい!村だあああああ!」

「何者だ貴様ら!モルアを潰しに来たのか!殺してやる!」

ん?なんだこの雰囲気。外者は基本的に排除ってか?

いや、きっとこれは悪魔と勘違いしているだけなのだろう。此処はひとまず穏便にいこう。

「い、いえ!僕たちは決して怪しいも」

「いい度胸じゃねぇか農村野郎!殺してやるぜ!ヒュヒュヒュ!」

「んー。いい度胸だね農村若人。逆に殺してあげるよ。ギ ャ ク ニ ☆」

ちょ、おまいら!馬鹿じゃねぇの!おい!やめてくれえええ!

「貴様らやはり悪魔なのだな!殺す!両親のかたき討ちだぁああ!アーマーウェポン“ブロンズブレード”!」

ん?『どうのつるぎ』?弱くないか……?

「ヒュ……ヒュハハハハハハ!アーマーウェポン“ブロンズブレード(笑)”!………プププッ………」

わ、笑っちゃダメだろ!あの人だって………プッ。

「ふふ。なめてくれるね若人。今すぐ殺してあげる。」

別になめてるわけじゃないんだと思うけどさ……プッ。

「馬鹿にしおって!う、うりゃああああ!椅子に座ってたらよけられるものもよけられないぞ!」

「ヒュヒュヒュヒュ………デス・ウェポン“ダークネス・アイ”………これで活動停止だぜ……!」

ダークネス・アイは相手の動きを完全に止められるのか。『立つ』以外の行動をできなくするとは……外道。

「な、なんということだあああああ!動けん!動けん!」

「さーて、そのまま死んでくれる?若人君。アタックウェポン“ボルケーノ”!」

ボルケーノ、相手の周りにマグマを発生させて攻撃、か。基本的だが強いな。さすがだ。

で………村人第一号…………どうするの?
「今日からあなたは天使です」

***

中学二年生の夏の日、夏休みが始まって間もないころ、俺は死んだ。

いきなり車に突っ込まれた。即死だった。

僕は死ぬ前にこう言われた。ある男が、俺の目の前に現れて

「今日からあなたは天使です。ということで、早速現世から退場しちゃいましょう。」

言葉の意味がよくわからず戸惑っていたら、車に突っ込まれた。

***

「うぉおおおい!ふぉおおおお!」

朝七時、俺は奇声と共に起床した。

変な夢を見た。俺が死ぬ夢。

いや夢ではない。今はこれが現実だ。

『天使』、正式名称は「守護者」もしくは「ガーディアン」らしい。

死んでから数時間後に此処、天に浮かぶ守護者達の城である【アウシ・アタ】に連れてこられた。

別に大きなロボットとかは住んでいないし、変な大佐もいない。

ちなみに此処は東京の空の上だが、一応見えないようになっている。

そして、いきなり白い部屋に投げ込まれ、いろいろな検査を受け、いろいろと調べ上げられ、いろいろと大変だった。

結果、【Aランク】と認定された。

研究者曰く、ガーディアンになった直後からAランクをもらえるのは非常に稀有であり、自分に誇りを持つべきらしい。

研究者が言うには、ガーディアンのランクには

Eランク、Dランク、Cランク、Bランク、Aランク、Sランク、SSランク、SSSランク

という8種類が設けられており、それぞれが役割を持っているらしい。

と、ここに来てからのあらすじとガーディアンの説明をしている間に、

新人研修の時間になってしまった。

研究者曰く、一番めんどくさくて、一番だるくて、一番うざいらしい。

研究者に

『キミはAランクだから、特にそう感じるかもね。もちろんEでもDでも、同じことさ。何しろめんどくさい』

とも言われた。

顔を洗い、歯磨きを済ませるとちょうど7時30分、一秒も遅れずに豪奢な鐘の音が鳴り響いた。

***

そんなこんなで研修室に到着。

教室内には自分を含め20~30人くらいの新人ガーディアン達がいた。

窺える年齢層も様々で、20歳程度の人が半分程度。自殺者だろうか。

教壇にはいかにも教官っぽい、脳まで筋肉と思われる人が立っていた。

正直、超怖い。殴られたら死にそう。いや死んでるのか。殴られたら成仏しそう。

「お前ら起ィィィ立ゥゥゥゥッッッ!礼ィィィィッッ!着席ィィィィィッッ!」

あぁ、想像していた天使様とは全く違う。こんな熱い天使いらない。

そうだよ、天使というものはもっと清らかでいるべきなんだよ。

「さぁて、自己紹介をしようかァァッッ!フルネームだろうが、偽名だろうが、なんでもいい!名字、名前だけでも可ッッ!」

「自己紹介の際は自分からするべきだと思いまーす。」

一人の若き命知らずが反論した。あーあーしらねー。いきなり成仏確定だろこれ。

「ンンンンンッゥ!?………そうだったな。私の名前は【赤阪無優】!無い優しさと書いて、ムユウだ!」

おい、どういうことだ。名前からして熱血青春フラグじゃねーか。そして意外と律儀だな無優よ。

「では番号札一番から自己紹介始めェェェェェ!」

・・・・・・・・自分の番は・・・・・・もうそろそろか。緊張するもんだな。

自己紹介で分かったが、意外と学生も多い。特に高校生。いじめだろうか。

そんなことを考えてると、

「次ィィィィィィ!番号札28番ッッッッ!」

自分の番が回ってきた。どうやら最後らしい。

「えー、紗衣純哉、年齢13、いきなり死にました。好きなものは小説、特に太宰。嫌いなものは脳筋です。」

「ほう………貴様が………ふむ。楽しみにしているぞ。」

え?何が?もしかして脳筋って言ったのが悪かった?え?え?

「さぁて、自己紹介は終わったなァァァァ!?よし!偽名を使っているものは0かッッ!今月は上々だな!」

今月……?ってことは、先月もガーディアンになった人がいるってことか。

「ちなみに先月の新人研修では全員が偽名を使いやがったッ!たったの五人だったがなッッ!今月は研修生がかなり多いッ!」

あー長い長い。そして熱い。うざい。めんどくさい。だるい。

お?研究者の発言ビンゴ!

「さて、とりあえずガーディアンの役割について、説明をしておこう。画面に注目ッッッッッ!瞬き禁止だァァッ!」

超展開すぎるぞ、この無優。いきなりビデオが始まった。

***

今から十年以上前のお話です。

此処、我々の住む地球の、遥か次元を超えた先、言うならば別次元にもう一つの世界がありました。

そこには人、厳密には人とほぼ同じつくりをしているヒューマンが住んでいました。

その世界の中は、さらに三つの世界、どちらかというと一つの星の中の三つの大陸で分かれていました。

一つの世界は【光の大陸】、もう一つは【闇の大陸】、最後のひとつは【死の大陸】と呼ばれていました。

三つのうちの二つの世界、光の大陸と闇の大陸は、この地球に勝るとも劣らない技術を誇り、

文明は違えど、友好的な関係で結ばれていました。

死の大陸はその名の通り、足を踏み入れた時に既に死が決まっているような荒廃した世界でした。

たくさんの悪魔、その悪魔達が増殖させた魔物や堕天使達が住んでいました。

よく言えば、たくさんの生命が育まれている地、悪く言えば見捨てられた世界です。

そんな中にもヒューマンは住んでおり、その地のヒューマンたちは

俗に【ハンター】と呼ばれる人々でした。

このころのハンターは、汚職とされ、人々から忌み嫌われた存在でした。

しかしある日、とあるハンターが光の大陸に赴き、

死の大陸の悪魔達が、他大陸に攻め込もうとしているという事を告げました。

そのハンターは、嫌われていているのにもかかわらず、勇気ある行動から、

二つの大陸で、英雄と呼ばれるほどまでの地位を獲得しました。

このハンターが高い地位を獲得した後、急激に死の世界のハンター達が認知されていって、

物凄く人気のある職業になりました。

そして数年後、死の大陸の軍勢が、二つの大陸に攻め込んできました。

この時【ガーディアンズ】、ハンターの対悪魔用軍隊が結成されました。

このガーディアンズこそ、我々ガーディアンの前身ともいえる存在でした。

数か月の戦闘を繰り返した末、無数に湧く悪魔達に対応しきれなくなったガーディアンズは、

同じ次元上で、三つ世界に分けることにしました。

三つに分けられた世界のうち、光の大陸と闇の大陸は、【つながりの門】を作成し、自由に行き来できるようにしました。

残された死の大陸は、人間だけが二つの世界に行き来できる門を作りました。

その時、偶然にも死の大陸の悪魔達が別次元に我々の住む地球を発見しました。

死の悪魔達はこの世界を乗っ取ることで、永遠の栄華をもたらそうとしていました。

しかしその地球は、既に二大陸によって発見されていましたが、

何度行こうとしても、次元の壁にぶつかり、成功することはありませんでした。

そんなある日、一人の科学者が、霊体だけなら何とか行き来できることを発見しました。

同時期に死の大陸も、ある魔術によって、次元の壁を無理やり破壊して、ゲートを作っていました。

二大陸は、地球上の霊体達による、対魔物用軍隊である、疑似的なガーディアンズを作りました。

これが今のガーディアンです。

これにてビデオでの説明を終了します

***

「終わりだァァァッッ!瞬きはしなかったか!?ンンゥ?」

無理なこと言ってんじゃねーぞ。10分も瞬きできないとか苦痛だろ。どう考えても。

「まぁ、そんなことはさておき、とりあえずガーディアンの正体は分かったな!?28番ッッ!説明しろ!」

俺かよ。だるいなもう。しかし俺は笑顔を作り、

「えーっと、地球に攻め込もうとしている魔物達を撃退するための……いわゆるギルドの様な……」

「まぁほとんどはあっている!よしとしておこう!」

ふー。あぶねーあぶねー。

「我々ガーディアンとは、魔物を討伐するためのギルドの様なものだ!」

「お前らの受け持ったランクごとに、倒せる相手が決まっているゥ!ちなみに、お前らは下位ランクだ。」

「えーっと、つまり上位、G○級みたいな、モン○ハンみたいな感じで相手にもランクが?」

「お前は何一つ隠せていないということを実感するべきだ19番ッッッ!だがその通りだ!今日は話が進むなッッ!

相手悪魔は、下位、上位、最上位という三つのランクに分かれているッッ!残念(?)なことにこの地球に、上位、最上位はいないッ!

下位だけで構成されている!つまるところ、私もお前達も下位ランクだ!階級はS!覚えておけ!そして!上位になりたくば、

ビデオにもあった光か闇の大陸にて、訓練を行わなくてはならないがしかーし!

二大陸での下位ランクハンターは、かなり下の位だ!地球でSSSをとった人材でなければ行くこともままならん!」

つまり、俺のAランクってのも、向こうからしてみりゃ弱小、最弱ってことか。

なめられてやがるな。しかし本職と副職では差がありすぎるのもうなずける。

「さて、お前らにあと一つ、教えておかねばならんことがある。“ウェポン”だ。」

そういうと教官は自分の指輪を大剣へと変形させた。

「お前らはあとでランクに応じた、簡単な武器をうけとることになるだろう。その後は実習訓練だがなァァッッ!」

「ちなみにこのウェポンにもいくつかの種類があってだなッッ!衣服やアクセサリー、カードにもなっているッ!

元々は魔法や、武器などをアクセサリーにダウンロードさせたのが始まりだッッ!

このほかにもいろいろな対魔物用の武器があるゥゥゥッ!もちろん対人用にも使用可能だッッ!」

ほう。それで闘うと。楽しそうだな。

「まぁ、後半グダグダだったが、これにて新人研修を終えるッッ!全員起ィィィィッッ立ゥゥゥゥッ!礼ィィィッ!」

ふー。やっと終わっ

「あーそーそー。28番残れよー。上層部との顔合わせなー。」

てねぇ。つーかすごく気が抜けた声なんですけど。教官さん。

──五分後

「へーい。じょーそーぶとーちゃくー。あーつかれた。あとはてきとーにがんばってねー。」

おい、お前、今みたいな無気力野郎ってことをバラされたくなけりゃぁ、俺と一緒に行け。怖い。此処怖い。

「別にバラしてもいいけどよー。そんときは俺がお前をバラすぞー。」

え?聞こえて……るわけないよな。無い。そう無い。

「とりあえずばいびー。」

帰りやがった……

本当に此処怖いんだって!ねぇ一人にしないで!

「ンンッ………!」

声も出さずに咳で俺の事どかしやがった!つめてェェェェ!

「えーっと……新人さん、此処上層部だからね?来ちゃだめだよー、ってありゃ?サイスミヤ……あぁ!」

ん?いきなり納得されても困るんですけど。

「わざわざこんなところに来てくれてありがとねー。キミAランクに配属なんだよね。」

「えぇ……まぁ……」

「そう硬くならなくていいよー。無優が言ってたしねー。とりあえず、こっち来てよ。」

言われるがままに、ついていくと……えーっと、上層部総裁室?つまり偉い人?

「さっ!総裁がお待ちかねだよー。何と言っても、天使のホープだからねー。」

ドアを開けると、物凄い広い部屋が広がっていた。その中央にはいかにもな人が鎮座していた。

「キミが……紗衣君だね……。待っていたよ。」

「はぁ……えっと……僕が呼ばれた理由について、お聞きしたいのですが。」

「あぁ……此処に来てもらった理由はだね、キミがどれだけすごい人なのか、見ておきたかったんだよ。

齢11にして、その礼儀作法。上々だ。ちなみに、これから君には、新人訓練ではなく、

最初から戦線に出てもらうことになる。いやなら辞めてもいいのだが……」

「ちょっと待っていただきたい。話がいきなりすぎます。詳しい点について追求します。」

「そうだな……もう時間がない。最近、死の大陸にてゲート拡張の噂を聞いた。これは重大なことだ。

ゲートが拡張されると、上位クラスの魔物たちが入ってこれるようになる。

上位クラスは全ての魔物が人間並みの知能を誇り、また戦闘能力も著しく上昇する。

これでは地球のガーディアンが対応しきれんのだ。そこで、前々から新人の中でも特に能力の高い人材を厳選し、

特別な訓練を受けさせ、死の大陸に赴かせることで、ゲート拡張を阻止させる、という計画を実行してきたのだが……」

「だが……?」

総裁は一呼吸置き、話を再開した。

「死の大陸に赴いた同志たちは全員、最下位種達によって、殺された。二重殺害だ。」

悲しげに、しかし威厳を持った声が、自分の胸に鳴り響く感覚を覚えた。

「これ以上、同志達の死を見たくない。お願いできぬか……?」

俺は、どうするべきなんだ?助けるべきなのか?

いや、俺だって死にたくはない。まぁ死んでるのだが。

新しく手に入れたこの現実。神が与えてくれた二度目の現実を、手放したくはない。

ならば見捨てるのか?

いや、そんなことはしない。これを逃せば、のうのうと生き延びた末、悪魔達に殺されるだろう。

そんなことをしても、メリットなど一つもない。

闘うべきなのではないのか?闘うためにこの現実を手に入れたのではないのか?

闘うことこそ、正義であり、定法であり、生きる道。

ならば、やることは一つしかない。

「やはり……キミも……」

「待ってください。やりますよ。死の大陸に行って、ぶっ壊してきます。」

「そうか……ありがとう。これからは、上層部に君の部屋を設ける。あと……」

「ん?なんです?」

「スキルを拝見したい。キミのスキルは……ほぅ……」

「ん?ん?どうしたんですか?」

「さすがは、Aランク……ということか。キミのスキルは時空操作系の中でも、かなりの力を誇っている。」

「と言うと、俺って強いんですか?」

「あぁ、今まで見てきたAランクの中でも、最強といえるほどね。でも、自分の力を過信してはいけんよ。

どんなに強くても、魔力が尽きれば、やられるし、鍛えなければ使い物にもならない。いいね?」

「はい。ご期待に添えるよう、精進していきます。」

「よろしい。」

***

総裁室での束の間のひと時の後、俺は死に物狂いで戦闘モードに入った。

訓練用ウェポンである、【扉】に飛び込んだ。

扉は基本的な訓練から、応用まで何でもこなせる夢のような訓練用ウェポン。

そして扉内での時間経過は様々で、Lvが高くなるにつれて、時間経過が遅くなる。

ちなみに今回使用したAランク用の最も過酷な扉では

地球で1日が、扉内では半年分もある。

それを一週間続けた。つまり3年半、俺は修行を続けた。

そして今日、ついに最終訓練の日、この訓練を終えれば元の世界に戻れる。

「今日の訓練は………何だ?またSSSランクの魔物100匹とか、か?温いんだよね。そいつらじゃ。」

そう呟くと【最終訓練ヲ開始シマス】というログが表示された。

【最終訓練ハ、アナタ自身。今マデノ戦闘データヲ統合シ、常ニ魔力120%ノ状態デ挑ンデキマス】

【今回モ、バトルニ必須ナウェポンガ支給サレマス】

「ほう……。俺より強い俺ってことか。面白そうじゃねぇか。」

「コォォォォ……」

「俺はちゃんと喋れるはずだが……まぁいい。限界を超えてやるぜ“ハイドラ”」

ハイドラは空間操作による空気圧の棘で攻撃する技だ。

ハイドラをもろに受けて俺の影は吹っ飛んだ。

【チナミニ、分身ニダメージヲ与エルト、全テノダメージガフィードバックシマス】

「え?ちょおま……ぎぃぃぃぃぃやあぁああああああああああ!」

「コォォォォ……ヒールウェポン“天使の加護”……」

「ちょ……さすがに強いな……俺……」

鬼畜すぎる。つかチートじゃねぇの?どんだけ強いの?回復あり?ふざけんな。

どうやって勝てばいいんだろうか。こっちは回復縛り、あっちはフル回復あり。

まぁいいや。

「おkおkおkおk、俺の分身、キミは強い。いくぜ、デス・ウェポン“悪魔の誓い”」

これで、どちらかが先に死ぬ。しかも回復縛り。実際、生命力が常に奪われていくので、勝てる保証はないのだが。

「コォォォォ……デス・ウェポン“サンドラの呪い”………」

サンドラの呪い、使用者の魔力が標的の魔力より上回っている場合、強烈なダメージを与える。

逆の場合、使用者に強烈なダメージが入る。

現在、俺と俺(影)との魔力差は互角。ということは、能力発動無し。あぶねーあぶねー。

能力が発動してたらたぶん一撃死だった。さすが俺。

「さて……悪魔の誓いで大部消耗してきたし……賭けてみるか。」

悪魔の誓いを使用した時に考えたのだが、相手を一撃で倒せば、フィードバックなしなのでは?

というかそうでなくては困る。

「さーて、行くぜ。スキル!“アトモス・キャノン”!」

アトモス・キャノン。俺のスキルを改良して作ってみた技の一つ。

これもまた空間を操って大気と風の塊を飛ばす技。

俺の作った技の中で最強クラスの威力を誇るから大丈夫のはず。

「当たれやぁああああ!」

「グ、グォォオオオオ!」

なんだこの適当なやられ方。でも勝った!わーい勝った!訓練終了ゥゥゥゥゥゥウ!

【オツカレサマデシタ。コレニテ扉ヲ終了シマス。】

ブーン。

「やっと戻ってこれたぁあああああああああああああ!」

マジ疲れた。ほんと疲れた。パソコン使いたい。

「お疲れ様、よく頑張ったね。」

戻ってきたら、総裁に褒められた。

「はい、ありがとうございました。」

「では、一週間の休暇を与えよう。ゆっくり休んでくれたまえ。そのあとすぐに戦線に出てもらうからな。」

『きゅうかをてにいれた!』

──1週間後

まだ眠い。明るいパステルカラーのタイルが敷き詰められた廊下を歩き、総裁室に向かう。

実際、こんなとこに、霊体の状態で住んでいるなんて実感がわかない。

「おじゃーしやーす……」

「服装が乱れている!やり直し!」

ちょ、総裁、そんなキャラじゃないでしょ?ね?ね?

「す、すいませんでした総裁!やりなおさせていたぁだきやす!」

「ふふ、ジョークです。やり直さなくても大丈夫だ。」

んだこのジジィ殺すぞコラぁ!

とはいえず。

「総裁、やめてくださいよ。脳筋じゃあるま」

「ふふははははッッッ!久しぶりだな28番ッッッ!」

首を540度回転させた先には何と脳筋こと、赤阪無優が立っていた!ジャジャーン!

「28番よ、貴様のランクが変わった。これからは私と同じ、Sランクだ。とゆーことでー、おれといっしょににんむなー。」

「は……?」

「聞こえなかったのかね?今日は無優君と、実戦任務だ。」

おぅふ。死にたい。とにかく死にたい。死んでるか。こんな無気力な野郎とやんなきゃいけんのか。

「喜べッッッ!純たんッッゥゥゥッッ!今日は私と共に、戦場を歩もうではないかァァァッ!」

「おいきめぇぞ!たんはやめろ『たん』は!それと熱いきもいうざいの三拍子だこの野郎!」

「はは、仲がいいのだね。君たちは。」

「総裁ィィィィーッッ!助けてよ総裁ィィィィィィ!こんな脳筋となんてやだよぉぉぉぉぉぉ!」

「ハッハハハハハハハハハ!ほれ、行くぞォォォォォッッ!」

そう言われ、強引に首を掴まれ、引きずられる俺。災難すぎる。

──5分後ッッッ!

目的地である都心付近に到着。とりあえず、説明を受けた。

・あと数分で下級グリム種、最下級の悪魔達が大群で押し寄せてくるらしい。

・グリム達は一般人から見えはしないが、相手の攻撃などは三次元空間に干渉する。

つまり、相手の攻撃が都庁に当たれば、都庁はぶっ壊れる。

・倒すらしい。

三つめが異様に適当な気がする。

「ボーっとすんな純哉ッッ!お出ましだぞッッ!」

そう言われて空を見上げると、ボウっと大きな渦が発生し、その中から変なキモいのがいっぱい出てきた。

「えーっと、あれが下級グリム?」

「そうだッッッ!奴らの名は『ファンシーステップ』!別にファンシーではないがなッッッ!倒せァァァッ!」

相変わらず熱い野郎だ。死ね。

「へーい。“アトモス・キャノン”!」

どーん。よっしゃ!みんな死んだ!わーいわーい!よわいよわーい!

「グヘヘヘヘ……スキだらけだね。」

え……?全部倒したはずじゃ……

「バカ者ォォォォォッッッ!大群と言ったろうがァァァァァッッ!」

「忘れてましたぁああああああああああああ!」

うーん。さすがに生き物。コンピューターとは違うわけだな。わかったわかった。

「さっさと、あの渦を破壊して来い!あれがある限り無造作に湧いてくるッッッ!」

「オーケー。ぶっ潰す!っておいいいいい!相手に掴まれていけねぇぇぇぇ!」

「あーめんどくせー。おれがはかいすんのー?チッ、使えねぇ新人だなおいおいおい!興醒めだコラぁ!」

なんでオレキレラテルノ?

「いくぜー。最下級技ー“ミジョー”!」

轟!という爆音とともに東京ドームが一瞬で消えそうなくらいの大爆発が起きた。

つーか、まておい。爆発なんて起こしたら民間人怖がるだろーが!おい!メディアが!あぁぁああ!

あ、でも見えてないのか。つかこれで最下級?最上級になったらどうなるの?

「あーめんどくせー。ほれ、終わったぞ。ん?」

「…………」

「…………」

「………俺の見せ場が……」

「何をバカなこと言っているんだッッ!帰るぞッッ!」

そしてテンションを切り替えるタイミングがよくわからない無優でした。

──またまた5分だッッッ!

「どうだったかね?無優君は」

総裁に聞かれた。答えたくもないが、奴は強い。

どうしようもなく強いのだ。あれに勝てる気がしない。

「まぁ、経験の差というものもあるのだ。とりあえず、明日からまた頑張ってくれたまえ。」

「はい。分かりました。失礼させていただきます。」

そう言って総裁室を出ると、悔しくて涙が出そうだった。わけでもないが、あいつ強い。

こうなったら、鍛えなければ。

──翌月

結構な実戦を積み、さらに扉内での修行の末、ついにSSSランクにまでのぼりつめた。

実質5年以上かかった。けど1ヵ月だもーん。俺すごいもーん。

総裁の話だと、相当な素質がないとSSSになるまで10年以上費やすらしい。

あー俺すごい。よし、自重の方向でいこう。

そして今日、ついに死の大陸に行くことができる。

の前に、SSSランクの顔合わせがある。

行き慣れた総裁室に足を踏み入れると10人程度の個性あふれるSSSランクが座っていた。

「お待たせしました。新人の紗衣です。よろしくお願いします。」

「ヒュヒュヒュヒュ………貴様が異例のスピードでSSSに昇格した……ケケケケケ……俺はジョーカー。よろしくね……ヒュヒュ」

ジョーカーさん、一言で不気味。椅子に座ってる状態で鎖で締め付けられてる。仮面も付いてる。またまた怖い。

どうやって歩くのだろうか。すごく気になる。

「コォォォォ………」

あれ?あったことあるよな?ん?デジャヴ?ん?

「ヒュヒュ……そいつはジンだ……一言でいえば言語障害野郎。ヒュヒュヒュ……舐めてると、死ぬぜ」

マジすか。怖い怖い怖い怖い。

「…………」

今度は無口キャラなのかな?

「ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュ………そいつに近づかない方がいいぜ。下手したら殺される。」

なんですか?殺そうとしてる人多くね?そんなに憎いの?

「さて、次は俺か。俺は久弥。皆からはキュウと呼ばれてる。よろしくな!」

おおおおおお!さわやかキャラだぁぁぁああああ!

「ヒュヒュヒュヒュ………そいつ金にしか興味無いぜ………ヒュヒュヒュ」

「おいおいおい、ジョーカー。嘘はやめてくれ。俺は金と仲間(笑)にしか興味無いぜ?」

ん?笑われ……てないよな。うん。

つかジョーカー優しいな。ずいぶんと。

…………あとの奴らは印象にも残らないような奴らばっかだったので適当に流しといた。

「さて、自己紹介は終わりか。本題に入る。これから死の大陸に向かう面々を発表する。」

「死の大陸に向かうのは、ジョーカー、久弥、そして純哉だ。東京支部から3人、輩出する。」

「ヒュヒュヒュヒュ………ジジィ、わかってんじゃねぇか。」

「ありがとうございます、ジジィ!」

え?ちょ、総裁に向かってそんな!

「ヒュヒュヒュ……お前も言えよ純哉……ジジィって。」

不意に耳元で囁かれた。びっくりしたが、これはもしかして……試練?ある意味扉よりきつい気がする。

「えっと………任命ありがとうございます!ジジィ!」

「ハッハッハ!純哉君、残りたまえ。」

うわぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!