【石井くんを嗜む 7 】イタリア料理
racoustik のスタッフも一時期やってくださっていた方が、ギター石井くんの命日を前に、アルバム全曲をオンラインにアップしてくれました。
次は、2012年発売のアルバム「ざわめく木々の音楽」より、8曲目「イタリア料理」。
アルバムの中では少し異色の曲ですが、実はこのレコーディングメンバー全員が好きな、ソウル・ファンクロック路線。どうしてもこういう曲を入れたくて入れました。
ジョン・レノンが「どうてもファンキーでヘビーな曲をつくりたいときは、自分の中にある“怒り”のエネルギーを探すんだ」と言っていて、この曲では前曲の石井くんエピソードと対になるように、
私自身が若い頃「興味を持って近づいて来てくれた女性に、徐々に心を開き、勇気を出して告白したら、彼氏がいた」というエピソード笑 を引っ張り出して来て、フィクションに昇華して作りました。
石井くんは、得意の路線なので、割と「ありのまま」に弾いてくれています。しかし、彼なりにこだわりを見せたかったのか、録音ではギターを二本重ね、少し凝ったことを(そうでもないか)しています。
この後にご紹介するアルバム1枚目が、「石井くんとにかくヤッちまいな!」の突っ走りフィーチャリング路線だったので、少し変えようとしているのですかね。
この曲では、同じくソウルロック・ファンクフィーリングに反応したシーナさんのオルガンと石井くんのかけあいが聴きどころとなっています。
【石井くんを嗜む 5 】光の中の日々
失礼。順番が前後しました。
racoustik のスタッフも一時期やってくださっていた方が、ギター石井くんの命日を前に、アルバム全曲をオンラインにアップしてくれました。
なんとなく、毎日ご紹介すると、ひとつひとつが薄れてしまいそうなので、かといって間を置くと途切れてしまいそうなので、一日おきを目安に。
次は、2012年発売のアルバム「ざわめく木々の音楽」より、アコギ・スチールパン・パーカッションだけの5曲目をとばして、6曲目「光の中の方日々」。
いわゆる王道進行(だと当時感じた)の曲をそのまま“王道ウタものアレンジ”にするのはダサいと感じて、ヘンテコなリズムと削ぎ落としたアレンジに仕上げました。
のちに、レコード会社の担当者さんから「もっと変化球じゃないアレンジにしたらシングルにできるのに!」と言われました。どうなんでしょうかね。
私は、このアレンジと音像が今でもとても気に入っています。
石井くんはここではそんな私のイメージに呼応して、ワウでフワフワ漂うようなギターを添えてくれています。今聞くと、“across the universe”のバード・バージョンのワウギターのようです(曲はぜんぜん違いますが)
石井くんはこの当時、「出たがり目立ちたがり」の若気の至りから「さりげなく脇役で渋いプレーをする」に憧れはじめた頃で、曲によっては派手なギターソロをお願いしても「そういうのはちょっと…」と言って断られたりする、という面倒くさい時期でした。笑
でもこの曲のギターは、削ぎ落としたアレンジの中で、存在感を放っていて絶妙です。探してみたら、ライブの方のギターも同じく脇役スタンスでこれもよかったので、両方ご紹介。
こちらがレコーディング版
こちらがライブ版
【石井くんを嗜む 6 】その前夜
racoustik のスタッフも一時期やってくださっていた方が、ギター石井くんの命日を前に、アルバム全曲をオンラインにアップしてくれました。
なんとなく、毎日ご紹介すると、ひとつひとつが薄れてしまいそうなので、かといって間を置くと途切れてしまいそうなので、一日おきを目安に。
次は、2012年発売のアルバム「ざわめく木々の音楽」より、7曲目「その前夜」。
この曲の成り立ちは少し変わっています。スタジオでなんとなくセッションをしていたとき(その時はレゲエ風ではなくニューオリンズ風のリズムだった)、
石井くんがイントロのテーマフレーズを思いつき、最初はインストの曲になりそうだったのですが、それにその後私が歌詞とメロディーとサビ?の構成を加えて、こういう曲になりました。
ちなみに歌詞は、「花火大会の日に誘って告白して大失恋した」という石井くんの若き日の本当のエピソードをもとに、その前の日、という設定のフィクションを私が創作したものです。つまり、歌の主人公も、石井くんなのですね。だからタイトルも「“その”前夜」。
「君がずっと話をそらしても、僕はあの一言を言うのだろうか」というのは、つまり、そういうことですね。
こんな成り立ちでできた曲なので、石井くん節全開のギタープレイです。
イントロのギターのフレーズが曲の方向性を決定的に決めることがあって、「イントロフレーズ著作権」があればいいな、と思った曲でした。
【石井くんを嗜む 4 】ほんの夜更かし
racoustik のスタッフも一時期やってくださっていた方が、ギター石井くんの命日を前に、アルバム全曲をオンラインにアップしてくれました。
なんとなく、毎日ご紹介すると、ひとつひとつが薄れてしまいそうなので、かといって間を置くと途切れてしまいそうなので、一日おきを目安に。
次は、2012年発売のアルバム「ざわめく木々の音楽」より4曲め。「ほんの夜更かし」。
これは、レコーディング版では石井くんは不参加なのですが、その後にやったライブの彼のギターが最高なので、そちらを合わせて。
こちらがレコーディング版
こちらがライブ版
そのいきさつをちょっと。
この曲は、私がまだ10代ギリくらいの頃に作ったのですが、当時やっていたTWELLVEというバンドでは、テイストと(自分も含めた)技量的に合わないかな、と見送っていた曲。
その後、シーナさんと2人で一時期やっていた「シーナべ(C-nabe)」という謎のユニットでとりあげて、ピアノフィーチャーでいい感じになりました。
そして、racoustik のセカンドアルバムの候補となり、確かバンドでのライブは一切へずに、レコーディング用にささっとリハーサルスタジオでアレンジをした。シーナべの流れで、ピアノフィーチャーで。
今からレコーディング版を聴くと、その「ささっとアレンジ途上」な感じと、演奏こなれ感の足りなさが否めない。
その後、レコ発ライブで、石井くん、UJ(サックス)とともに再アレンジをするのですが、その時に石井くんが提案したイントロかけあいアレンジが素晴らしく。あらためて、石井くんは「フレーズの作曲家」だな、と感じました。
ライブ録音なので音像は良くないですが、演奏的にもこちらの方がこなれていて、ベストテイク。これに再度シーナさんも加えた素敵レコーディングをしたかった。悔やまれます。
【石井くんを嗜む 3 】五月の部屋
racoustik のスタッフも一時期やってくださっていた方が、ギター石井くんの命日を前に、アルバム全曲をオンラインにアップしてくれました。
なんとなく、毎日ご紹介すると、ひとつひとつが薄れてしまいそうなので、かといって間を置くと途切れてしまいそうなので、一日おきを目安に。
次は、2012年発売のアルバム「ざわめく木々の音楽」より3曲め。「五月の部屋」。
地味な曲ですが、なぜか7月発売のアルバムの先行シングルとして、5月に発売されました。5月だけに。しかし、今でも「この曲が一番好き」と言われたりするので、作者にはわからない“何か”があるのでしょうか。
イヤホン中央のアコースティックギターが私、左のオルガンがシーナさん、そして右のアコースティックギターが石井くんです。ここでは、もっと若い頃の「出たがり」の石井くんは影を潜め、至って、曲に寄り添うようなさりげないギターの音を弾いてくれています。
派手ではないですが、このギターが鳴っていない音像を想像していただけると、いかに全体をふくよかにしてくれているかわかっていただけるのではないかと。
間奏の、ギターとオルガンのかけあいは、石井くんのアイデアです。