前に書いた記事、「プレスフィットBBの種類と問題点と解決法 」で
「プレスフィットBBに樹脂製カップを使っているのはBBシェルの精度がまちまちなフレームで使えるようにするため」と書きました。
PF30のフレーム側の内径は「46mm+0/-0.05(45.95mm~46.00mm)」と公差が決まっているようですが、私が持っているサーベロR3(2013)のフレームは狭いところで45.8mm位といい加減なもんです。
サンプルが少ないですが、たぶん、公差よりもけっこう狭めになっているケースが多いと思います。
ちなにたいていのBBは46.0mm~+0.05くらいの公差で作ってあると思いますが、
私のR3のような狭いBBシェルに、アルミ製カップのPF30BBを圧入するとどうなるかというと、
入ることは入るのですが、無理に圧入する形になるのでカップとベアリングアウターレースは潰されるように変形し、ベアリングの回転は重くなります。
(下図のように)
ベアリングの異音がするのもこれが原因です。
真円度がイマイチなフレームでも同じようになると思います。
なので、アルミ製カップのBBでBBの圧入が固かったり(ニューーとスムーズに入らない、ゴリゴリ・バキバキ言うならたぶん固すぎ)、BB圧入後に中のベアリングの回転が重くなっているような場合は、ベアリングの寿命が極端に短くなります。
ちなみに、下のBB(PF30からシマノへ変換するBB)のようにベアリング部分がシェル(フレーム)の外に飛び出しているやつは、
圧入が固くてもベアリングには影響は出ません。
アルミ製のBBを使う場合、パークツールのPF30用リーマー(#791)なら公差の範囲の45.94mmで削れるようなので、リーマ―があればBBを削っちゃっても全然OKです、カーボンでも。
<寸法チェックと修正>
私のR3のBBの場合、BB内径の仕上げ・精度は悪く、カーボン成型後にバリを取っただけのような状態でした。
BB内径の寸法は手前よりも奥が狭くなっていたので、BBをプレスしていくと最初は良いけどどんどん固くなる、ベアリングの回転も重くなるという状態でした。
こんな状態でBBを入れるとBBが全体的に変形します。
私がやった解決策は、
下の絵のように16mm位の鉄の丸棒にサンドペーパーを巻いて平面を出しながら左右一緒に削っていく方法です。
(サンドペーパーの番手は#240~#400くらい、削る量に応じて変える)
もちろんあらかじめどこが狭くなっているのかノギスでまんべんなく計測しておいて、削っては計測の繰り返しです。
私のBBの場合は仕上げが雑だったせいか、結構あっさり削れました。
BBを2回くらい着脱して確かめましたが、
内径は45.85mm以下だと狭すぎなので、45.90mm~45.95mmくらいまで削りました。
手作業なので削りすぎだけ気を付けましょう。
BBを圧入するときは中強度のはめ合い用ロックタイトを使うことを忘れずに。
追記:
内径の計測は
・「シリンダーゲージ」
・「マイクロメータ」と「内パス」
ならより正確に測る事ができると思います。
ノギスでもデジタル式は0.01mm刻みで測れますし、
普通のノギスでも目盛りは0.05mmで、微妙な目盛りの間を読めれば0.025位は分かるのでそこそこ正確です。
もしBB内径が狭くてベアリング異常や異音が出るなら、削らないよりけ削ったほうが10倍ましです。
BBをの内径を削る場合、自動車用のブレーキシリンダーのホーニングツールを使う方法もあります。
ただしアルミやカーボンだとすぐ削れてしまうので注意しましょう。