今年もどうぞよろしくお願い致します!
これは1989年 28歳の時
劇団3〇〇の劇団員時代に
課題で書いた物語を元に
設定を大きく変えて
新たに書いた物語です
1989年 「踊る砂の伝説」課題
<参考文献>
手塚治虫 「火の鳥~未来編~」
光瀬龍 「百億の昼と千億の夜」
アスタはひとり 広大な空間に立っていた
呑み込まれた井戸の奥へと 吐き出されて来たのか
嫌それも定かではない
一体何が起こったと言うのだ 闇はどこへ
ここは・・・
カイドルは・・・
ヒルバは・・・
また闇に切り裂かれ 遠ざけられたのか・・・
風が吹き その中で
カルマの鳴る音と サックベンの焼ける匂いが
微かに漂ったかに感じた
ここは・・・
ラムの村なのか・・・何もない 誰もいない・・・
村が消えた遠い時の先に来てしまったのか
それとも村が生まれる遥か彼方の過去なのか
その時 空の彼方の高い所から 一つの視線を感じた
オリエ お前なのか
何故俺を見る なぜただ見ている
助けもせず 手を出す事も無く
ただ見るだけなのか お前は・・・
ダンッ と体が浮き
また例のチカチカとした点滅 赤 青 白 黄
体に感じる電極の数々
「ダニエル1号 失敗だ やり直そう」
ダンッと体が落ち 元の場所に立っていた
お前らは何者なんだ! オリエお前なのか!
嫌しかし オリエの視線は 更にもっと高い所にあった
遥かに高い所から 全体を見届けていた
すべての出来事を ただ見ていた
「全ては生まれ 消失せる
汝 オレイコスを呑み
暗黒の海へと身を委ねよ」
誕生と消滅 繰り返す輪廻 また生まれ消え失せる
繰り返す 繰り返す 何度も 何度も
この意味は何だ
何もない空間
再び眼前に目をやると 真っ暗な海が静かに波打っている
足元に目をやると 僅かに鈍く光る オレイコスの砂
オレイコス 彼の井戸の淵に有った物質
俺はあの井戸から ここに導かれてきたのか
俺の存在の意味は・・・ そうなんだな
俺にそれをさせようというのだな お前ら!
そう言うとアスタは 心を静め 意を決した
そして足元のオレイコスの砂を ガッと掴んで吞み干し
暗黒の海へと 身を進めて行った
アスタの体は いつかの幻影の如く
細胞の一つ一つがゾワゾワと動き
分解され 細分化され
血も肉も骨も臓物も
岩が砕けて石となり砂となってゆくように
原子となり 素粒子となり
そして有機物となって 暗黒の海に身を委ね 溶けて行った
繰り返す繰り返す 幾度も幾度も 時の果てのその先までも
空の彼方上からは オリエが ただただそれを見ていた
ただただ 全てを見ていた
暗黒の海が 束の間動いた
オレイコスの砂が 一瞬
踊るように舞い上がったかに見えた・・・
その後・・・
数え切れぬほどの年月と空間を越えた後
ラムの村の第2恒星δ(デルタ)は
自らの遠心力で弾き飛ばされ
第5周期を回る惑星となった
そして・・・
更にそれから 幾百億の時と
幾千万の空間を越えた後
第3惑星γ(ガンマ)は・・・・
地球・・・と呼ばれるようになった・・・
「全ては生まれ 消失せる・・・」
(終続・・・)
くり返す 何度も 何度も・・・
アスタ・・・ また行くのか・・・
行かなければならないんだ・・・ヒルバ・・・
それが我らの 存在の意味
カイドル・・・意味とはなんだ・・・誰の意志だ
一つの体の中で 彼らは問い続ける
「記憶の彼方を探れ
全ては生まれ消失せる
汝 ふたたび ひとつとなり
暗黒の海へと身を委ねよ」
記憶の深部にたどり着き
「アジュガ」となった3つの命
光の空洞に裂けた闇 あれが暗黒の海なのか・・・
瞬く間に裂け目は広がり 全体が闇に呑み込まれた
「アジュガ」となった3つの命は
闇の更にその奥へと吸い込まれて行く
この先に何が
我らは何と戦っているのか
それでも行くのは何故だ
闇の中でドンと何かに強く当たった
相手が何者なのかも見えぬ
ただただ強く強く 弾き飛ばされて行った
こいつが 我らの戦う相手・・・
強い圧力で押さえつけながら
切り裂き切り裂き あらん限りの力で押し返す
力と力 英知と英知の応酬
光の空洞が ジジジジジと振動し
立てに横に グラグラと捻じれながら揺れ出した
次の瞬間 オオトカゲ「ガデュメル」の鱗が
バラバラと剥がれ落ち グゥオーと鳴いた
鳴いた口から体は裂けて
セミが脱皮するかのように 大きな“人”に変体を遂げた
そこに現れたのはラムの長男カイドルであった
オポッサムも声にならない波長で叫び
ベリベリとその皮を剥ぐと 弟ヒルバへと変体を遂げた
海で姿を消した後 オポッサムに姿を変えて
アスタに寄り添っていたのだった
その時アスタは再び バン と体が浮くのを感じた
チカチカと光る電光
体に刺さる電極と 幾重にも繋がれたコード
これは幻か また彼の幻覚か
「ダニエル1号 フェーズ・・ファ・・イ・・ブ・・・暴走だ」
お前は誰だ! 何者だ!
一瞬の後 また ガタン と体が落ちたように感じた
その時 そのほんのつかの間の間
アスタは見た 確かに見た 記憶の最深部にある風景を
闇と戦うアジュガの姿
幾度も生まれ 幾度も消滅し 消滅の闇と戦い 幾度も繰り返す
アジュガ・・・ それが自分の本当の姿なのか・・・
1つの体に3つの命 それがアジュガであった
アスタ カイドル ヒルバ 元は一つの体に宿った命
闇に切り裂かれ 分裂し 1つが3つになって 彼方に遠ざけられた
いつしか 体が惹かれ合うように ラムの兄弟として存在していた
他の兄弟家族も皆 引き裂かれた体を求め 惹かれ合い集まった
それがラムの種族だった
光の空洞が グラグラと揺れ 振幅が大きくなり
その一部が裂け 闇が現れた
また戦うのか 幾度繰り返すのだろう
アスタが思った時 カイドル ヒルバ と体が溶け合い
ひとつになった 一つの体に三つの命
「全ては生まれ 消失せる・・・」
戦うのは自分の意志か 宿命か 何者かの命令か
終わりは・・・無いのか・・・
3つを宿し 一つの体“アジュガ”となった時
天の闇に吸い込まれ 戦いを挑んでいった
消滅は防げるのか・・・阻止した先には何が・・・
(つづく・・・)
辿り着いたのは 光の巣窟
広いのか狭いのか 上なのか下なのかも分からない
五感を奪われる 光に包まれた空洞
オオトカゲ「ガデュメル」がアスタに覆い被さろうとしたその時
ガデュメルの腹が透け そこにコル・ギル・ヲルの羽虫がいた
私たちの役目は
ここまで
ここまで
ここまでなの
ここはどこなんだ アスタが尋ねる
わからない
わからない
わからないの
ただ指示に従っただけ
届いた“声”の指示に
指示に
指示に
3つが1つになる時
光の中に扉が開く
あなた方が その3つ
私たち三身一体は
それを示唆する為に
降ろされた かの地に
かの地に
かの地に
今がその時 3つが1つに 1つに 1つに・・・
コル・ギル・ヲルの三身の羽虫は
「ガデュメル」の腹の中で消えて行った
(つづく・・・)
アスタ アスタ アスタ ・・・
兄さん 兄さん 兄さん ・・・
ここよ ここよ ここよ ・・・
三度、あの声がした
耳元で羽虫が忙しく飛んでいる
声はそこからしていた
アスタ アスタ アスタ ・・・
兄さん 兄さん 兄さん ・・・
こっちよ こっちよ こっちよ ・・・
コル・ギル・ヲル!
ひとつの体を共有した三身の羽虫・・・
それは、三人の妹たちが化身したものだった
ベリベリベリ ガガガリガガリ ドグググン
エルカシアの神殿が再び動き出した
女神(めしん)プラツマが天を指さした時
そこから“闇”が降りて来た
兄さん こっちよ こっちよ こっちよ
闇がプラツマの背後を覆った時
その身の脇に闇のほつれが見えて取った
オポッサムを胸に抱き 羽虫に導かれるまま
プラツマの攻撃を避けつつ
一筋の光の如くある“ほつれ”に向かって行った
今まさに“ほつれ”に飛び込もうとしたその時
神殿の守り神であるオオトカゲ「ガデュメル」が
羽虫を呑み込んだ
コル・ギル・ヲル!!
叫びと共にアスタはほつれの光の中に吸い込まれて行った
その後から「ガデュメル」も共に・・・
光に包まれどこまでも吸い込まれて行く
ここは・・・この先には何が・・・
「ダニエル1号・・・フェーズ4・・・これ以上は・・・」
またあの 低く響くような声
お前は誰だーーーー!!!
この先は何だーーーー!!!
声と共にアスタも光の奥へ吸い込まれて行った
(つづく・・・)
アマノユウスケワンマンライブの会場。アマノ歌う
アマノ 歌(M1)終わりで客の拍手
入口より老人(松田)原稿を手に入って来る
松田衛 アマノくーーーーん!!出来たよーーー!!
アマノ ・・・(困惑の表情)
松田 新しい台本だよ。今、書きあがったばかりだ。
アマノ ・・・マツダさん・・・
松田 今度はね、今度はCGを使うんだ。CGを紗幕に映して立体映像のようにしてね、
それと会話するんだよ。きっとみんな驚くよ。観る人の予測を上回るんだ。
君の役はね・・・
アマノ (遮って)松田さん!!!
松田 ・・・
アマノ 松田さん・・・もう・・いい加減にしてくれよ!
松田 アマノくん・・・?
アマノ 古いんだよ。あんたの本は古いんだよ!そんなんじゃ、誰も驚かないよ!!
松田 でもみんな、喜んでくれたじゃないか。評判良かったよー。
アマノ いつの話だよ。何年前だよ。何十年前だよ。
松田 ずっと一緒に創ってきたじゃないか。
アマノ もう終わったんだよ松田さん!もう、とっくに終わってるんだよ。
松田 でもこれ、新しい台本・・・
アマノ やめてくれ!もういい加減にしてくれよ!!!
もう俺、あんたに付き合ってる余裕も時間もない。もう前に進んだんだよ。
先に進んじゃったんだよ。行きたい場所に近づいてるんだ。邪魔しないでくれ。
松田 邪魔・・・?
アマノ もういい加減気付いてくれよ・・・言わせないでくれよ・・・
松田 そうか、やっぱりそうなんだね。そんな気がしてた。
気付かない振りをしてきたけど・・・
アマノ 悪気はないんだ。俺には、どうしてもやり遂げなきゃならない事があるんだよ。
どうしても、そこへ行きたいんだ。
松田 いいよ。その方が良い。いつかこうなる事は分かっていた筈だから。
アマノ ごめん
松田 ううん。その方が良い・・・その方が良い・・・
アマノ、ふと我に返ると(M1)終わりに戻っていた。
観客に向かう
アマノ えー、次が最後の曲になります・・・(等のMC)
アマノ、歌(M2)
松田 (アマノの歌にかぶせて台本を読む)
昔々、古びたアパートの1階に庭付きの部屋があった。
少年は、その庭の片隅で、小さな緑色のカエルを見つけた。こんなに綺麗で可愛いカエルを見たのは初めてだった。アジサイの葉っぱの上に乗せて・・・
松田の声は、アマノの歌に飲み込まれかき消されていく。
アマノ 今日はどうもありがとうございました!ありがとうございました!
(観客にお辞儀をし、手を振り、拍手にこたえている)
松田、新作の台本を胸に抱き、アマノに一礼、観客に一礼をし、扉から出ていく。
アマノ、出ていく松田の背中に向かって手を振り、大声で呼びかける。
アマノ 松田さーーーーーん!!! ありがとーーーーー!!!
おわり
ボクは綿毛 タンポポの綿毛
みんなで揺れて ふ~わふわ
お日様にあたって ふっかふか
みんなでいるって 楽しいね
強い風が ビューと吹いて
解散解散 みんなバイバイ
バイバイバーイ と空に登った
振り返ると 飛ばされたのはボクだけだ
みんなは ふわふわ 続きをしてる
バイバイバーイ とボクを見てる
楽しそうなみんなを見ながら
ボクはひとりで飛ばされた
強い風でぐるぐる回って
登って下がって登って下がって
大きな木の幹に 激突破裂
それでもみんなは 楽しそう
ふわふわ ふかふか 楽しそう
僕の事は もう見てないね
僕の事は もういらないね
そっか ボクは のけ者のののけ
「のけ者のののけ」 前田和守
僕は自分が嫌いです。
誰も読まないこのblogに本当の事を記して最後の夜を迎えよう。