「学歴詐称」は破廉恥行為です | 方丈随想録

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都知事選の投開票まで余すところ1週間を切った。小池百合子としては逃げ切って、3選を果たしたいだろう。しかし、「学歴詐称」は単に公職選挙法に違反するからというものではなく、ある中国人が行ったような靖国神社で落書きと放尿をしたと同じかそれ以上に破廉恥ではなかろうか。

私たちが義務教育を受けるのは、知識の習得ということもあるが、それ以上に社会性を身に着けて自立した大人になる準備をすることにある。そのために倫理的な価値観を身に着けるのだが、易しく言うと「嘘をつかない」、少し難しく言うと「誠実」という徳性を身に着けるのだ。だから、学校で実施される大小の試験でカンニング行為をしてはならないし、スポーツ競技なのの運動でも「フェア=プレー」が原則なのだ。カンニングをすれば叱られたり、停学処分になったりする。スポーツ競技で反則をすれば退場処分を受けたり、場合によっては出場停止処分になる。かくして、学歴とは高卒であれば、出身高校において「誠実」に努力した証明になるわけだし、大卒であれば、出身大学において「誠実」に努力した証明になるわけだ。

小池都知事がカイロ大学を卒業したということは、カイロ大学で所定の単位を取得するために必要な講義と演習に出席し、試験にも合格したこと、そして修了条件に卒業論文があるとすれば、卒業論文を提出し、その論文が審査に通ったということだ。「誠実」な努力によってカイロ大学から卒業を認められたわけだ。しかも、小池都知事は「首席で卒業した」というのだから、試験成績はすべて最良、卒論もさぞ素晴らしいものだったはずだ。

ところが、小池都知事のカイロ大学卒業を示す客観的証拠としては、自身が示す「卒業証書」と駐日エジプト大使館が発表した妙な声明しかないのだ。私たち一人一人が高卒あるいは大卒であることを示そうとするとどうするだろうか。「卒業証書」がなくとも「卒業証明書」とか「成績証明書」なら最低限とれるはずだ。それが疑われるとすれば、同級生とか専攻を同じくしていた友人に証言してもらえるはずだ。それに印象深かった教官の名前や講座名も挙げることができるだろう。そして、大学であればテーマで卒業論文を書いたか、テーマに対する関心と論文の内容を説明できるだろう。大学によっては、卒業生の卒論をすべて保存しているので、論文の有無によって卒業しているかどうか確認できる。

小池都知事の場合、真偽不明の卒業証書を提示しているので「学歴詐称」を疑われるのだ。卒業証書以外に証明できるものが少なからずあるのだから、それを示すべきだろう。

「嘘は泥棒の始まり」という。最近では「政治家は泥棒だ」という認識を示す事件があったが、「嘘は政治家の始まり」の好例を小池都知事が率先垂範しているようだ。

東京都民で自分の学歴が空虚な無意味なものだと考えている人、あるいは子どもたちに「誠実」な努力なんて意味がないと教えたい人、自分はそんな人間ではないと思う人は小池百合子に投票してはいけないでしょう。嘘に乗って政治をしている人の「実績」なんてゼロに等しいものです。これ以上馬鹿にされないことを望みます。