内閣府「再エネTF」レポを読み解く(1) | 方丈随想録

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先般、6月3日に内閣府大臣官房による、大林ミカが提出した資料に中国国家電網公司のロゴが入っていた件についての調査結果が発表された。

調査結果は44ページに及ぶが、結論は次の2点である。

(1)タスクフォースは意見交換とか懇談等の場であるにもかかわらず、あたかも審議会であるかのような行動をとっていた。行政ルールを逸脱していた。

(2)中国国家電網公司やそれが中心となって設立したGEIDCO、あるいは中国政府からの資金提供の事実は確認されなかった。したがって、大林と高橋および自然エネルギー財団に対する中国からの影響力が行使される関係性を有していた事実は確認されなかった。

 

小生の内閣府の調査の結論に対する評価

(1)についてはその通りだと思う。実際には、自然エネルギー財団に籍を置く大林と高橋の両名は各省庁の担当者との会議において「政策対応を求める」ことをしており、「持ち帰り検討」を求めて、その検討結果を閣議決定に反映させていた。タスクフォースによる権限外の違法な「影響力の行使」は存在していたのである。その点を林芳正官房長官が指摘していた。

では、その責任は河野太郎にあるわけだが、ではなぜ河野太郎はそんな越権行為をしたのか、その動機や林と高橋の「提言」との関係性、閣議決定に組み込まれた「提言」の影響についての検証はされていない。河野大臣あるいはその任命権者である岸田首相に対する忖度でお茶を濁している。

(2)の結論部には問題点が多い。「資金提供の事実は確認されなかった」と言うが、それは「確認されなかった」わけで、資金提供の事実はあったかもしれずなかったかも知れないのだ。そして「中国からの影響力」云々という書き方も問題である。GEIDCOは中国国家電網公司が核になってつくったものであるし、中国国家電網公司は国営企業で中国共産党が直接管理している企業なのだ。自然エネルギー財団の創設者孫正義は創設時からGEIDCOの副理事長に就任し、中国の「一帯一路」の国際的送電線網を推進するための日本側の組織が自然エネルギー財団なのだから、資金の授受に関係なく「影響力が行使される関係性」は存在していたのだ。中国国家電網公司と自然エネルギー財団は「同志」なのだ。だから、パーティや会食の費用は概ね折半しているわけだ。

 

結論の部分だけ読んでも、調査に当たった役人は電話と文書だけで仕事を進めて、報告書を適当にまとめているだけだ。適当に表面をなぞっただけだ。あんまりやると「藪蛇」ということもあるしということで、適当なところで収めたのでしょう。