アステラス製薬と中国との闇 | 方丈随想録

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昨年2023年3月に、中国から出国しようとしていたアステラス製薬の社員が中国の官憲に拘束された。具体的な罪名は明かされていないが、中国側は「刑法および反スパイ法に違反」していると主張している。当該社員と邦人保護の責任がある外務省職員との接触もほとんどないようだ。

アステラス製薬の中国における事業内容と社員逮捕との間に関係があるのかどうか。恐らくあるはずだ。あるとすれば、それは何だろうか。と疑いたくなる。

中国は北朝鮮と同質だから、社員を人質にとって何らかの国家的な利益の保護あるいは拡大を図っていると見ていいだろう。

小生が考えたのは次の五つの可能性だ。

(1)アステラス製薬が開発した薬品の製造方法を渡すように要求している。

(2)アステラス製薬が中国国内で行った何らかの治験のデータを渡すように要求している。

(3)アステラス製薬が中国に協力して行った治験が中国当局の重大な人権侵害行為に関係しており、その証拠を隠滅工作のために社員を人質に取っている。

(4)アステラス製薬が中国の製薬企業の違法ドラッグ製造・販売に関する情報を入手したので、それを「スパイ行為」とみなし拘束し逮捕した。

(5)アステラス製薬の技術協力が将来も必要なため、中国からの撤退を阻止するために社員を人質に取っている。

ところでだが、アステラス製薬は中国でどんな薬品を販売したり、あるいは治験をしていたのかというと、「免疫抑制剤」というのがネット上で出てくる。この「免疫抑制剤」をどこに使うのかというと、それは「臓器移植」手術の際に用いる。「臓器移植」は中国では盛んに行われ、何と「犯罪者」から臓器を摘出し、それを国内で用いるのみか海外に輸出しているという。したがって、「免疫抑制剤」は必須の薬品だから、アステラス製薬にとって中国は上得意様ということになる。しかし、問題は「犯罪者」から臓器を摘出すること自体も問題だが、その「犯罪者」の中に多数のウィグル人が含まれていることだ。とすると、アステラス製薬は中国のウィグル人に対する民族浄化作戦に加担していた、あるいは現在も加担していることになる。ここまでは事実の問題だ。これからは推測になる。

アステラス製薬は中国によるウィグル人への人権侵害に加担していることに気づき、「免疫抑制剤」の現地での治験の中止、あるいは薬品そのものの販売の中止、更には中国からの撤退を考えた可能性がある。上記5項目の内(1)~(3)が関係してくる。

ところが別の解釈も可能だ。中国に拘束された社員は長年の中国勤務を終えて、帰国のために北京空港に来た時に拘束された。最後の土壇場での拘束ということは、当該の社員は相当長期間中国の公安当局からマークされていたということであり、社員が本社に向けて送った報告書の内容が筒抜けだったのだ。筒抜けだった、ということは、可能性としては二つ。アステラス製薬の本社に中国のスパイがいて、中国関係の情報を抜いていたか、あるいは社員のパソコンもしくはアステラス製薬本社のコンピュータにハッキングをかけたかだろうが、前者の方が可能性としては高いように思われる。中国の公安当局としては、「この社員は知りすぎている。情報源を突き止める必要がある。」と考えた可能性もある。では、どんな情報だったのだろうか。ウィグル人からの臓器の摘出とその臓器の販売についてというのが一つ、そしてもう一つはアメリカを主なターゲットにした輸出用の違法ドラッグの製造、販売に関する情報だ。どちらにしても、中国にとってはヤバい情報なのだ。だから、日本がいくら逮捕理由を紹介しても答えられないのだ。

アステラス製薬の社員が拘束・逮捕された時の日本の外相は林芳正だった。林外相は訪中した際に逮捕された社員の解放を求めたらしいが拒否されたようだ。逮捕理由も不明なまま、被告人の権利も尊重されていない状況であれば、日本の外務省としては中国を海外安全情報でレベル2か3には設定すべきである。すごすごと引き下がってしまう情けなさ。岸田内閣ではこんなところでしょう。