「乙武洋匡」を如何に評価すべきか | 方丈随想録

方丈随想録

感じたこと、思いついたことを気ままに投稿します。

乙武洋匡が東京第15区衆院補選に立候補している。知名度と小池都知事のバックアップ、そして自民党の相乗りもあって「圧勝」を予想する向きもある。一方で、公明党支持層の離反とか小池都知事の学歴詐称問題の再燃もあって、東京第15区は混戦模様という評価もある。いづれの陣営も読み辛いようだ。

乙武の政治的な価値観については、Wikiに書かれている内容やYoutubeにおける識者の評価によってしか情報が取れない。ご本人がマイクを握って自分の価値観を縷々説明するような動画が配信されていれば分かりやすいのだが、そんなものは存在しない。大体「マイクを握る」という動作が不可能ということもあるだろう。よって、乙武の日頃の言動やアンケートへの回答で判断されているのだろう。

ところがである。小生がWikiの記事を読む限りでは、乙武はどちらかというと「保守」という印象なのだ。ところがネットでの評価は「リベラル」なのだ。一体どっちなのだろうと戸惑う。乙武は小池都知事が主宰する「ファーストの会」の副代表であるということからすると、「保守」かなと思うのだが、ところがネットで紹介される乙武の価値観には夫婦別姓やLGBT推進とあったり、「表現の不自由展」で名をはせた津田大介と料亭で意気投合している写真がネットにアップされている。津田大介の父親は旧社会党の社会主義協会の高沢寅夫の秘書を努めていたという。社会主義協会は毛沢東や金日成と同質の極左マルクス主義であり、津田大介も中学時代に共産党機関紙を愛読していたという。津田大介を極左とみなせるだろうから、乙武と津田が同じ早稲田の出身といっても、乙武の思想信条に津田の思想信条と重なる領域が相当あるものとみなしていいだろう。その部分をどう理解するかである。

乙武が衆院補選に出馬する意向というニュースが流れると、乙武を揶揄した表現が少ないながらもネットに登場した。著書の題名をもじって「五体不満足、一根大満足」とか。本人は「男尊女卑」を絵にかいたような「亭主関白」で、しかも5人の愛人と不倫関係を持っていたという事実を批判したわけだ。乙武は、戦前の封建的な家長のような尊大なところと急進的な自由を愛好する傾向を両立させているのだ。これは一言でいえば「自分ファースト主義」というもので、だから「ファーストの会」の副代表を引き受けたのだろう。

ここで、乙武の「自由を愛する傾向」に注目すべきだろう。評論家は乙武を「リベラル」と称しているが、それは間違いである。勿論、「保守」ではない。では、乙武の思想は何なのか、というと、それは"liberalism"(自由主義)ではなくて、それと似ているが大違いの"

libertarianism"(自由勝手主義、自分本位主義)というものなのだ。この両者の詳しい比較は省略するが、簡単に言うと、前者が個人の自由と同時に社会全体の福利を尊重するのに対して、後者は個人の自由をとことん優先し、社会的あるいは市民的義務を軽視するところに相違がある。よって、乙武の価値観を表現する言葉として「リベラル」は不適当であって「リベルテアリアン」と呼ぶべきなのだ。この点で乙武と小池百合子は見事に波長が合っていることが分かる。