概要

液化石油ガス設備士は、家庭用プロパンなどに使用されているLPガスの供給設備・消費設備の設置工事、または変更工事などを行うための国家資格です。この免状の交付を受けるためには、液化石油ガス設備士試験に合格するか、又は液化石油ガス設備士講習の課程を修了しなければなりません。今回はLPガス設備工事の経験1年以上の方が対象とした講習【第二講習】を受講し、技能試験を受けてきました。

試験時間:【集合時間】12:30【技能試験】13:00~14:00(60分)

受講料:【講習+筆記試験】15,800円 【技能試験】19,700円※2021年受験料が改定されました

受験資格:【試験】誰でも受験できます。【講習+検定試験】対象講習ごとに異なります。下図

合格率:30.1%(筆記35.5% 技能76.0%)令和2年度

 

受験会場は圏央道「寒川南IC」より約1.8km 産業技術短期大学校 茅ヶ崎キャンパス㊨技能試験は2回チャンスがあります。試験日は予め指定されていて、1回目は都合が悪く受験出来なかったのですが不合格扱いとなりましたガーン

試験内容

試験方式:筆記試験と技能試験で構成されています。筆記試験は講習の1週間後。実技試験は約2ヶ月後です。
○技能試験範囲 

(1)配管用材料及び工具の使用

(2)硬質管の加工及び接続

(3)器具等の取り付け

(4)気密試験の実施

○実施方法

・規定の試験時間内において、所定の工具・器具を使用し、支給する配管用材料を用いて、配布する技能試験問題(製作図面)に基づき配管を作成し、かつ、所定の方法により気密試験を実施してください。

(1)試験で配布される配管用材料について

15A白管・20A白管・15Aユニオン・15A六角ニップル・15A×20Aエルボ【2個】・15Aエルボ・15Aティー・15A×9.5mmホース口

(2)試験問題(製作図面)を配布後、問題寸法をお知らせします。㊦実際の試験問題です

(3)制作した配管と、気密試験を行ったチャート紙を制限時間内に試験官に提出します。

㊧は完成した配管 ㊥配管の気密試験 ㊨気密試験の圧力チャート紙

○携行品
試験で使用する工具・器具等は全て自分で用意します。個人受験しようとお考えの方は、全ての工具・器具・練習用配管材料を揃えると、総額35万くらい掛かります。

参考までに㊥MCCパイプマシンネジプロ25AD PMNA025 129,825円(税込)㊨矢崎 機械式自記圧力計 (ER12-24M)24分計 128,281円(税込)

対策

道具、部材の用意ができたら、とにかく練習あるのみです。You Tubeにガスワンの現役社員が教える「液化石油ガス設備士の技能試験対策動画」が2021/04/02に投稿されていて、とても参考になるので紹介させて下さい。この動画で実技試験対策はバッチリです。少し補足をさせてもらうと、

①技能試験は『手動』と『電動』を選べますが、『手動』で合格を目指すのは難しいです。実際に手動で練習してみましたが、白管をカットしてねじ切りするだけで30分。全身筋肉痛で肩で息をするレベルでした。

㊧REX ベビーリード型パイプねじ切器 2R3 22,545円(税込)㊨MCC 4枚刃パイプカッタ25 PCFB-25 24,468円(税込)

②脚付パイプバイスで脚部分の角パイプターンバックルは使用中によく外れます。説明書には書かれていませんが、方足を乗せると安定して使用できます。

③受験案内に12時30分集合と書かれてましたが、12時に到着した時点で受験者で一番最後の到着でした。早めに試験会場へ向かいましょう。

④試験での寸法取り計算ですが、問題寸法から引く数字4つ(34 32 35 97.5)を暗記しましょう。試験中は試験官が常にウロウロしていて、カンペを見る余裕はありません。

⑤㊤でオススメした動画内で、Bパイプは実測してから→切断と紹介されてますが、最初から<試験寸法-97.5>で切断しても問題ありません。私は最初に全てのパイプを切断→全てのパイプにねじ切り→全てのパイプにシールテープを貼ってから組み立て始めました。

⑥パイプのキズは減点対象です。普通なら配管をレンチで1度掴んだら、120~90度回してまた掴み直しますが、それだと細かいキズがつきます。試験では一度掴んだら最後まで360度回しで極力キズを減らしましょう。

⑦パイプの組み立てで多い間違いが、CパイプとDパイプの取り違えです。CパイプとDパイプは同じ太さ、同じような長さのため試験独特の緊張感の中では間違えてしまう事があると思います。私はパイプに直接ペンで【C】【D】と書いてました。そのまま作品を提出しましたが、結果合格なので減点は無いと思われます。

⑧自記圧力計に繋いで圧力をかけて、すぐに気密検査を始めると、チャート紙の最初の1、2分辺りで気圧が下がっている事があります。試験の残り時間を見て余裕があれば、1,2分待って圧力が安定してから気密試験を始めましょう。

試験

なんとか合格ラインには達したかなという感じ照れ。今回の実技試験は2回目(再試験)のため17名と受験者数も少なく、屋根の下での快適な環境での受験でした。試験会場では自分が使えるスペースにも限りがあるので作業効率を落とさないようにしっかりと配置をして、当日失敗しないように練習を繰り返しておきましょう。試験時間は60分ですが、残り時間10分の時点で殆どの方が試験を終えられてました。これから受験を考えてる方は十分に練習して、落ち着いて試験に望んで下さい。

 

1人に与えられるスペースは1.5m×1.5mくらい。道具をどのように配置するかも試験では重要になります。㊨合格通知と液化石油ガス設備士講習修了証

感想

液化石油ガス設備士を取得するには、国家試験を受ける方法と、1年以上の実務を経験してから高圧ガス保安協会が実施する講習会を受講する2種類の方法があります。この試験は学歴や実務経験などの受験資格に制限がありませんが、2次の技能試験では硬質管の加工・接続、器具取り付けなどを含む4科目の試験が行われ、試験に使用する工具・器具や練習用の材料は全て自分で準備する必要があるため、ほとんどの受験者が働きながら試験に挑戦しているのが実状です。1度取得してしまえば、免状の返納や失効などがないこの資格。あなたも現場から始めて実績を積んで、監督業務や管理部門での仕事も視野に入れられる液化石油ガス設備士を目指してみてはいかがでしょうか。