●概要
斜面崩壊による労働災害の防止を図るには、点検により地山の状況を的確に把握すること及び工事関係者が点検結果に基づいた斜面崩壊の危険性に関する情報を共有することが必要不可欠であります。建災防都道府県支部では、斜面の点検が適切に実施されるよう、「斜面の点検者に対する安全教育」を開催し、点検者に対し必要な知識を付与します。今回は建災防 神奈川支部にお世話になりました。
受講費用:9,250円(税込)
受講資格:斜面の点検を行う調査者など(満18歳以上)
講習時間:学科4時間15分
※斜面とは、自然又は人工的に形成された傾斜をしてる地山の面を言います。
場所は京急本線 横須賀中央駅より徒歩10分 横須賀建工会館で受講しました。
●カリキュラム
学科講習 <9:00~14:30>
ガイドラインの趣旨・目的 ※建災防独自【15分】
斜面掘削工事での労働災害発生状況等【30分】
斜面崩壊の危険性に係る情報の共有による労働災害の防止【30分】
点検表の使い方及び解説並びに点検表等への記載例【90分】
点検結果に基づく措置【60分】
関係法令 【30分】
地山の日々の点検については、労働安全衛生規則第358条で義務付けられているところですが、この点検を適切に実施できるよう、平成27年6月、厚生労働省から「斜面崩壊による労働災害の防止対策に関するガイドライン」が示され、斜面崩壊による労働災害を防止するため、日々変化する斜面の状況を確実な点検の実施により的確に把握し、発注者、設計者及び施工者が同じ点検結果に基づき、斜面崩壊の危険性を共有の上、その対策を講じることが求められました。また、崩壊を予測することが難しい斜面を点検するには本ガイドラインと合わせて策定された「斜面の点検者に対する安全教育実施要領」に基づく「斜面の点検者に対する安全教育」を受講した一定の知識を有する「点検者」及び「確認者」を元請事業者並びに関係請負業者のそれぞれ2名ずつの選任が建設工事現場ごとに求められています。
近年の土砂崩壊による労働死亡災害が多発したことを踏まえ、各労働基準監督署に計画届を届出する際において、「斜面の点検者教育の受講修了証」や、「設計・施工段階別点検表」等の提出が求められたところです。
●感想
日本はその国土の特性から、風水害や地震など多くの自然災害の発生に見舞われがちです。その都度、各地で発生した法面崩壊のニュースが報じられてきました。土砂崩れや崩落などを未然に防ぐ為には、日々変化する掘削中の斜面の状況を、点検により的確に把握するとともに、発注者、設計者及び施工者が同じ点検結果に基づいた斜面崩壊の危険性を共有し、対策を講じることが極めて重要です。台風の大型化や線状降水帯の発生により豪雨の規模と頻度が増加している近年、法面への雨水流出量も増え、「常に崩壊するかもしれない」という想定を行っておかねばならないと言えます。不測かつ突発的な事故を少しでも減らすため、あなたもこの斜面の点検者に対する安全教育を受講されてみてはいかがでしょうか。