宙組宝塚大劇場公演千秋楽のLIVE配信も、もうだいぶ前のことですが、自分の記録なので覚えている限りのことを記します。


 お芝居の『黒蜥蜴』。

 1時間半の芝居に画面の前で釘付けになったのは、ひとえに春乃さくらちゃん演じる女賊・黒蜥蜴の表情の変化を見逃したくないから、でした。

 登場シーンの「私の中に入ってこないで」は、生観劇した時には弱音を吐いているように聴こえましたが、配信では、きつく威嚇しているように聴こえました。

 彼女が次々と犯罪を犯すのは、世間から自分の心を覆い隠すためなのか?と思うほど、ひたすら心を守りたがっている。

 そして、娘の姿が見えなくて慌てふためく岩瀬庄兵衛を見ている時の可笑しそうな笑顔がね、美しいけれど醜いんですよねぇ驚き

 心の澱みが浮き上がってくるような笑顔。さくらちゃんの感性と力量に改めて感服しました。


 明智小五郎に事件の真相を見抜かれた瞬間から、黒蜥蜴の表情が一変します。ピシリと鏡に亀裂が入ったみたいに。

 そこからの表情の変化はものすごく見応えがありました。ぐいぐい引き込まれました。

 明智と出会ってからの、募る想いを吐き出していく様は、雨宮潤一が黒蜥蜴に抱いている強烈な依存心と遜色ないくらいの、一種の依存を抱いているように感じました。

 思うのは、さくらちゃん、幕が降りてから毎回倒れてるんじゃないかなぁ、ということです驚き

 あんな激しい人物を演じる毎日、どれだけのエネルギーを消費していることか。

 あの細い身体で、本当にすごいの一言に尽きます。


 雨宮潤一を演じるマイティー、やっぱりすごく良かったです。

 雨宮のキャラは魅力的ではなかったけれど、演じているマイティーがもはやマイティーではなく、不幸で病的な雨宮潤一そのもので、いい味出してるなぁ〜と唸りながら見ていました。

 またあのちょっとダブついた革ジャン姿が、なんでかカッコよく見えてねぇ爆笑

 冴えない格好してるのにめちゃくちゃ顔が綺麗な男の人っているよね〜という生々しさがありました。←どんな?


 明智の事務所の面々は、配信でアップにされると、やはり皆さん大変見目が麗しくて、心が明るくなっちゃう(笑)

 こんなに美形だらけの宙組だから、もっとメインキャラ以外の出番も作らなアカンよ!!と力説したくなりました。(同じ生田先生演出の『シャーロック・ホームズ』でも思いましたけどね。)


 さて、明智小五郎役のずんちゃんですが、本当にカッコよかったです。

 あのニヒルな微笑がたまらん。ずんちゃんの新しい魅力を感じます。

 あと、声にベルベット感があると言いますか。

 たっぷりとした声質の中に、ちょっとザラつきがあって、大人の男の役をやるのに向いている声だな、と改めて感じました。

 私が明智の中で1番お気に入りのセリフがあるんですが、それが電話をしている時の「それからね、ボーイにね」ってヤツなんですよ〜っっチューチューチュー

 なんですかね、めっちゃカッコいい(笑)カッコいいけど(笑)がつく、なぜか爆笑

 あのベルベット感のある声での「ね」がね、「ね」がいいんですよ、昭和っぽくて、インテリ中年て感じで(笑)


 松風輝さん演じる松吉。生観劇の時にはその哀れな最期もあって彼には同情したんですが、配信で再度見た時には、カッとなって恋人を手にかけた身勝手さに怒りを覚えました。

 松吉も黒蜥蜴も、純粋な人物なんだという感想は変わりません。

 特に黒蜥蜴。自分の心に忠実で、自分のことが何よりも大事だから、それを害する存在は消すことだって躊躇わない。

 ものすごいエゴイスト。エゴと純粋さって紙一重だと改めて考えさせられる。


「よかった…あなたが生きていて」という黒蜥蜴の最期の言葉。

 なんだか、生まれて初めて目を開けた雛が、視界にに映った人を見て安心して鳴いたような無垢さがあって、悲しいやらずるいやらでねぇ。

 明智にとっては優しい女性として残るのかな。

 そして、やっぱり松吉のことを思うと苦い気持ちになるのでしたショボーン


 これがまだ大劇場の千秋楽。東京の千秋楽はどれほど進化しているのか。

 芝居のMVPは誰もが認めるさくらちゃんだけど、ずんちゃんのすべてを受け止める大きさもまた強く感じた『黒蜥蜴』でした。


 さて、ショーの『Diamond IMPULSE』ですが、やはり、疾走感のある爽やかなショーという印象でした。

 銀橋に男役ずらりの場面は待ってました!!て感じだったんですが、最後の最後、カメラが亜音有星くんと大路りせくんの濃厚な絡みとキスで止まってしまったので、思わず固まってしまいましたびっくり

 どうやら話題になっていたみたいですね、この2人の絡み。

 だけど、私は普通にトップスター、二番手、三番手の決めポーズが見たかったな…。東京千秋楽の配信ではばっちりお願いします。


 そして、今公演で退団する組長まっぷーさん。

 まっぷーさんの演じたお役の中で特に心に残っているのは、『神々の土地』のニコライ二世、『黒い瞳』のミロノフ大尉、『FLYING SAPA』のテウダ。

 宝塚で好きな男役さんはたくさんいますが、スキルとして1番好きなのはまっぷーさんの男役芸かもしれません。

 王子様を見てときめく気持ちとはまた違って、極められたものを見て心が震えると言うか…。


 ショーのまっぷーさんとずんちゃんの見せ場。

 大きな瞳をさらに大きく見開き、たくさんのメッセージをのせてずんちゃんを鼓舞しているように見えました。私は勝手に、ずっと見守ってるよ、と言っているように見えてしまいました泣


 大階段を降りて挨拶をするまっぷーさん。言葉にしない部分を、組子たちはよく知っていますよね。

 その証拠にずんちゃん、宙組生みんなの気持ちを伝えるかのように、まっぷーさんに何度も感謝の言葉をかけ、あったかい視線を向けて。

 あんなにまっぷーさんのために印象的な千秋楽にしようという思いが強いのだから、キキちゃんの卒業の日は、もどかしく苦しい思いをしていたんじゃないかなと思います。

 最後の最後の掛け声、初舞台生も巻き込むずんちゃんのあたたかさキラキラきっと嬉しくて泣いてしまいますよね、初舞台生たちおねがい


 さぁ、そんなことを言っている間に、東京公演も後半に差し掛かっていきます。

 大千秋楽のLIVE配信で、宙組生たちの進化を、まっぷーさんの宝塚人生最後の日を見届けようと思います。