「風傳媒」のネットニュースからです。

 

  昨日の岸田首相が襲撃されたニュースについての記事です。矢板明夫は、首相が襲撃のターゲットになっている。なぜなら、前回の措置が「姑息」だったからだと述べているようです。

 

  

  「姑息」という語彙は、日本では「卑怯」という意味に取られていることが多いのですが、「卑怯」と考えると、この見出しは意味が通りません。中国語ではどういう意味があるのでしょうか。

 

 

 

  記事は次のように続いています。

 

 

  矢板明夫15日深夜在臉書指出,去年7月,安倍晉三遇刺場景記憶猶新,此次首相險些遇刺,雖兇手動機尚不明確,但說明了日本社會正在發生變化。他表示,從歷史來看,日本是一個「多暗殺」的國家,明治維新後,部分保守派不喜歡社會變革,就出現了很多的暗殺事件。不論早期的坂本龍馬、還是明治元勳伊藤博文、大久保利通,及後來的原敬、犬養毅等人,都是死於暗殺。矢板明夫說,二戰以後,日本基本進入和平時代,尤其是1970年代的高度成長期以後,全社會重視經濟成長,暗殺事件越來越少。但這幾年,外有和中國的對立、內有經濟成長停滯,社會矛盾加劇,暗殺事件好像又逐漸多了起來,「這是一個非常不好的苗頭。」

 

  矢板明夫強調,民主社會的基本是「尊重多元價值觀」,若不同意某些政治人物的做法,可以透過和平抗議或選舉表達。「暗殺」是對民主價值的破壞,應受到嚴厲批評和唾棄犯案者。他提到,在有心人的操作下,上次暗殺安倍的兇手在媒體上以正面形象登場,除得到同情,甚至還有人捐款。

 

  矢板明夫示警,日本社會這種不明是非的風氣十分糟糕,也許因上次處理太過姑息,所以這次又險些釀成大禍。而不僅僅是日本,台灣也有必要提高警惕,如之前曾發生過對政治人物的潑漆、潑糞事件,但有些媒體非但不譴責,還幸災樂禍,適逢和中國對立加深的多事之秋,台灣也應該加強對政治人物的安保措施。

 

 

 

 

 

 

  …

 

  中国語の「姑息」という語彙について調べてみました。

 

  教育部の辞典では、次のように説明されています。

 

 

  どうやら、類義語を見ると、「溺愛する」「措置が甘い」という意味があるようですね。

 

  どうして、中国語と日本語の「姑息」の意味は、こんなに違ってしまったのでしょうか。

 

 

  『笑える国語辞典』では次のように説明されています。

 

姑息

 姑息(こそく)とは、一時の間に合わせ、その場しのぎという意味で、「姑息な手段をとる」などと用いる。ところがほとんどの日本人は「姑息な手段」を「卑怯な手段」とか「ズルいやり方」という意味に誤解していて、話す方も聞く方も誤った認識で合致しているから、「姑息なヤツだね」「ほんとうに姑息なヤツだ」などと応答して、会話になんの齟齬も来さないという無法状態になっている。おそらく「こそく」という言葉の響きが、「こそこそ」とか「こせこせ」とか「小癪(憎らしい)」といった言葉の響きと似ているところから生まれた誤解ではないかと思われる。

 

 それでは「姑息」という漢字の成り立ちはどうかと辞書を調べると、たいがいの辞書に『「姑」は「しばらくの間」という意味、「息」は「休む」という意味なので、「姑息」で「一時の間に合わせ」という意味になる』と書かれているが、「しばらくの間」と「休む」でなんで「一時の間に合わせ」になるのかどうにも理解できない。

 

  また漢和辞典を見ると、「姑息」で本来の漢字どおり「女と子ども」の意味として使う場合もあったらしい。さらに現代中国語では「姑息」は、「その場しのぎ」という意味の他に、「甘やかして育てる」とか「寛大な措置をとる」といった意味もあるそうで(これもなんでそういう意味になるのかよくわからない「姑(しゅうとめ)」と「息(むすこ)」だから?)、こんなんだったら「姑息な手段」を「ズルいやり方」という意味で使ったってどこからもおとがめがこないだろうし、どうってことないじゃないかという気にもさせられる混乱ぶりである。(CAS)

 

 …

 

  そうなんです。ここに書いてあるように、「姑」は「しばらく」という意味、「息」は「休む」という意味があるので、「一時的な間に合わせ」の意味になったと説明してあるサイトはいくつ発見したのですが、どうしてこの二つの語が合体してそういう意味になるのか、わからないままです。

 

  「しばらく、このことは考えないでおこう」ということから、「一時的に問題をうっちゃっておく」という意味になったのでしょうか。日本語の意味に関してはそれで説明がつきますが、なぜ中国語の「溺愛する」「甘い処置をする」という意味になってしまったのかがわからないままです…。

 

  今週、日本語上級クラスの学生さんに聞いてみることにしましょう。

 

  皆さん、聞いてもすぐにはわからないようなのですが、しばらくすると、LINEで答えを教えてくれるのです。語彙の語源などを調べる方法を、私よりよく知っているということなんでしょう。

 

  それにしても、矢板さんの観点は面白いですね。

 

  日本はもともと暗殺が多い国だった…。

  そんなふうに考えたこともありませんでした。

 

  安倍さんの襲撃事件は、その後、思いもしなかった方向に向かっていきました。

  今回の24歳の青年はいったいどんな背景があるのでしょう。

  明日からの報道で、またいろいろなことが明らかにされていくのでしょう。