15) カムペーンペットでの友人との再会 | BIG BLUE SKY -around the world-

15) カムペーンペットでの友人との再会

第十五話) カムペーンペットでの友人との再会


六日目 8月6日、タークを後にして一路南下し、カムペーンペットへ向かう。
かつてバンコクのラーミンタ路地に住んでいた友人 AL 氏を、訪ねることにしていた。

AL 氏は、2011年に 次女の AI,義妹 DS 夫人とともに、バンコク郊外パトゥムターニーのタウンハウスへ移り住んだ。
その頃は、仏像や高僧などを象ったお守り "プラクルアン" の製造・販売を行っていた。
バンコク市内のバンガピーやチャトゥチャック,ランシッドやミンブリーのマーケットで、日替わりで露店を開いて商売をしていた。
やがて 2012年頃から、この商売は人に預けて、ランパーンの兄弟とともに農業を営むようになる。
その年の 8月にバンコクで会ったのが一番最近のことだ。


 

[AL 氏が自分で造った家と養殖池,カムペーンペット] (2016)
Brother's house and fish pond, Kamphaeng Phet, Thailand


AL 氏から送られて来た GPS の座標へと車を走らせる。
カムペーンペット市街を通り過ぎてさらに南下し、街道から東へ曲がってピン川を渡る。
そこからさらに十数キロ東へ進み、小川を渡った農地の傍らに AL 氏宅は在った。
そこで一人車を降りると、Pop と Erika に他所で時間をつぶして貰うように頼む。
ごゆっくり。
二人の言葉がありがたい。



[植栽豊かなAL 氏宅,カムペーンペット] (2016)
Brother's house, Kamphaeng Phet, Thailand


AL 氏と会うのは三年振りだが、つい昨日まで一緒に連んでいたような気がする。
AL 氏は自分で建てた自宅と、毎日耕している農地を、一回り案内してくれた。
電気は来ていないと聞いていたが、それは本当のことだった。
魚の養殖池のポンプの動力には、ディーゼル発電機が使われている。



[AL 氏宅前の農地,カムペーンペット] (2016)
Paddy field in front of brother's house, Kamphaeng Phet, Thailand


大根の種子を持って来てくれと頼まれていた。
ランパーンで買ったハンモックとともに大根の種子を渡すと、早速明日には蒔こうと笑う。
テラスの木の椅子に座り、Khrong Thip を燻らせながら AL 氏が淹れたコーヒーを飲むと、熱帯の農地特有の青草の匂いが頬を通り過ぎて行く。

将来、リタイアしたらここに来ないか。
それはいいけれども、犬は苦手なんだ。
私がそう言うと、AL 氏は愛犬の頭を撫でて笑う。



[農家のテラス,カムペーンペット] (2016)
Farmhouse terrace, Kamphaeng Phet, Thailand


AL 氏宅に滞在していたのは数時間だったが、AL 氏とは時間と場所を越えた間柄だ。
いつどこにいても変わりはしない。
Pop に電話をして車で来て貰うと、AL 氏と握手をして肩を抱き合い、手を振って AL 氏宅を後にした。
あなたには良いお兄さんがいるのですね。
Erika は初めて会う AL 氏に向かって、右手を振りながらそう呟くと、私の右肩を左手で叩いた。


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