カイロの紫のバラ | 映画と自転車と私。

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京都で飄々としながら、映画(99%)や自転車旅行(1%)のことを綴ります。

【5+】

最近はまっているウディ・アレンをば。

映画の中からスターが出てきて、男と女が恋に落ちる、というなんともファンタジックならラブコメディー。

私の心を掴んだのはこの台詞
「自分の作品が邪魔をする」

これはスクリーンの中から現実世界に出て来てしまったキャラクターに向かって、それを演じる俳優が放った言葉。

この映画の中では、キャラクターが具現化してしまっていたが、この俳優の言葉は全ての俳優・女優の思いを代弁したものなのだろう。

キャラクターが一人歩きをし、当人の自由を奪ってしまう。

「古畑任三郎シリーズ」で人気を博した田村正和がもうこれ以上このシリーズには出演しない、と言ったのもそのような気持ちがあったからなのだろう。

好きな作品の中から好きなキャラクターが出てきて、自分と恋に落ちる。

誰もが一度は夢見たことがあるのではないだろうか。

映画のラストは、キャラクターにもふられ、スターにもふられ、再び好きな映画を見つめる主人公。

しかしその目には輝きが灯っている。

「現実から逃げずに現実の中にある幸せを見つめなさい」
というウディ・アレンのメッセージを感じた。